9

1週間ぐらいして林君が席に来た。

いつくるか、どうやって連絡してくるんだろうかとか実は内心ソワソワしていた。

だから林君が目に入ったときドキドキした。


席を立って人目につかないところに移動した。


「考えてくれた?」

いつも元気で大きな声でしゃべる林君がひそひそと自信なさげに聞いてきた。


「付き合うとかじゃなく、まず会って話してみてってのはどう?」

「会って?デートとか?」

「そう。」

林君の顔が晴れ晴れと変化する。

「うん。」


それから連絡先を交換し、会える日を連絡するからと言って林君は足取り軽く帰っていった。


トラウマに勝ったのかしら。


まだ付き合い始めたわけじゃないけど。


デートかあ。


ウキウキする気持ちを一生懸命なだめて席に戻った。


竹宮君が申し訳なそうな顔をして席に来た。


うんうん、なんでも許す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る