隣の席の友人は特殊能力を持っているらしい
ペンギンマスカット
第1話
俺はどこにでもいる普通の高校生、篠崎櫂(カイと読むぞ)だ。周りには明るい、とかお人好し、とか言われているが、そんなことはない。少なくとも俺はそう思っている。
俺は今、同じクラスの堂本に憐みの視線を向けていた。事情を説明しよう。授業が終わった後、部活に行く奴らや、帰宅部の集団が教室を出て行き、つい先程、教室にいるのは俺と堂本の二人だけ、という状況になった。堂本はクラスではどちらかと言うと影の薄い生徒で、いつも昼休みに自席で机に突っ伏して寝ているのを見かける。話してみれば面白い奴なんだが、他の連中はそれを知らないみたいだ。俺と堂本はそこそこの仲で、一緒に下校したりしたことは無いものの、それなりによく話す。
そこで俺は、堂本に、今日は部活行かないのかー、とか(ちなみに堂本は背が低い方だがバスケ部に所属している。)、あの漫画の最新刊読んだかー、とか話しかけたんだ。そこから俺たちは他愛ない会話を楽しみ、楽しい時を過ごしていたんだ。
会話を始めてからしばらく経って、堂本は言ったんだ。「だれにも言ったことは無かったんだけどさ、俺、実は特殊能力もってんだよね」これを聞いて俺は、こいつ、3年遅れの厨二病に犯された可哀想な奴だったんだな、と思ったんだ。というか、誰でもそう思うだろ、普通。で、俺は奴に哀れみの視線を向けた。そして今に至る、って訳だ。
だが、堂本は俺の視線を受けて、「いやいや、本当だから!信じてくれよ、」と言う。
「いやそれ、嘘ついてる奴の台詞だろ、」
「だから本当なんだって、、どうしたら信じてくれるんだよ…」「そんなに言うなら使ってみろよ,その特殊能力とやらをさ。第一、それが本当だとして、何故それを俺に明かすんだ?」俺は目で見たものしか信じない。俺は一度も超能力とか心霊現象とか、そういう物理法則を無視したものを見たことがないし、信じてもいない。まぁ、見たら信じるけどな。百聞は一見に如かず、ってな。「君に明かしたのは、君じゃなきゃならない理由があったからだ。君が信じないなら、仕方ない。今から能力を使うよ。しっかり見ておいてくれ」そう言って堂本は教壇まで歩いていき、左腕を振りかぶり、
教卓に思いっきり振り下ろした。何やってんのこいつ。そう思った次の瞬間、教卓がとんでもない音をたてて折り曲がり、ひしゃげ、砕け散った。え、ホントに何してんの、こいつ。「どう?これで信じる気になった?」おいおい、ただの厨二病じゃなかったのかよ…
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