シュレディンガーの殺人
青の音色
第一章 消えた猫
推理小説や殺人事件も全ては「叫び」から始まる。
私、
私立探偵になって早五年、助手の
まあ、大抵は不倫調査や、猫探し程度のものしかしていないが、だが偶然近くで殺人が起きたときに、叫び声は聞こえたかをきかれたくらい、殺人には「叫び」が関わってくる。
そして小説では大抵死体を発見した時は、使用人やメイドの叫び声から本編が始まっていく。
このことから、私は殺人は「叫び」から始まっていくと考えていた。
しかしある日、その考えが、いや私の常識内の殺人が崩れ去った。
「猫坂さん、なんか最近誰も来ないっすね」
助手が窓の外を眺めながら話しかける
「そう、欲しがるように言うんじゃないよ、なんも平和なんだからいい事じゃない」
そう返すと、助手は
「でもこのままだと潰れちゃいますよ、だってこの前も家賃払えなくて、バイトして返したじゃないですか、さらにやっと来たかと思ったら、猫探しで、さらに見つかんないで、何も貰えないで帰ってきたじゃないですか、そして昨日も、、、」
助手は決壊したダムのように愚痴をいい始め、そして私は右から左に聞き流していた、そんなたわいの無い日常を過ごしていると、
カラン コロン
とドアについてる風鈴がなる、ドアの方をみると1人の女性が立っている。
助手は
「こんにちは、猫坂私立探偵事務所にようこそ、今日は一体どうなされましたか?」
と、さっきの愚痴とは裏腹に優しく問いかける。
すると
「少し、調査をしていただきたくて」
と、女性は少し俯きながら話しかけてくる、そして
「わかりました、では立ち話もなんですから、どうぞこちらにお掛けください」
と助手がいい、そして私が
「わざわざ来て頂きありがとうございます、まず、ここの経営者兼探偵をやっています猫坂京太郎といいます、そしてこちらは助手の鮫島翔太です、ではまず初めにあなたのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
と聞くと
「はい、私は
と少し焦っているような声で言う、そして私が
「分かりました、では今回はどのような依頼でしょうか?」
と聞くと
「もしかしたら、私の彼が死んでいるのかもしれないんです」
突然の一言に静寂が走る、
「すみません、もう少し詳しくお話できませんかね」
そう問うと、
「すみません、少し混乱していて、まず私の彼氏の
「これをみている人へ、私人間関係は疲れたので、長い間旅行に行ってきます」
という文書が書かれていて、カレンダーには旅行の日程が書いてあったんですけど、その日は私との誕生日パーティーと被っていて、さらにメールを送っても返信が来ないんです、なのでもしかしたら自殺したんじゃないかって、ですが捜索願を出そうとしても、きっと旅行中としか対応してもらえないと思うので、依頼をしに来たんです。」
そう言うと、続け様に
「だから、どうか彼を探してくれませんか」
と頭をさげる
「分かりましたが、その話だと少し依頼でき」
「分かりました、この依頼を引き受けましょう」
助手の言葉を遮り私ははっきりと言う、そして助手からの冷たい視線を感じていると、夏山さんが
「ありがとうございます」
と言った、そして私は
「では、まずお二人の関係についてお話しいただいても?」
そう言うと、夏山さんが話し始めた。
まず2人は一年前、大学のサークルから知り合い、そして付き合うことになった、そして最近でも仲がよかったらしく、彼はとても人間関係に疲れている様子は見られなかったらしい。
話しが終わったあと、私は
「分かりました、では後日手紙やパソコン関係など、手がかりになりそうなものを持ってきてください」
と言い、夏山さんと別れた。
そして彼女が戸を出て行くのを確認すると、助手が
「何で今の依頼を受けたんですか、聞いた話だけだと死んだと断言出来ませんし、そもそも失踪というには証拠が少なすぎます」
と不満そうに言う
「まあ、確かに証拠は少ないかもしれないが、聞いた話、旅行に行くには少し不可解と思ったし、そもそもとして君は仕事をしたくないのかね」
「違いますけど、、、でも彼がただ単に嫌気がさしただけじゃないんですか、別れるカップルにもよく夜逃げなんてよくある話ですし」
「確かに一理あるが、それならわざわざ置き手紙を置いていったり、さらに彼女を作ったりしている人が人間関係に対して嫌気がさしたと言う表現を使うかかね」
「そう言われると何もいえませんが、、、」
「なら、不満はそこまで、さっさと調査するための準備をするよ」
と、こうして少ない証拠からの調査が始まった
シュレディンガーの殺人 青の音色 @aozoranimiomakase
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