6

会社の1年後輩に竹宮という男子がいる。

頭はいいのかもしれないけどうっかりが多くてついきつい言葉を言ってしまう。


今日も朝に打合せをして資料作りを頼んだ。

夕方になって進捗を確認してたら、ひとつ大事なことが抜けている。

それがために今日作った資料が台無しになって作り直さないといけなくなった。

思わず大きな声で朝何回も言ったのになんで忘れるの、と言ってしまった。

部屋の空気が一瞬凍り付いた気がした。

やばいパワハラ認定されてしまう。

上司に注意されるかも。

なんとか優しい言葉を繋いでその場を取り繕う。

ああ、冷や汗。

だってさあ、なんで忘れるんだよう。もう。


帰りはさきおと一緒。

「なんか目が吊り上がってない?」

「え?そう?」

さっきのことがまだ尾を引いている。

「それがさあ」

とさきおに愚痴をこぼす。


竹宮君のことは何回も話してるから、途中からさきおは笑ってる。

「笑い事じゃないの!」

もうほんとに。

もっと早い時間に確認すればよかった。

こんなにイライラするんだったら。

さきおにもそう言われてしまった。

だって自分だって忙しいんだもん。


さきおのところはいいよね。

優秀な後輩ばかりで。


今日はさきおのおうちにお邪魔することになっていた。

わんころもちゃんが出迎えてくれる。

癒されるなあ。

今日のこともとりあえず忘れなきゃね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る