私の彼女は素直になれない天邪鬼(あまのじゃく)

猫好きのユリスキー【祝1000PV】

私の彼女は素直になれない天邪鬼




私、西宮 涼花にしみや すずかには、同棲中の逆井 天音さかい あまねとゆう彼女がいる。


そんな私の彼女には、とある特徴がある。



「天音〜、買い物一緒に行く?」


「あっ…い…行かない」



傍から見ると、ただ買い物に行くのを拒否されたように見えるが、真実はそうじゃない。

たった今、自分で「行かない」と言ったはずの天音は、ソファに座ったまま、飼い犬が飼い主に叱られた時のように落ち込んでいるのだ。



…そう、私の彼女は、素直になれない天邪鬼あまのじゃくだ。


今日は、そんな彼女と私の1日の話をしようと思う。




───────────




……私が買い物から帰ってきても、未だに天音は、しょんぼり顔のままソファに座っていた。…よく見るとペタッと下に垂れた犬耳が見えてくる気がする。



「買い物、次は一緒に行こうね」


「…気が向いたらね。…あっ…」…シュン



ただいまの挨拶の後に天音に声をかけると、天音はまた私の誘いに素直になれず、更に落ち込んだ。

…やっぱり、私の彼女はとても可愛い。落ち込む可愛い犬(彼女)を励ます為に、優しく天音の頭を撫でる



「…んっ…」…スリ



すると、天音は撫でている私の手に擦り付けるように、頭をスリスリと押し付けてきた。

…こんなの撫で続けるしかないじゃないか!ナデナデナデナデ



「んぅ…♪」


「ホント、天音は可愛いね」


「そ…そんな事ない…変なこと言わないで」プイッ



そう言って顔を背けてしまったが、それでも隠しきれていない天音の耳は、赤く染まっていて、照れているのが丸わかりだ。



「いーや、可愛いの。異論は認めません」


「…はいはい、勝手にして」


「はーい。天音は可愛い〜天音は可愛い〜♪」



顔を背けながらもどんどん耳や顔を赤くしていく天音がおもしろ…いや、可愛くて、撫でるのを止められず撫で続けた。



「…ごめんね」


「ん?なにが?」


「…やっぱり何でもない」



天音は偶にこうやって落ち込んだように謝ってくることがある、その度に私は



「大丈夫だよ。私は天音のこと、ちゃんとわかってるから」



そう言って可愛い天邪鬼あまのじゃくな彼女を優しく抱きしめるのだ。

すると、天音もぎこちなく私の背中に手を回してくれた。

…そのまま数分ほど私と天音はお互いを抱きしめ合った。



……それから2時間後。




─────




「天音、今日の晩御飯クリームシチューとパスタ、どっちがいい?」



私は、天音に今日の晩御飯のメニューを選んでもらっていた。



「…別に、どっちでもいい」


「ん〜…わかった、それじゃ今日はパスタにするね」



そう私が言うと、明らかに天音のテンションが1段階下がった。

天邪鬼とは意思疎通が難しいようなイメージがあるが、我が家の天邪鬼は意外とわかりやすい。

よし、今日の晩御飯はクリームシチューに決定だ。

そして私は、早速クリームシチューの調理に取り掛かった。


…ちなみに天音は料理がかなり苦手な部類だ。

でも、去年のバレンタインの時には私の為にチョコレートを作ってくれた。あれは嬉しかったなぁ…何故か塩辛かったけど、嬉しい気持ちでいっぱいだった私は笑顔で食べきった。

(素直に渡せないからなのか、チョコレートは机の上にラッピングをして置いてあり、それを私が食べる所を物陰で確認していた天音は、とても可愛かった。)




──────




「天音、晩御飯できたよ」



調理を終えた私は、時計を見て時間を確認してから、自室にいる天音に呼びかけた。


私の呼びかけで自室から出てきて、リビングにあるテーブルに座った天音は、私が運んできた料理を見て、目を丸くした。



「…晩御飯、パスタじゃなかったの?」


「うん、なんか急にクリームシチューの気分になってさ」


「…そう」



特に気にしてないように答えるが、その顔は喜びからか僅かに口角が上がっていた。

その口角の上がったまま黙々とクリームシチューを食べている天音を見つめていると、ふと頬っぺたにクリームシチューが付いてしまっているのに気付いた。


私は、その頬っぺたに付いたクリームシチューを指でとって…そのまま、その指を自分の口に咥えた。



「…うん、美味しいね。今回のクリームシチュー」


「えっ…あ…っ…////」



そう私が言うと、天音の顔は耳まで真っ赤に染まって…



「かっ…勝手な事しないでよね…言ってくれれば自分で取るし…」



その真っ赤な顔のまま、普段よりも小さく、か細い声で抗議をした。



「はーい。次からそうするね」



私は天音のそんな抗議に受け答えをしながらも、自分の彼女は可愛いなぁ…と、幸せに包まれていた。



こんな、素直になれないとても可愛い彼女だが、唯一素直になれる時がある。



それは…




──────




…現在時刻は午後11時。私はそろそろ眠りにつこうと、自室のベッドに転がっていた。

そんな時、突然、自室のドアをコンコンと叩かれた。


ベッドから降りてドアを開けると、そこには自分の彼女である天音が、耳を赤くして、顔を俯かせながら立っていた。



「どうしたの?もしかして、また豆球つかなくなっちゃった?」


「そ…そうじゃなくて…」



そんな理由じゃないって事は、私も実はわかっている。でも、私は天音が自分から喋り出すのを待った。


すると、天音は覚悟を決めたように俯かせた顔を上げて



「…き、今日は…一緒に寝たい…です…!」



勇気を振り絞って、私の事を[誘ってきた]。


そう、普段は天邪鬼あまのじゃくの天音は、夜だけは少し素直になれるのだ。


まだ完全な[誘い]とは言えない部分もあるけれど、普段まったく素直になれない天音からしたら、これだけでも十分だ。



「…うん、良いよ。おいで」



その[誘い]を微笑みながら了承すると、天音は今日一の満面の笑顔で「…うん…!」と答えた。そのまま部屋に招き入れて、天音を優しくベットに寝かせる。



「…やっぱり、天音は可愛いよ」



私は、天音の上に覆いかぶさって、着ているルームウェアを脱がせながら…もう何度目かも思い出せない言葉を天音に言うと、天音は、「…ありがと…その…」




「……涼花も…可愛いよ…だから……しよ?」



耳だけでなく、肩までも赤く染めたまま私と顔を合わせて、素直に私を求めてきた。




私の彼女は普段は素っ気ない。

でも、本音では私に触れられるのが好きだし、私と一緒にいる時間を嬉しく思っている。




私の彼女は、素直になれない天邪鬼あまのじゃくだ。


でも、私はそんな彼女を、今も、これからも、いつまでも、愛し続けると、私は確信している。


だって、彼女の事を見て、触れて、交わっているだけで、私はこんなにも幸せに包まれているのだから。





fin…



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もし読んでくれた人がいるなら…



執筆初心者の短編初投稿です。


天邪鬼あまのじゃくな女の子って可愛いなって思いついて、急遽書き始めた内容なので、この小説を読んで、「可愛いな」「癒されるな」って少しでも思ってくれたら嬉しいです。


連載している別作品の「マタタビで学年1の美少女が釣れた」も、もし良ければ読んでくれると嬉しいです。

https://kakuyomu.jp/works/16818093079167812843


それでは、読んでくれた読者の皆様!ありがとうございました!


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