第4話 SEはいいけどうるさいBGMはちょっとね....
窓からはいる日差しが眩しいほど快晴な休日の午後、特に予定もないので布団の上で微睡んでいると、いつものように姉が部屋に侵入してきた。
「弟君♡お話ししましょ♡」
部屋に入り、ベットのそばまで歩いてくる頃には、興奮なのか運動不足なのか軽く息が上がっていた。
「ハァ♡ハァ♡さすが弟君のお部屋♡いい匂いだねぇ♡♡♡」
「さすがにねーちゃんは相変わらず気持ち悪いね」
「ンォ♡ふぅ、ふぅ♡」
落ち着かせるように胸に手を置いて、肩を軽く上下させる姉。一呼吸置いて、
「弟君は何してたの?♡」
「んー、、なんだろ?暇してた?」
何か特別なことをしていない休日に何してたか聞かれると返答に困るのは僕だけだろうか。何もしていないはずはないのに今まで何をしてたんだか自分でもわからない…。
最近出てきた、1分動画の恐ろしさと人間の単純さを痛感させられる。
「今週は何の予定もないの?♡」
「今週どころか、先週も来週も…」
もちろん再来週も……。泣いていいかな、、。
「弟君、友達いないの、、?」
ペチッ
あっぶねー、思わず強い力で姉を殴るとこだったぜ。弱ツッコミレベルの平手で済んだことを感謝して欲しいものだ。
「ンォ♡オホォォォ♡きゅ、急にご褒美♡♡ほんとにイっちゃうから不意打ちだめぇぇ♡」
「取り敢えず、なんかようかい?」
「あ、ごめんごめん♡思いがけない幸福に興奮しちゃったの♡♡用事ってわけでもないんだけど、お暇ならゲームでもして遊びませんか?♡♡」
「久しぶりになんかするかぁ」
この姉が部屋に来るたびに身構えてしまうのは仕方がないことだと思うのだが、杞憂だったようだ。最近ゲームなんてしてなかったから、久しぶりにマ○カーでもしてやるかとゴソゴソと機材を揃えていくのだが、何やら姉がソワソワしだした。
「あの、、今日の夜、お父さんもお母さんもどっちもいないんだよね…。」
「え、、、。」
「うん、、♡♡今夜は二人っきりなんだよね....♡♡」
「あ~そうかぁ。まあ、久しぶりだねえ。」
「小学校以来かなあ…。ジュルリ♡♡」
「舌なめずりが聞こえた気がするけど、、ねーちゃんの名誉のために無視するよ。」
「今日、晩御飯は私が作るからね♡♡夜は長いんだし、ゲームでもしよっか♡♡」
ハイテンションな起動の音声と共にゲームが始まり、軽快な音楽とともに画面のキャラがチカチカと動いている。なんでかゲームの音声というのが好きになれない。ゲームにおいてBGMというものの音量が初期設定だいぶ大きすぎるのではないだろうか…。ガチャガチャ音が鳴ってては没入できるものもできないというか、なんというか。なんて事を考えていると、唇にふと違和感を感じる。
チュッ♡
鼓膜を通して脳に音の情報が入ってきてはいるのだが、あまりに現実離れしていたのでゲームの音声なのかと勘違いしてしまう…。いや、勘違いしたかったのだ。実の姉とキスをしたという現実を画面の中のできごととして消化してしまいたかった。1秒も経たないうちに沸き立つ自分が当事者という実感。
「ふふっ♡何ぼーっとしてんの?♡♡」
「え、、ちょ、ねーちゃん何してんの!?」
気づかないうちにキスする距離まで顔を近づけていた姉。離れようとした刹那
ガッと頭をつかまれた。
「ふーーっ♡♡ふーーーっ♡♡♡♡」
目と目が重なってお互いのまつ毛が刺さり合いそうなほど近づいた興奮で上気
している姉の顔。必死に顔を背けようとしているのだが、どこから力が涌くのかわからないのだが物凄い力で正面を向くように押さえつけられる。
「逃げようとしないで♡♡」
にゅるりと、唇にしたが当たり、上下の唇に力を込め、両の手を突っ張って必死の抵抗をするのだが、抵抗も虚しく下に侵入された我が口内は姉の好きなように蹂躙されてしまう。
「ちゅっ、んちゅ♡はむっ♡♡んじゅっ♡♡♡♡........ジュル....」
「....んちゅっ♡れちゅ....…」
部屋にいやらしい唾液の音だけが響いている。
「....んちゅ....…♡♡」
「ぷはぁっ」
ようやく口が解放された。どれ位の時間が経ったのだろうか、キスしている時におかしくなった体内時計と心臓の鼓動が徐々に通常に戻ってくる。
「弟君の口、おいしいぃぃ♡♡はぁぁ、すっごい可愛い私だけの弟君♡♡好き、だーい好きなの♡」
「なにすんだよ!!まじでやめてくれ…。」
「全然抵抗できなかったよね♡♡」
「ねーちゃん、力強すぎだろ…。いつの間に鍛えたんだよ…。」
「弟君が抵抗する気なかっただけだよぉ♡♡」
心がドキドキしているせいだろうか、僕には抵抗する気がなかったのだろうか…。完全に姉の舌を受け入れてしまったのだろうか…。
「んじゃ、晩御飯作ってくるね♡旦那様♡♡」
スキップのような、軽い足取りで部屋を出ていく姉。トタトタと階段を降りる音が聞こえ、遂に足音が聞こえなくなった。
「はぁぁぁぁぁ、、、、」
ため息と一緒に魂も抜けてしまったのだろうか。その場で大の字に横たえてしまった。部屋には夕日の優しい光が差し込んでいた。
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