第17-2話
先ほどまで穏やかだった王妃様の雰囲気が変わった。
デミアン様も気づいたのか、その場に緊張感が走った。
私の発言や行動に何か問題があったか考えても、
何も思いつかない。
いったい、どうして…
「ローズよ、
植物への手入れを怠らない貴方が、どうして自分自身の手入れを怠るのですか…」
「パドリセンにいた頃よりもやつれてしまって…」
王妃様は、私の頬に手を当てた。
「なんて、冷たいこと…
もっと自分を大切にしなさい」
その場にいるみなが私のことを哀れんでいるのだろうか。
そうしてもらえれば、ありがたい。
何か逆鱗にでも触れてしまったのかと思ったが、こんなことでよかった。
「戻ってお食事にしましょう。
ローズ、貴方は私の隣に座りなさい」
「承知しました…」
「デミアン卿、
紳士としてローズをエスコートしてあげなさい」
「か、かしこまりました」
王妃様の命令だ、逆らえるはずもない。
私はデミアン様の馬車で、旧王宮へと戻ることになった。
〜〜
「ローズ様、どうぞ」
馬車に先に乗ったデミアン様が、私に手を差し出す。
「ありがとうございます」
デミアン様の手を借りて、馬車に乗り込む。
いつも1人で乗り降りをしているからか、
どうにも違和感を感じた。
「デミアン様、
王妃様にお手紙を差し出していたとは初耳でした」
デミアン様のことより、王妃様とのことが気になってしまった。
「やはりそうですよね…
ローズ様の関心は…」
デミアン様は、私が聞き取れない小さな声で何か呟いた後、事の経緯を話し始めた。
「元々は、王妃様からお手紙が来たのです。
ローズ様の体調は大丈夫か?
いかが過ごされているか?、そのような内容でした」
「ですので、私から直接会ってみてはと提案したのです」
「そうだったのですね…
他の魂胆を伺いましょう」
「全てお見通しなのですね…
この状況を打破するには王妃様の力が必要になると考えました」
デミアン様も、デミアン様なりに考えになったのだろう。
「ローズ様は、王妃様がお越しに来ることを見かねて庭園の管理を始めたのですか?」
「それもあります…
王妃様は、お出かけの際、必ずといっていいほどその土地にある庭園に足を運ぶ庭園好きのお方と存じていたので」
「そこまで計算していたとは…」
「ですが、正直期待はしていませんでした。
王妃様がアンディークにわざわざ足を運ぶ機会など、ないと思っていましたから」
「ローズ様でも想定外だったのですね」
「はい…
ですが、機転を利かせたデミアン様のおかげで、
チャンスが舞い込んできました」
「この機会を逃すわけにはいきません。
あとは、私に任せてください」
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