第5話 〈ミカエル〉とステータス
よく分からないけどね、どうやら私は強くなったようだ。
正直ステータスメッセージなんてどうでも良さすぎたので、邪魔だなぁ位の感覚だったけど。
それでも身体がしっかりと再生を始めたのを確認して私はほくそ笑む。
〈ミカエル〉に向かって私は地面を蹴り上げて突撃を開始する。倒す為に!
そんな私の行動を予測したのか、〈ミカエル〉は片手をあげて魔法を唱える。
『傲慢、慢心による奢りを是正せよ。──〈
直後……手の中に7つの魔法陣が出現し、それら全てから尽くを焼き焦がす雷が放たれた。
光ではなく、雷。それは回復を阻害する為の行為だったのだろう。
しかし律可は止まらない。体を貫く雷の数々を受けても尚、足を止めることは無かった。
「────つ、痺れるけど……こんなものっ!」
雷が収束して律可の眼前に密集した。
そのまま私を焼き焦がす壁にするってつもりなのかな?──だけど私は大丈夫!
チェーンソー自体をくるりと顔の前にもたげ、雷の壁にその身ごと突貫をかます。
─ピリピリするけど、それももう痛くない。むしろ体をいい感じに電気マッサージされてる気分で、肩や腰あたりが気持ちよくて困るよ。
腕も、足も、顔面を覆う皮すら赤熱しているのにも関わらず……律可は〈ミカエル〉に殴り掛かる。
「───オラァァァ!!!!!くたばりなさいっ!!」
私は全身をくまなく使い、空中から落下しながら天使の身体にチェーンソーをねじ込む。
「これが、アタシ流のゴリ押し戦術じゃあい!!」
◇◇◇◇◇
〈ミカエル〉の身体に亀裂が走る。〈ミカエル〉は理解が及ばない存在、即ち自分を倒したソレをじっくりと見つめる。
『───計測不可。理解不可。判断不可。システムエラー。─────────対象の排除は不可。指示を仰ぐ。』
「ん?私を理解できないってのはよく言われている事だから気にしないけどさぁ?───この後に及んで指示待ちってマジ?……そりゃ負けるよ君!」
そう言うと律可は再びねじ込んだチェーンソーに力を入れた。途端ガラス片のように砕けて消えていく〈ミカエル〉。
そして律可の視界に再びステータスメッセージが表示された。
▶〈熾天使ミカエル〉の討伐を確認。文名 律可に称号〈天使殺し〉〈熾天使殺し〉〈神殺し〉を授与。
▶〈熾天使ミカエル〉のドロップアイテムが構築されます。授与対象〈文名 律可〉。
▶魔法〈回復の福音〉を獲得。スキル〈自動再生〉が進化を開始します。
▶▶▶スキル〈自動再生〉がスキル〈超速再生【常時】〉に進化。
▶〈所持スキルが整理されます〉〈所持スキルは一つに統合されます〉
▶▶▶該当スキルが存在しません。新たなスキルの構築を開始。構築状況12.5%……26.2%……49%……66.6%……100.0%……121.3%……
ん?スキルが100%超えたけど?どういうこと、どゆこと?
私はのんびりと聞いていたのに急に変なステータスメッセージが出たことでびっくりして起き上がる。
▶新スキル〈強行突破〉を獲得。
▶新スキル〈
▶新スキル〈ゴリ押し最強〉に〈超速再生〉〈完全耐性〉〈経過身体強化〉〈攻撃時回復〉〈攻撃回数に応じて攻撃力アップ〉〈適応〉〈魔力自動補充〉〈自動軽減〉〈魔力カット率自動上昇〉〈敵討伐時回復〉〈魔力自動回復〉〈敵討伐時魔力増幅〉〈常時自動魔力増幅〉〈適合〉を統合進化開始。
▶新スキル〈ゴリ押し最強〉がユニークスキル〈全能なるゴリ押し術〉に進化。
〈超速再生〉〈完全耐性〉〈経過身体強化〉〈攻撃時回復〉〈攻撃回数に応じて攻撃力アップ〉〈適応〉〈魔力自動補充〉〈自動軽減〉〈魔力カット率自動上昇〉〈敵討伐時回復〉〈魔力自動回復〉〈敵討伐時魔力増幅〉〈常時自動魔力増幅〉〈適合〉は以後自動的に〈全能なるゴリ押し術〉の中に収納されました。
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▶文名 律可のステータスが表示されます。
【名前】〈文名 律可〉
【年齢】〈16歳〉
【レベル】〈1〉
【種族】〈人間種〉
【HP】〈10000/10000〉※MPと同期
【MP】〈10000/10000〉※HPと同期
【物理攻撃力】〈1〜X〉※
【魔法攻撃力】〈1〜X〉※
【防御力】〈1〜X〉※
【敏捷】〈2〜X〉※上限アリ
【幸運値】〈-1000〉
【スキル一覧】
〈全能なるゴリ押し術【Lv1】〉〈強行突破【Lv1】〉〈
【所持魔法】〈該当無し〉
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……?強い……のか?よくわかんないなぁ……。
というかHP多すぎるし、逆に攻撃力低すぎるでしょ……。
というかこれあれか……パッシブの〈全能なるゴリ押し術〉とか言うのの効果で私がアクションを起こす度に攻撃とか防御とかが上がるって事だよね?
───ならいいや。
ふふん、私は頭がいいのだ!記憶力は自信が……あんまり無いけどさ。
私はそう言うと、ステータスを閉じる。
さてと……では次の敵は何かな?
◇◇◇
次の部屋は案外すぐに入れた。というかしっかりと立て看板があったのだ。
それやるなら最初からやっててよ!とも思ったけど、まあ良いでしょう!
私はうっきうきでその部屋に飛び込んだのだ!!
◇
〈邪界騎士モルゴース〉・〈邪界大狼フェンリル〉
と入った傍から表示された。なるほど……?つまり次は二人……いや二つ?って訳か!
まあ二体程度なら余裕余裕!
◇
─────等と思っていた時期が私にもあったんだよね。
先に結論を述べるとかっこいいので、述べておくけど。──二体どころか千体以上いたよ。
「どうしてこんなにいるんだよ!!!!!誰だステータスメッセージで二体って表記したやつは!」
そんな風に文句をぶっ込んで見たが、誰も答えてくれない。
まあ文句言っても誰も聞いてくれないなら仕方ない。
そんな訳で私は今────、
逃げ回る狼を倒した騎士の剣で追いかけては斬り倒す作業をしていました☆
え?チェーンソー?あーうん、壊れた。
正確には何か──〈耐久値が限界を迎えました〉とかステータスメッセージが出たと思ったら、パキイインとね。ポッキリと中程からへし折れたよ。
お陰で今は取り敢えず無限に湧いてくる騎士から速攻剣を奪っては、投げつけて行く作業をする羽目になったよ……。
ちなみにちゃんと数は減っていってるので、意味のある行為だと……思いたいなぁ。
髪をかきあげながら、私はそんな風に思ったのでした。
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