第2話 余命、今年中

 「おい、ちょっとまて。そ、それは本当なのか?」

 「うん本当。前、私倒れたときあったでしょ。そのとき検査したら肺がんが見つかってね…。結構病気が進んでるって。余命宣告された…。」

 「い、いつまで?」

 「…今年中。今すぐではないけど3月まで持つかはわからないって…。」

 ー澪が死ぬ。その言葉だけが深く頭に残って離れない。このことを考えていて家に帰るまでの記憶が無い。次にちゃんと周りの存在を認識したのは、ベッドの上でだった。

 ピコン

 スマホが鳴った。誰からかと見てみるとなんと澪からだった。

 『まだ起きてる?』

 『うん』

 『さっき話したことだけど、別に今すぐってわけでもないから今は心配しなくていいよ』

 その言葉はどこか強がっているような、哀しいような言葉に思えた。

 『心配するよ』

 こんな言葉しか言えない自分に怒りがこみあげてきた。

 『ありがとう。』

 そんな言葉が返ってきたとき、俺は悲しさでいっぱいになった。すると突然、目尻が熱くなってきた。そのすぐあと目から水がでてきた。それがなみだだとりかいするのにすうびょうかんかかった。

 「あー…だめだ。もっと澪に会いてぇ…。」

 その悲しみを抱えながら俺は眠った。

 夢を見た。広い場所で俺の腕の中で澪が眠っている夢。俺は澪をきつく抱きしめ、そのまま離さなかった。

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

真夜中のラストダンス @shki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ