第127話 ただいま
俺が入院してから数十日が経過。あれから色々なことがあった。
まずは凛明とはるちゃんについてだ。
どうやら彼女たち、学校を辞退したらしいのだ。今はまだ学校に通ってるみたいだが、彼女たち曰く、今日が最後の学校生活らしい。
というかはるちゃんはともかくよく凛明は二人を説得することが出来たな。反対しそうなのに……。
そう聞くと、「……ん。学校の弱み、たくさん手に入れた……それに、春香の手伝いもする……グッジョブ」とのこと。
まぁ高校卒業が出来なくても、凛明は配信という収入源があるし、はるちゃんは正式に働ける場所が決まったらしい。
それと、今回の凛明の誘拐事件についてだ。
あの後、無事凛明を誘拐したパリピって女の子が逮捕されたらしい。
一応未成年ということもあって、少年法で逮捕されないと言ってるようだが……ヤクザ同士の抗争を主要人物として色々面倒なことになっている。
また、彼女が逮捕されたことで様々なことが暴露されることとなった。学校のことについてだ。
どうやら色々不正を働いていたり、学生と関係を持ったり、いじめを起こしていたりなど……それをもみ消していたことが判明した。
そのせいで、今凛明たちが通っていた学校も大問題。こちらもこちらで面倒なことになっているらしいとのこと。
またその過程で、凛明があのスカーレットということも世間に公表された。まぁ本人曰く、そんなことどうでもいいとのこと。
いやどうでもはよくないけどね?それで家の場所を特定されたりしたらどうするんだとか言ったら「…ん。その時は引っ越せばいい。それで解決」だとか。
……どうやら彼女は世間の目についてあまり気にしてなさそうだ。
また、入院している間、たくさんの人が俺にお見舞いをしに来てくれた。主にエーブルに所属しているメンバーだ。
「先輩死なないでくださいよ!まだ私の企画作っていませんから!!」と泣きながら結奈ちゃんに言われたのは記憶に新しい。
それに、カレンさん嫌味ったらしいことを言われた。「足でも動けなくなったかい?」と冗談交じりで言った所……紗耶香の右ストレートが彼女の顔面に炸裂した。
そのせいで病院で騒ぎが起き、面倒事を引き起こす問題患者として何故か目をつけられてしまった……解せぬ。
そして俺は……今日、無事に退院する。
「いてて……まだ少し痛いのかも」
久しぶりに外を歩くが、如何せんリハビリが想像以上にきつくて歩くのも正直に言えば辛い。
でも車があるわけでもないし、紗耶香達に家で待っててくれって伝えちまったんだよな……。
「……そういえば栞菜さん、一度も来てくれなかったな」
俺のお見舞いに彼女の姿がいなかったのだ。もしかしてそこまで心配してない?そんなまさか……まさかだよな?
「とにかく、まずは家に帰ろう」
そうして俺は、その足で帰路を辿るのだった。
◇
「つ、ついた……やっと帰ってこれた……」
宗治に頼んで車で家まで送迎してもらえればよかったと後悔しつつも、俺は目の前にある家を見て謎の達成感に浸っていた。
「あ、歩くのが辛いものだなんて思いもしなかった」
……今度は怪我とかしないようにしよう。そう思いながら、俺は家のインターホンを鳴らした。
まぁ少しは時間掛かるだろ、と思っていたところ、外でも聞こえるくらいの大きな足音だ聞こえてくる。
え?なになになに!?
少し頭の中でパニック状態を引き起こしていると、扉が開かれ、誰かが俺の身体をぎゅっと抱きしめてきた。
姿は見えなかったが、懐かしい香りが俺の鼻に漂ってきた。その人は身体を震わせながら、口を開く。
「エイジさん……!エイジさん……!!よかった……本当に生きてる……うう、グスッ……」
「か、栞菜さん…」
「おかえりなさい……おかえりなさい!」
その、何か言ってあげたい所なんだけどて、彼女の力があまりにも強すぎて何も言えなくなる。く、苦しい……。
そんなことを思っていると、ドアから二人の姿見えてくる。紗耶香と凛明だ。
「エイジさん、退院おめでとうございます。待っていましたよ」
「……おかえり。エイジのために色々準備した。はやくあがろ」
二人とも優しい笑みを浮かべ、そう言ってくれた。俺は今も泣いている栞菜さんと後ろにいる二人に聞こえるように精一杯の気持ちで伝えた。
「あぁ、ただいま」
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