4.脱衣所にて
次で最後の体験談。せっかくなら、最後にほのぼのとした雰囲気で、このエッセイを締めようと思う。
また父が亡くなった時の話である。なんだなんだ、父絡みの体験談ばかりだな?
父が亡くなったすぐ後、葬式も無事終わり、疲れたのでゆっくりお風呂に入ろうとした。その脱衣所でのことである。
服を脱ごうとして上着の裾を引っ張った時、強烈な視線を感じた。
が、もちろん脱衣所には自分しかいない。実家の脱衣所は狭いので、他に誰かが隠れるスペースもない。
だというのに、物凄い視線。確実に誰かがいて、しかも間近で私を見つめてくるような視線を全身で感じ取ったのだ。
それと同時に、感じたことが一つ。
……ん? なんか、この視線……めちゃくちゃ焦っているような気配がしない……? まるで「ここにいるぞー! 気付けー!」って言っているような……
私は無言で服を脱ぐ動作をキャンセルし、脱衣所の扉を開けると、すすすと外に出た。すぐそこの階段に腰かけて、うーん唸りつつ十分ほど待機。この時の私、おそらく「考える人」のポーズをリアルでしていたと思う。そうして、改めて脱衣所に入ってみる。
そこに視線は感じなかった。
うん、まぁ、そりゃあ、ね……! 幽霊になったとはいえ、実の娘の裸なんて見たら、いたたまれなくなるよね……!
いやぁ、四十九日っていろいろな出来事が起こるな。そんなことを考えながら湯船に浸かった私なのだった。
さて、霊感がない私のなんちゃってホラーエッセイ。いかがだっただろうか。
改めて振り返れば父に関する強烈エピソードと、大学時代の体験談ぐらいしかない、平凡な日々だったなぁという感じである。まぁ、人生なんてこんなものなのでしょう。
エッセイ自体を書いたのが大学生時代の授業以来だったもので、これをエッセイと呼んでいいものかもわからない。ただ書いていてあの頃感じたもやもやが晴れた気がするので、良しとしましょう。
もうすぐホラーが似合う暑い夏になりますね。皆様、どうぞご自愛してください。
それでは。
日常のなんちゃってホラーエッセイ 光闇 游 @kouyami_50
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