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林君とは仕事も一緒にならないし、話したこともほとんどない。

もちろんプライベートで会ったこともない。

ただなんとなく自分と似たようなところがあるなとは思っていた。

それでも付き合うとなるともっと色々知らないと無理だ。

その前にトラウマが立ちはだかっているし。


まずさきおに話した。

「似たもの同士ね。」

そういって私を見る。

さきおがこうしろとかああしたほうがいいとか言わないことはわかっている。

「そうね。そう思う。」


トラウマの話は何度もさきおに話してる。


でもいつまでもトラウマに悩まされていては一生付き合えなくなってしまう。

それもわかっている。


「なんか告白されたのは初めてだから素直にうれしくなっちゃった。バカでしょ?」

さきおはゆっくり首を振る。

「いきなり付き合えって言ってもさあ。」

結局私だけがしゃべってる。

「林君のことよく知らないし。」

さきおは私を見るだけで何も言わない。


「とりあえず会って話してみるかなあ。付き合うっていうかその前に。」


私は最初から答えを出していたのかもしれない。

それをさきおに聞いてもらいたかっただけかもしれない。

そしてさきおもそれを知っていたのかもしれない。


「ありがとう。聞いてくれて。」

さきおはにこっと笑って私を見る。

「続編楽しみにしててね。」

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