第107話 来訪する配信者のお友達


「……ほんとに大丈夫なの?私から言っておいてなんだけど家に入っても」


「……ん。大丈夫……なんとか許可は貰ったから……大丈夫」


「そ、その割には表情が険しいような……」


「……大丈夫。少し昔を思い出しただけ」


「?」


現在は学校が終わり、二人はテスト勉強をするために凛明の家に向かっていた。

凛明はというと、これから出会うであろう栞菜と紗耶香のことを思い出しており、少し眉を顰めていた。


「……ん。着いた。私の家」


「凛明ちゃんを迎えに来た時も思ったけど、おっきな家だね」


どうやら着いたらしい。二人の目の前には人気は少ないが、それでも立派とも言える家がそこにはあった。

それを見て、春香は不思議と緊張感が増していく。


「……春香?」


その様子には凛明も違和感を覚えたようで心配そうに聞くが、春香は大丈夫と笑顔で答える。

疑問に思ったものの、凛明はそんなことより早く家にあがろうと考えていたため、頭からその疑問を捨て、家のインターホンを鳴らす。


『……あ、あぁ……凛明か』


「……エイジ?なんか死にそうな声だけど……大丈夫?」


『だ、大丈夫だ……もう帰ったんだな。少し待っててくれ』


何故か死にそうな祐介の声に凛明は驚愕しつつも、玄関の扉の前へ春香と一緒に待つ。


しばらくして、扉の鍵が開ける音がした。そして扉が開けられ……二人はその祐介の姿に目を見開いてしまった。


「お、おまたせ……」


――なぜかそこには、ホコリを被ったボロボロの男の姿があったのだから。





や、やばい……掃除をしていたらもう来ちゃった……。


玄関の前には凛明と……この前見た眼鏡をした女の子の姿が映っていた。

そして二人とも俺の方を見て凄い青ざめているような気がする。


「え、エイジ?だ、大丈夫?なにかあった?」


いつもの素っ気ないものとは違い、本気で俺のことを心配しているような様子でこちらに駆け寄ってきている。


「だ、大丈夫だ……掃除に全力を尽くしただけだから……」


「……そ、そうなの?」


「あぁ……とにかく入ってくれ。あ、確か春香ちゃんだったよね?きみも入って入って」


「は、はい……」


何故か凄い心配そうにこちらを見ているが……そこまで酷い表情だったのだろうか。


いやまぁ……自分の寿命削ってまでボロボロになった部屋を掃除したんだから……当たり前かもしれない。


「……?栞菜は??」


「あぁ……栞菜さんなら」


……自室で反省文を書かせています。

掃除をした後、あの後栞菜さんに物凄い勢いで謝られた。


正直な所、彼女の考えも理解できたからあまり攻める気は無かったけど……それじゃあ彼女が納得しないってことで反省文50枚に済ませていた。


「え、エイジさん!?」と何故か青ざめた顔で驚愕していたが、俺は別に怒っていませんよ?


「凛明、どこで勉強するんだ?」


そう聞くと、凛明は少し間を空けて、後ろにいる春香ちゃんに目を向ける。

すると、小さな声で相談している姿が目に入り、しばらくして凛明が答える。


「……リビングでやる」


「そっか、分かった。ならテーブルにお菓子用意しておいたから勉強していってくれ」


「……エイジは?」


「俺は少し部屋でやることがあるからな。それに二人の邪魔をしちゃいけないし」


そう言って俺は2階に上がろうとして……凛明に裾を掴まれる。


「?凛明??」


「………エイジも一緒にいて」


「え、でも」

「いて、お願い」

「……」


言葉は少ないが、それ以上に何か強いものが感じる。

い、いいのか?少し困惑していると、後ろにいる春香ちゃんが話しかけてくる。


「………あ、あの………その、一緒にいてくれませんか?」


「え………う、うーん、まぁ二人がそこまで言うなら」


そう言うと、凛明は満足そうにして裾から手を離した。


「だったら先に行ってくれ。俺はパソコンを持ってくるから」


「……ん。お菓子食べて待ってる……行こう春香」


「う、うん」


そう言って凛明と春香ちゃんはリビングの方へと向かっていった。

俺は2階にある自分の部屋に向かっていく。


(……ちゃんと失礼のないようにしないとね)


リビング、汚くないかな……?とか少しだけ思ったまま。



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