第8話 ギャンブル

 


※過激表現がありますのでご注意ください







夜。エリアス様とキェーマ様が三階でしているのが、五階まで伝わってくる。それだけなら、まだ、まだかろうじてがまんできたかもしれないのだけど……、一つ問題が。


「フェルリナ姫ぇ~!」


こうやって、エリアス様がなぜか私の名前を呼ぶの。やめてー(泣)


「バカだあいつ」

と言いながらゼイツ准将じゅんしょうがドアを開けた。


「フェルリナ、ソーセージ食うか?」

「キャーーッ!」


准将じゅんしょうが入ってきて、私は悲鳴をあげてしまった。


「何叫んでんだ?」

「だってノック、ノックしました?」

「ああ?」


超ふつうに部屋に入ってきたんですけど! ゼイツ准将は、お腹にバナナやソーセージを抱えていた。シャワーを浴びたみたいで、白い長そでシャツに着替えている。


「腹減ったろ。飯もってきたから食えよ」

「どうしてエリアス様、私の名前呼ぶんですか?」

「さあな」

ゼイツ准将がサラミを咥えて、床にあぐらをかく。正直食欲ないけれど、せっかく持ってきてくれたので私もバナナを一本、手に取ってみる。食べ物の中に、いじわるなかおをしたピクシーの絵箱があった。


「トランプも持ってきたんですか?」

「何かやってた方が気が紛れるだろ。下うるせーし」

ですね。私は苦笑いした。

エリアス様たちの声きいているの限界だったから、これはうれしい。私はカードの箱を手に、ゼイツ准将と向かい合わせに座った。

「何を賭ける?」

ゼイツ准将が私の手から箱をとりあげる。

「人間の人って、こういう時お金を賭けるんでしたか?」

「金や物だな。妖精はちがうのか? 何賭けんだ?」

「秘密です」

「……」

「あ、ナイショって意味じゃなくて、秘密にしてることを賭けるんです。ゲームの前に、相手に話させたい質問をして、ゲームをして、勝ったら答えを聞き出せるんです」

「へえ」

彼は面白そうに口の端を笑わせた。

「いいな、やろうぜ」

「はい……」

まずいこと言っちゃったような。

妖精のことに興味もってくれたから、ぺらぺら喋っちゃった。どうしよ。自分から提案しておいてやめようなんて言えないし……。けど私はもう、一番知られたくない持病のこと知られちゃってる。これ以上恥ずかしい秘密なんてもってない。だから、平気だよね?


「んじゃ一回戦。フェルリナの質問は何だ?」


何だと言われても、私たちは知り合ったばかりだ。

「うーん、その前にフルネームきいてもいいですか?」

「ゼイツ・ウウ・ドライヴランド」

「えっ? ドライヴランド?」

ドライヴランドっていうのは、希少な戦闘民族の国だ。凄い強いんだって、幼馴染が真似していたから知ってる。

「ああ」

「じゃあ、ドライヴランドについて教えてください」

「いいぜ」

へええぇ、ゼイツ准将、そうだったんだ。あの時の幼馴染みたいに、私も目を輝かせて彼を見る。


すぱすぱと4枚のカードを配り終えたゼイツ准将は、残りのカードをおいた。


「俺の質問だが」

「はい」

目が合った。

「フェルリナは一人でシたことあるのか?」


 

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