第7話


「……今度こそずっと、そばにいるよ。一花……だから安心して。」


腕の中で眠ってしまった一花の額にそっとキスをし、ソファーの上に寝かせた。


やっと見つけた。

見つけてもらえた。

俺の宝物。俺の生きる理由。


今度こそ、俺は一花の幸せだけを一生守っていく。

他のことなんてどうだっていい。

俺は、君を少しでも苦しめる奴を排除し、君の安寧を一生保つから。


俺は一花を守るためだけに生まれ、そしてまた生まれ変わったんだから。



一花は、左腕が少し不自由だ。

あの時の事故の後遺症で、思うように器用には動かせないし、あまり重いものを持ったりはできない。


ジムで最初にそれを知った時、俺はこれまでにないほど胸が痛んだ。

一花はあのあと結局、軽度ではあるが障害のハンデを背負ってしまったのだ。


まだ俺との写真を飾ってくれている一花。

彼女の毎日の生活を少しでも助けていきたい……


だから俺は、大学の講義中だろうとジムのバイト中だろうと、いつどんな時も必ず外出時や買い物の際は俺を呼ぶようにと言ってある。

しかし一花が俺を呼んだことは1度もなくて、大抵は俺から連絡をする。


「一花。用事がなくても、ただ寂しいとか暇だとか、どんな時でもいいから俺を呼んでね。すぐに駆けつけるから。」


ある日、俺はこう言った。

それでも一花は未だ、俺を呼んだことはない。

でもそれならそれでいい。

一花の今の日常は、健康ということかもしれないから。



ぐっすり眠っている一花を起こさないように静かに皿洗いをし、後片付けをした。


一花の左腕には、障害の他に、古いリストカットの痕も残っていることに俺は気付いていた。

本当に薄らで、よく見ないと分からない程度かもしれないけれど。

俺がいなくなってからの、あの後かもしれない。

もしかしたらまだ、虐められていたのかもしれない。


いずれにせよ、俺が一花のそばから消えてからの長い年月は、一花にとってあまり良いことはなかったのだということは間違いない。


だから俺は決めた。


「一花を苦しめた奴ら全員に復讐する」


一花に少しでも酷いことをしたのなら、そいつらは全員、幸せになる資格は絶対にない。

俺は絶対に許さない。

あの時俺らを離れ離れにさせた奴らも。全員。



「だから安心してね一花。

君の幸せは永遠に俺が保証する。」



一花の柔らかい髪を撫でてから、別の部屋の、とある引き出しを開けた。

そこの奥に眠っている卒業アルバムを取り出した。

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