第86話 学校というなの修羅場
薄い雲が漂う青い空の中、今日も今日とて賑やかに騒いでいる学校の中。
部活に育む者や勉強に専念する人物……そんな様々な人がこの学校に滞在している。
それは彼女のクラスでもある1年C組も例外ではなかった。
クラスの中ではたくさんの話題が駆け巡っているいつものクラスの姿。
気だるい先生の話、小テストがあると知って急いで勉強する様子、また窓の外をぼーっとみる人の数々……ありふれた日常が繰り返されそうとしていた。
だが、それはある人物によって彼らの日常はまた別の形になろうとしていた。
ガランと教室のドアが開く音がした。誰かが入ってきたのだろうと生徒はドアの方を見て……絶句してしまった。
見間違いだろうか?いや、そんなはずはない。だってその人物は……自分と同じクラスでもあり、忘れたくても忘れるはずがないのだから。
「……な、なぁ、俺の見間違いじゃなかったらあれって……」
「バカッ!そんなはずないだろ!あいつが学校に来るわけ……」
「じゃあなんで学校に来てるの?しかも平然としてるわよ?」
クラスの中でそんな会話が繰り広げられてる中、彼女は……凛明はいつもどおり、何事もなかったかのように席に座ろうとする。
「……?あ、そっか……席変わったんだ」
既にそこに座った人物を見て、自分の席が変わったと理解したかの彼女は席が書かれてある教卓へと向かう。
そして自分の席の場所が分かったのだろう、彼女はすぐにその場所に……男子学生が集まっていた机へと向かう。
「……そこ、私の席……邪魔」
「あ…悪い……」
その気迫に特に何も言えるわけもなく、怯えたように彼女の机から離れた。そして凛明は鞄を机の横に掛けて自分の席へと座った。
『…………』
先ほどの騒がしい空間は嘘のように静寂の間へと変化させた。全員彼女のことをじっと見てるからだ。
しかし、能天気な彼女はそんなことも気にすることもなく、日課となっていた音楽をイヤホンを掛けて聞くことに。
「……ふふっ」
エイジから教えてもらった彼の好きな曲。凛明はそれを知ることが出来て嬉しいのか自然と口元が綻ぶ。
『ッ!?』
その仕草に全員が驚愕を受ける。それもそうだろう。彼ら彼女らは凛明の笑顔など愚か、表情の変化など見たことがなかったんだから。
無愛想の凛明……それがこのクラスにとっての常識だった。
だがそんなもの、さきの出来事で消えた。
それほどまでに、彼女が笑うということは衝撃的なことだったのだ。
「はははっ!いや今日まじで面白いことがあったんだわ!」
だが、そんな静寂な空間を打ち消す大声量が聞こえてきた。
あいつらだ……彼らはその声を聞いて理解し、顔を無意識に顰めてしまう。
そこには校則に引っかかりそうな金髪の髪をしたチャラそうな見た目をし、色々な意味で有名になっている人物。
噂では裏社会と繋がっていると言われている危険の一人であり……凛明を不登校へとさせた張本人だ。
因みにだが、彼女の動画でアンチとして叩かれたのもこの人物である。全く愚かで無様で滑稽な人物なのであるのだ。
彼の周りにいる取り巻き達もまた、問題がある者達で、学校側としても頭を抱えてしまう人物達がその1−Cクラスへと入ってきた。
誰も彼らに逆らうことなど出来ない……逆らったら何をされるかが分からないから、目をつけられないように周りの人物たちは顔を逸らしている……ただ、一人の人物を除いては。
凛明は彼らが教室へと入ったのも気づかずに相変わらずマイペースにエイジに勧め立てた音楽を聞き続けていた。
「はっはっはっ………は?」
そんな能天気な凛明に気づいたのか、圭介の笑い声が突然途絶えることとなった。それに周りの人物も様子を伺い、彼が見ている方向を見ていると……いるはずもない人物がその席に座っており、衝撃を受けていた。
「……なんで……なんでてめぇが……!」
そしてあの時の怒りを忘れられないのか、ドンドンと力強く床を踏みしめて、彼女に近づいてくる。
その様子に全員がハラハラドキドキとしていた……凛明を除いては。
「なんでてめぇが
彼の怒号に対して彼女は……ん?と目の前の人物にやっと気がつく。
そして……彼女の第一声は……。
「………誰だっけ?」
……そんな、目の前の人物のことを本当に忘れたようなものであった。
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