第112話 秘密
「なんでここにあんたがいるってのよ?」
そこには、学校で一番目をつけられてはいけない人物と言われるパリピが目の前にはいた。
その姿を見た凛明も思わず顰めっ面になりつつも、春香を守るように彼女の前に立ち塞がる。
「……お前、春香に何か言った?」
「は?何言ってんの?私は特に何も言ってないわよ。ただ少しそこのメガネにお手伝いをして貰っただけ……ねぇ?」
「………」
それに対して春香は黙秘を貫く。ただ何かに怯えたようにパリピを見ていたのは間違っていなかった。
「ほら、さっさとこっちにきなさいよ。まだあんたにはあってもらわなきゃいけないことあるんだから。早くしないと……あのこと、バラしちゃうわよ?」
「ッ!ま、待って!!すぐに、すぐに行くから!!」
パリピがそう言うと、春香は錯乱状態になる。そのまま彼女の元に行こうとして……その足が動くことはなかった。
「……り、凛明ちゃん?」
「……春香……もしこのまま行ったら、奴の思い通りだよ」
「で、でも……」
「………春香。私を……信じて」
凛明の言葉に春香は俯いた顔を上げた。そこには、少しだけ口元を上げている彼女の姿があった。
「……春香から手を引け。お前なんかが、春香の人生をめちゃくちゃにするな」
「……は?」
突然の凛明の言葉に思わず漏れた様に言葉が出る。そして数十秒経ち……パリピはそれを、鼻で笑う。
「それをあんたが言う資格があるわけ?私は別にこいつの善意を受け取ってるだけですけどぉ?」
「……善意?……人を散々バカにしていたお前に?……ふざけるのも大概にしろ」
徐々に言葉遣いが荒くなる凛明を見て、春香は感じた。今彼女は、本気で怒ってるのだと。
「じゃあそれが本当かどうか聞いてみる?ねぇ、メガネ??」
「ッ!?」
「あんたはただ、善意で私の言うことを聞いているだけなのよねぇ?もう、メガネったら仕方ないんだから……どうしようもないくらいお人好し」
……怖い。
パリピの言葉一つ一つが春香に威圧する様に思えて仕方ないのだ。
自分の言うことに逆らったら、どうなるか分かるわよね?という……暗示。
もしこのまま彼女に逆らえば私は学校にはいられなくなる……でも。
(もし、もしこのままこの人の言いなりになったら……)
……私のことを信じてくれた凛明ちゃんの思いは無碍になるんじゃないか?
春香は凛明を見る。今も自分を信じて、戦ってくれてる自分の友達。
「……ご、ごめんなさい」
その思いを裏切ることは、たとえ自分がそれで、退学になろうとも……。
「……できません」
彼女には、春香という人間にはそれができなかった。
「……は?あんた正気?自分で何言ってるか分かってんの?」
「ご、ごめんなさい……でも私、できません……凛明ちゃんのこと、裏切れません……!」
「……春香」
その言葉に凛明は驚くと同時に……嬉しくも感じた。嘗て友達をいらないと言っていた癖に、随分と変わったものだと、彼女は思う。
「……はぁ、ほんっっとにバカしかいないのかしら?なんだか頭が痛くなるわ〜……まぁいいわ。あんたがその気なら広めてあげようじゃない。まず最初に……そこの歌姫にね」
「……何が言いたい?」
意味のわからない言葉に、凛明は疑問に思うが、パリピはそのまま言葉を続ける。
「ねえ、知ってる?この学校ってバイト禁止なんだって。特に風俗とかね。ま、後者は当たり前だよね〜」
そう言いながら、パリピは春香の方に指を指して言い放つ。
「そいつ、一度だけ働いてたらしいのよね」
その言葉に春香は目を瞑り、凛明は衝撃で口が塞がらなかった。
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