第2話

今日も飽きず世界は続く。

なんてつまらないのだろう。

そういう時、私には行く場所が在る。

――屋上だ。

ここからはこの街全ての風景が見える。

多く立ち並ぶビル。

子供たちの笑顔が溢れる公園。

――私が居るはずだった高校。

こんな風景を見てると自分の存在ってホントちっぽけなものだと感じる。

ああ、自分が死んだってこの世界は何も変わらない。

ただ、「夜船 朝姫」という一人の人間の命が消えてなくなるだけ。

別にどうってこともない。

今日も地球から消えた人がいる。

でも、この世界は進み続ける。

あとは、命の灯火消えるその日を待つのみ。


病室へ帰る。

私にはやることがない。

ここに来てもう4年目。

小学六年生の時、汗にちょっと固いものが

まじっていることに気づいた。

調べたら、「宝石病」だとわかった。

世界一美しい病だということも。

――治療法がないことも。

それからはもう、どうでも良くなった。

私が幼い時、失踪した父のことも。

耐えきれず私を置いて自殺した母のことも。

どうせ、私は死ぬ。

この事実は変わらない。

スマホを見る。

ネットには毎日を楽しむ女子高生の写真が上がっている。

なんで私だけ違うんだろう。

何か悪いことをした?

何がいけなかったんだろう。

私は、天に嫌われている。

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