第5話
3分だと?、それ以内に犯人を見つけろだなんて、あまりにも無茶な要求だ。だが、ここで抗議するのも時間の無駄だ。俺は独り言を言いながら思考を整理し始めた。
「まず、俺は確実に扉を閉めた。それは堂本も見ているから、100%だ。そしてここ、屋上の鍵はひとつ、それとマスターキーを合わせて計ふたつ。そのうちのひとつ、本来の鍵は俺がポケットに入れて持っていた。とりあえず可能性の低いものから検討するか。まず、誰かがマスターキーを使って開錠し、俺たちがいることに気づいて帰ったという可能性。これはあり得ない。本来これが一番有力な説になるだろうが、今回のケースにおいて、堂本が俺に問題というかたちで、しかも犯人はだれだ?とまで言っている以上、俺が犯人を見ていないと解けないこのパターンは無しだ。要するに、鍵はもともと開いていたということになる。だが、俺が来た時確かに鍵がかかっていたのを覚えている。手詰まり…か?」
おれはじばし考え込み、答えを見つけた。
「犯人は俺が屋上に入った後に鍵を開けたんだ、だが俺はその様子をみていなかった。ってことは、犯人は、お前だろ、堂本。おまえはマスターキーを持っている。違うか?」なぜか堂本が笑い出した。何がおかしいんだ?
「だよな、君ならそう言ってくれると信じていたよ。だけど残念、ハズレだ。よく考えてもみてくれよ、たかが一生徒にマスターキーなんて超大事なものを預けると思うか?な訳ないよな。」堂本が面白そうにニヤけながらいった。ムカつくな。だがまぁ、言われてみればそうだ。それに、よくよく考えてみればコイツは美化委員じゃないしな。
「だとすると…残る可能性は一つか。堂本は俺のカードキーをスったんだ。だが、俺のポケットに返す時に流石に気づくはずだ。そして俺のポケットにはしっかりカードキーが入っている。となると‥コイツ、すり替えたな。今本物の鍵は奴が持っている。んで、俺のポケットに入ってるは違う場所の鍵ってところか?」「その通り。期待以上の答えだよ、ま、俺のトラップに気づかなかったことは残念だけど。でもまぁ面接受かったら俺とタッグを組んであげてもいい。それくらいの実力はあるようだね」一言多いんだよな…。ともあれ、正解できたのは素直に嬉しい。だが、トラップ仕掛ける必要あったか?
「ったく。帰るぞ。こんどからこんなことはしないでくれよ?」まぁ少しは楽しかった、けどな。
「面接受かったら、激務が君を待ってるよ。」うぅ、なんかやめたくなってきたかも…
俺たちはやっと屋上を出て、教室に走って戻った。他のやつはもう、みんな帰っていた。
となれば。
「一緒に帰ろうぜ、堂本。」
「仕方ないな、今回だけだぞ?」コイツは素直じゃないな。
そうして俺たちは帰路についた。
あ、鍵返すの忘れてた
隣の席の友人は特殊能力を持っているらしい ペンギンマスカット @Sternenzelt
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