第3話

堂本の秘密を知ってしまった翌日の朝、俺は駅に向かって歩いていた。駅が見えてきたところで、途中でいつも同じ電車に乗る友達を見かけた。「はよ。」「おはよ。今日は随分と寝不足そうじゃないか、クマが凄いよ。分かった、また深夜アニメを見てたんでしょ、録画にすればいいっていつも言ってるのに…」友達__黒坂が言った。黒坂の言う通り、確かに今日は寝不足で、4時間程しか寝れていない。「察しがいいな。その通り、昨日は1時からのが合ったからな…」嘘である。


本当は、昨日の堂本の話についてあれこれと考えていたんだ。(ちなみにまだ結論は出せていない。)だが、そんなことを言って黒坂に色々と聞き出されても困る。俺は誤魔化すのが下手だからな。



学校に着いたあと、先に来ていた友達2人と談笑していた俺は、教室を見渡して堂本が来ているか確認した。だがまだ来ていないらしい。この時間帯だと来ている人は半数に満たないので、無理もないが。堂本の不在を確認し、視線を友達に戻そうとした時、視界の端に違和感を感じた。ん?何かいつもと違うような…そこで俺は気づいた。教卓が無いのだ。もしや破片のまま残っているのでは…と思い顔が青ざめたが、おおお下を見てみても、破片は無かった。昨日堂本が、壊した教卓の破片を掃除したらしい。安心した俺は友達との会話に戻った。


昼休み、俺は訳あって隣のクラスを訪れていた。目的は幼馴染である徳楽琴音に相談をするためだ。もちろん昨日の件について、な。琴音を呼び出し、人気(ひとけ)のない所に来たところで、早速話し始めた。

琴音は人当たりがよく、周りの人たちに頼られることが多い。俺もたまに、こうして相談に乗ってもらっている。

「なぁ、新しいことを始めるかどうかって、何を基準にすれば良いんだ?」流石に特殊能力とか組織とかについては話せないので(話したらやばい奴だと認定されるだろう)、こんな抽象的な質問になってしまった。「そうだねぇ、今どれくらい暇な時間があるのかと、その新しいことを始めることで自分に何の成長がどれくらいの期待値で見込めそうか、とかかな。え、櫂、なんか新しいこと始めるの?この前読 読書に挑戦してみて、2日で挫折してなかったっけ?」

「いいだろ、その話は。にしても、暇な時間、か。時間ならいくらでもあるんだよなぁ、あとは成長の期待値、か。ありがとな、参考にさせてもらう。」

「まぁ、役に立ったなら良かったよ。結果出せたら教えてね〜。」

「あ、ああ、出せたら、な。」到底教えられるような内容では無いんだが…。それに、まだやるかどうかも決められてないし。

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