第101話 マンションに着くと……
「まったく、なんで私たちの姿を見て立ち去ろうとしてるのよ。そんなに変なことなんてしてないわよ。ねぇお父さん?」
「……そうだな」
あれから母のお付き合いを強制的にさせられて二時間が経過した後、そんなことを言われた。
いや確かにご尤もなのは確かなんだが……何故か自分の親が現役の若者みたいなことをしてるのを見てると羞恥心を感じてしまったのだ。
それになんだか俺自身が老けたみたいで……言ってると悲しくなってきた。
「……久しぶりだな、祐介」
「………あぁ、親父」
……そんな素っ気ない態度を取るならもう少しその嬉しそうなオーラを消してくれませんか?
普段の態度とギャップを感じてしまうせいか、そんなツッコミを入れてしまった。
「ねぇ、早く祐介の家に行きましょ。今冬だからここにいるととても肌寒いわ」
「……そうだな……祐介、頼む」
「あ、あぁ……」
……色々と言いたいことは山ほどあるが、俺もあまり外にいたくないのも確かだ。
「じゃあ案内するから二人ともついてきてくれ」
「えぇ。なんだかとっても楽しみだわ〜ねぇお父さん?」
「……そうだな」
とりあえず俺は二人をお家……正確には宗治と真中が住んでいるマンションに案内するために向かうのであった。
◇
「……ここだよ。今は色々とあって宗治たちのマンションに住まわせてもらってるんだ」
「ひゃ〜おっきいわねぇ。私たちの家の何十倍もしそうねぇ」
一応二人には今日のメールで大まかには事情は話してある。
俺が会社を辞めたこと、そのせいでアパートを売り払ったこと、それで芦戸兄妹のマンションに住まわせてもらってることなど様々だ。
俺の前の会社……AOブリティアを辞めた時はひどく驚いていたが、何時間も残業して精神的に辛かったから辞めたと言ったら納得してくれた。
「とりあえず案内するよ」
「なんだか足腰が痛くなりそうだわ。一緒に頑張りましょうねお父さん」
「……あぁ」
「いや、ちゃんとエレベーターあるからそこまで心配しなくてもいいから……」
二人にツッコミつつも、とにかく二人を部屋へと案内するためにそのマンションの中へと入っていく。
相変わらずの大きさには俺も未だに慣れないが、そう思いながらも俺達はエレベーターに乗り、目的の階のボタンを押して登っていく。
エレベーターを乗っていると感じるあの浮遊感は少し苦手だ……どうやら親父も少し苦手そうだ。顔を顰めている。
しばらくするとエレベーターの扉が開いた。そしてそこから三番目にある扉まで移動して……二人が住んでいる部屋へと着いた。
「久しぶりに真中ちゃんと宗治くんと会えるのね〜楽しみだわ〜」
「はいはい分かったから早く入るよ」
いつもの母さんの言葉を聞きながら、俺はそのインターホンを鳴らす。
これでどっちかがでてくれるはず……なんだが。
「……あれ?」
出てこない?もしかして間違えたか……?いやそんなはずは……。
少し頭の中で困惑していると、玄関のドアが開いた。目の前にいたのは……少し気まずそうにしている真中の姿であった。
「……来ちゃったのね」
「?どうしたまな」
「真中ちゃん!久しぶりね!見ない内に立派になって……!おばさん、嬉しいわ!」
「え、えぇ。お久しぶりですお母さん……ちょっと祐介、少し来なさい」
すると、少し感動している母さんを軽く受け流し、こちらに手招きをしている真中がいた。
すこし疑問に思いながらも、彼女の近くに行く。
「どうした?なにかあったか?」
「い、いえ。支障をきたすようなものじゃないけど……ちょっとだけ面倒なことになっちゃって」
「?面倒なこと??」
なんだと思い、真中に聴こうとすると、奥の扉が開かれる音がした。
するとそこには……。
「……ようこそいらっしゃいましたお二方。お待ちしておりました」
「………え?」
俺は…それを見て開いた口が塞がらなかった。
なぜならその奥にいた人物とは……。
「……か、栞菜さん?」
「……ん。私もいる」
「り、凛明??」
そこにはなぜか栞菜さんと凛明の姿があったのだから。
……いやほんとになんで?
【もし面白いと感じたらフォローや⭐️、❤️をお願いします!!!】
また、こちらの作品の方も見てくださると嬉しいです。
《全てを失う悲劇の悪役による未来改変》
https://kakuyomu.jp/works/16818093076995994125
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます