第34話
主塔の最上階。
確かな自信と漲る力、戦意と共にアシルは辿り着いた。
檻の中に倒れている桜色の髪の少女の姿に目を大きく見開き、胸を撫で下ろしながら。
吸命剣パンドラを鞘から引き抜き、アシルはかつての面影が見当たらない魔王軍幹部と向き合った。
白髪をオールバックにした青年。
その手には光り輝く純白の剣を持っている。
見た目の上ではアンデッドとは思えないが、アシルにはあらゆるものを解析できる
名前 アシュトン
種族:
Lv1
体力:S
攻撃:B(聖剣装備時+S)
守備:B(聖剣装備時+S)
敏捷:A(聖剣装備時+S)
魔力:SS
魔攻:S
魔防:S
<
・暗黒魔法
・氷結魔法
<
・
・
・
・超速再生
アンデッドの身でありながら、聖剣を操る不死王は屍霊四将であるエルハイドにすら匹敵しているかもしれない。
だが、顔を上げたアシルは決して怖気づく事はなかった。
己の手を見つめ、笑みを深くする。
青白い肌。
名前 アシル
種族:
Lv1(22/100000)
上位
Lv1(10/100000)
体力:S
攻撃:S(吸命剣パンドラ装備時+SS)
守備:A
敏捷:S
魔力:A
魔攻:A
魔防:A
<
・
<
・
・
・眷属召喚
<
・闘気斬
・闘風刃
・闘鬼剣
進化解放条件:レベル70
最上位
実力としては伯仲している。要因としては種族だけではなく
パンドラの力を借りれば倒せない相手ではない。
怯んだ様子を見せないアシルの姿にアシュトンが不可解そうに首を捻る。
「進化して自信をつけたかもしれんが、種族の差は大きいぞ。上位アンデッドの中でも屈指の力を持つ
「……戦ってみれば分かる」
アシルは肩に吸命剣パンドラを担ぎながらぶっきらぼうに告げる。
エルハイドと合流されでもしたら終わりだ。
話している時間はない。
「――儂も溢れんばかりのこの力を試してみたいところだったのだ。良いだろう」
余裕ぶっているアシュトンを他所にアシルは全力で駆け出した。
一太刀で決めるつもりの一撃。首を狙った水平斬り。
迫るその斬撃にアシュトンは眼を大きく見張り、一泊遅れて聖剣を構え、自らの身体とパンドラの間に滑り込ませた。
拮抗は一瞬だった。
アシルの膂力が勝り聖剣を弾く。身体が泳いだアシュトンの隙を見逃さず、アシルは返す剣で胸元に埋まっている緋色の宝石に突きを繰り出す。
しかし、不死王は冷静だった。驚きながらも身体を自らの影に沈ませて難なく躱した。
「馬鹿な、身体能力では負けているだと!?」
アシルの背後にある影に転移したアシュトンは呆然としている。
「あ、あり得ん……どういう事だ、たかが
「<闘気斬>」
今度はパンドラに闘気を纏わせて一閃する。
「舐めるなッ、<黒ノ虚>」
音を置き去りにしたその赤い斬撃に対して、アシュトンは聖剣に暗黒魔法の力を込めた黒の斬撃で対抗する。
光り輝くオーラを纏う聖剣の外側を覆う闇の力。
ぶつかり合った剣圧同士の衝突に空気が震えた。
今度は全くの互角である。
鍔迫り合いは両者一歩も引けを取らない。
(ここだッ!)
アシルはわざと自らの剣を引き、肩にアシュトンの一撃を掠らせた。
剣自体は掠っただけだが、黒いオーラがアシルの肉をごっそりと抉る。
「ぐッ!?」
「そうだ、
「それは……どうだろうなッ」
噴き出した血がアシルの吸命剣に纏わりついていく。
赤の闘気と紅の炎が混ざり合う。
「<
アシルは今出せる最高の威力を持って吸命剣パンドラを振りぬいた。咄嗟にアシュトンは氷結魔法による壁を作り出すが、一瞬で蒸発してしまい盾にすらならない。
聖剣を持つ不死王の表情が苦痛に歪む。
彼の右腕が宙を舞い、床に落ちる前に燃え尽きた。
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