第2話

堂本の見せたアクション映画でもあり得ないような怪力さを見て、さしもの俺も「こいつは本物だ」と信じざるを得なかった。優しくて話の分かるナイスガイである俺は(自分で言ってて悲しくなるが)、「俺にそれを見せたってことは、なんかしら目的があるんだよな?犯罪絡みじゃなきゃ話くらいは聞くが」と返す。「やれやれ、最近の若者は疑り深いなぁ、おかげでつまらぬものを斬ってしまった…」いや、割ってしまった、じゃないか?いまのは。

堂本はこう続けた。「でね、君に伝えたのには理由があるんだ。俺は特殊能力、俺たちは神能って呼んでるんだけど、まぁそういう能力を持ってる人たちとか、ホワイトハッキング、話術や格闘を得意とする人たちとかで構成された組織の会員なんだ。俺たちは警察と協力して、犯罪撲滅のために日々頑張っている。俺が似合わないバスケ部に入ったのも、実はそれ関係だったりするかもね?で、毎年3人、新規会員を勧誘しなきゃいけないんだ。まぁ簡単に言うと、スカウトってやつさ。新規会員は他2人、優秀そうな人を勧誘したんだ、だから君には微塵も期待してない、気負わなくていいよ、気軽に入ってくれ」最近こいつは俺に対して冗談を言うことが多くなってきた。それは仲良くなれていることでいいことなんだが、今のはムカつくな。というか、組織やら神能やら、意味はなんとなく分かるが本質的に分からない単語がでてきて、俺は情報過多に陥りそうだ。ここまでの会話で分かった。どうやら今の時代、特殊能力を持っている人間も少なからずいるらしい。俺が知らないだけで。俺は昔からアニメや漫画の世界憧れていたから、正直入ってみたくはある。まぁ今の堂本の口ぶりだと、特殊能力は生まれつきのものみたいだけどな。だが、こういうのは組織に入った途端命を狙われるのがお決まりってやつなんじゃないか?なんにせよ、よく考えてみる必要がありそうだ。とりあえず、こう言っておこう。「考えておく。」

すかさず堂本が笑いながら返す。「いやそれ、絶対断るやつ!」やはりこいつと話すのは面白い。

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