第25話
後日、一般人である一花はもちろん顔は明かさずに、誠のイトコということで週刊誌にのった。
インタビュー記事にも、まだ大学生の誠を何かと気にかけていて、たまに泊まりにこさせていることなどを、まるで一花が語っているようにでっちあげられていた。が、それはもちろんこちらは了承済だ。
世間を騒がせないよう、うまいこと綺麗に纏められている記事に、思わず感心してしまった。
2人で撮った写真も提供したため、より説得性を持たせている。
「これでまぁ…仮にどこかで誰かに二人でいるところを見られても、変に騒がれる心配はいらないかもね。ただもちろん、あんまり会ってばかりいるのも不自然に思われるから気をつけなきゃだけど。」
「はーぁ。もっと堂々とできたらなぁー。
プライベートくらい放っておいてほしいのにさー」
相変わらず一花の家に泊まりに来ている誠は、まるで酔っ払いのオジサンのように、キュウリや枝豆を摘んでグチグチ言っている。
飲んでいるのはただの麦茶だが。
「そこまでの知名度があってここまで堂々としてるのってなかなかだと思うよ?私も変装でもしようかな。また撮られて会社に知られでもしたら困るし…」
「じゃあペアルックしない?最近俺とコラボしたスポーツウェアのメーカーが、カップル向けの商品をたくさん出したんだ!帽子とかサングラスとかも!」
「そんなのペアにしてたら余計目立つし怪しまれるでしょーがっ!それにペアルックとかしたことないし、単純に恥ずかしいよ」
「えっ!じゃあ俺が初?!やったぁーっ!」
「するなんて言ってませーん。」
「えーねぇ、ちょっとくらいいいじゃん、しようよペアルック!それでネズミーランドとか行きたいじゃーん!こないだ大学の奴らがオソロがどうとかって写真を見せてきたんだけど、あそこは最近みんなペアルックとかグループでオソロとかで行くんだってさ〜」
その言葉に、一花がピクンと反応する。
「なるほど、ネズミーランド!そこならちょうど行きたいと思ってたんだよね〜♪新しいアトラクションが先月から始まったんだよ!」
「おっ、じゃあ行こうよ!」
ようやく食いついてくれた〜と誠はニヤける。
そういえば盲点だったな、ネズミーランド。
女子はみんな好きってガチだったんだな。
「俺実はさ、たった1度しか行ったことないんだよ。しかも仕事で行っただけ。だから一花とプライベートで行きたいなぁ〜ペアルックで♡」
「うん、ネズミーランドならいいよ!週末行こっかぁ、結構近いし。あっ!でも誠は仕事で忙しいか」
「ううん!全然!一花とランド行けるなら何がなんでも予定合わせるし!」
「ダメダメ仕事優先しないと!」
「土曜日なら調整可能だから大丈夫〜♪金曜日の夜にペアルック一式持ってくるから、それ着ていこうね!あー楽しみ楽しみー♡」
既にかなりノリノリで嬉しそうな誠が、しっぽをちぎれんばかりに振るキューちゃんに見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます