私の彼女は素直になれない天邪鬼(あまのじゃく)
猫好きのユリスキー
私の彼女は素直になれない天邪鬼
私、
そんな私の彼女には、とある特徴がある。
「天音〜、買い物一緒に行く?」
「あっ…い…行かない」
傍から見ると、ただ買い物に行くのを拒否されたように見えるが、真実はそうじゃない。
たった今、自分で「行かない」と言ったはずの天音は、ソファに座ったまま、飼い犬が飼い主に叱られた時のように落ち込んでいるのだ。
…そう、私の彼女は、素直になれない
今日は、そんな彼女と私の1日の話をしようと思う。
───────────
……私が買い物から帰ってきても、未だに天音は、しょんぼり顔のままソファに座っていた。…よく見るとペタッと下に垂れた犬耳が見えてくる気がする。
「買い物、次は一緒に行こうね」
「…気が向いたらね。…あっ…」…シュン
ただいまの挨拶の後に天音に声をかけると、天音はまた私の誘いに素直になれず、更に落ち込んだ。
…やっぱり、私の彼女はとても可愛い。落ち込む可愛い犬(彼女)を励ます為に、優しく天音の頭を撫でる
「…んっ…」…スリ
すると、天音は撫でている私の手に擦り付けるように、頭をスリスリと押し付けてきた。
…こんなの撫で続けるしかないじゃないか!ナデナデナデナデ
「んぅ…♪」
「ホント、天音は可愛いね」
「そ…そんな事ない…変なこと言わないで」プイッ
そう言って顔を背けてしまったが、それでも隠しきれていない天音の耳は、赤く染まっていて、照れているのが丸わかりだ。
「いーや、可愛いの。異論は認めません」
「…はいはい、勝手にして」
「はーい。天音は可愛い〜天音は可愛い〜♪」
顔を背けながらもどんどん耳や顔を赤くしていく天音がおもしろ…いや、可愛くて、撫でるのを止められず撫で続けた。
「…ごめんね」
「ん?なにが?」
「…やっぱり何でもない」
天音は偶にこうやって落ち込んだように謝ってくることがある、その度に私は
「大丈夫だよ。私は天音のこと、ちゃんとわかってるから」
そう言って可愛い
すると、天音もぎこちなく私の背中に手を回してくれた。
…そのまま数分ほど私と天音はお互いを抱きしめ合った。
……それから2時間後。
─────
「天音、今日の晩御飯クリームシチューとパスタ、どっちがいい?」
私は、天音に今日の晩御飯のメニューを選んでもらっていた。
「…別に、どっちでもいい」
「ん〜…わかった、それじゃ今日はパスタにするね」
そう私が言うと、明らかに天音のテンションが1段階下がった。
天邪鬼とは意思疎通が難しいようなイメージがあるが、我が家の天邪鬼は意外とわかりやすい。
よし、今日の晩御飯はクリームシチューに決定だ。
そして私は、早速クリームシチューの調理に取り掛かった。
…ちなみに天音は料理がかなり苦手な部類だ。
でも、去年のバレンタインの時には私の為にチョコレートを作ってくれた。あれは嬉しかったなぁ…何故か塩辛かったけど、嬉しい気持ちでいっぱいだった私は笑顔で食べきった。
(素直に渡せないからなのか、チョコレートは机の上にラッピングをして置いてあり、それを私が食べる所を物陰で確認していた天音は、とても可愛かった。)
──────
「天音、晩御飯できたよ」
調理を終えた私は、時計を見て時間を確認してから、自室にいる天音に呼びかけた。
私の呼びかけで自室から出てきて、リビングにあるテーブルに座った天音は、私が運んできた料理を見て、目を丸くした。
「…晩御飯、パスタじゃなかったの?」
「うん、なんか急にクリームシチューの気分になってさ」
「…そう」
特に気にしてないように答えるが、その顔は喜びからか僅かに口角が上がっていた。
その口角の上がったまま黙々とクリームシチューを食べている天音を見つめていると、ふと頬っぺたにクリームシチューが付いてしまっているのに気付いた。
私は、その頬っぺたに付いたクリームシチューを指でとって…そのまま、その指を自分の口に咥えた。
「…うん、美味しいね。今回のクリームシチュー」
「えっ…あ…っ…////」
そう私が言うと、天音の顔は耳まで真っ赤に染まって…
「かっ…勝手な事しないでよね…言ってくれれば自分で取るし…」
その真っ赤な顔のまま、普段よりも小さく、か細い声で抗議をした。
「はーい。次からそうするね」
私は天音のそんな抗議に受け答えをしながらも、自分の彼女は可愛いなぁ…と、幸せに包まれていた。
こんな、素直になれないとても可愛い彼女だが、唯一素直になれる時がある。
それは…
──────
…現在時刻は午後11時。私はそろそろ眠りにつこうと、自室のベッドに転がっていた。
そんな時、突然、自室のドアをコンコンと叩かれた。
ベッドから降りてドアを開けると、そこには自分の彼女である天音が、耳を赤くして、顔を俯かせながら立っていた。
「どうしたの?もしかして、また豆球つかなくなっちゃった?」
「そ…そうじゃなくて…」
そんな理由じゃないって事は、私も実はわかっている。でも、私は天音が自分から喋り出すのを待った。
すると、天音は覚悟を決めたように俯かせた顔を上げて
「…き、今日は…一緒に寝たい…です…!」
勇気を振り絞って、私の事を[誘ってきた]。
そう、普段は
まだ完全な[誘い]とは言えない部分もあるけれど、普段まったく素直になれない天音からしたら、これだけでも十分だ。
「…うん、良いよ。おいで」
その[誘い]を微笑みながら了承すると、天音は今日一の満面の笑顔で「…うん…!」と答えた。そのまま部屋に招き入れて、天音を優しくベットに寝かせる。
「…やっぱり、天音は可愛いよ」
私は、天音の上に覆いかぶさって、着ているルームウェアを脱がせながら…もう何度目かも思い出せない言葉を天音に言うと、天音は、「…ありがと…その…」
「……涼花も…可愛いよ…だから……しよ?」
耳だけでなく、肩までも赤く染めたまま私と顔を合わせて、素直に私を求めてきた。
私の彼女は普段は素っ気ない。
でも、本音では私に触れられるのが好きだし、私と一緒にいる時間を嬉しく思っている。
私の彼女は、素直になれない
でも、私はそんな彼女を、今も、これからも、いつまでも、愛し続けると、私は確信している。
だって、彼女の事を見て、触れて、交わっているだけで、私はこんなにも幸せに包まれているのだから。
fin…
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もし読んでくれた人がいるなら…
執筆初心者の短編初投稿です。
連載している別作品の「マタタビで学年1の美少女が釣れた」も、もし良ければ読んでくれると嬉しいです。
https://kakuyomu.jp/works/16818093079167812843
それでは、読んでくれた読者の皆様!ありがとうございました!
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私の彼女は素直になれない天邪鬼(あまのじゃく) 猫好きのユリスキー @amano111
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