第66話 新時代の勢揃い
「それで考えてくれたのかい?天晴あおいとのコラボ」
3人と一緒に椅子に座り、手を組ませながらこちらに聞いてくるカレン。
それに対して俺は今の現状を述べる。
「……おそらく、それはできないかと」
「その理由は?」
「彼女が配信を引退すると考えてるからです」
「なんだと……!」
すると、一人の男が驚くように声を荒げる。
「落ち着きたまえリゲル。彼の話を聞かないと何も分からないではないか」
「でもよ蓮!あおいがやめるんだぜ!?落ち着いていられるか!!」
……リゲルに、蓮。確か
屈強な肉付きで黒髪のリゲル。よく筋肉や運動について語り出す配信で取り上げ、対する青髪をした蓮はその頭脳明晰という力を生かし、雑学などの知識を配信している。
「ちなみにだけどどっちも偽名だよ。流石に人様で名前を知られるわけにはいかないからね」
「……まぁそりゃあそうですよね」
カレンの言葉に納得がいく。リゲルって名前はあんまりいないからな……。
「それで、エイジさん?あおいちゃんが配信者を辞めるとはどう意味なのでしょうか?」
ほんわかに聞いてくる包容力が高そうな女性。ということはこの人は……。
「名前が認知されない時から一緒に頑張ってきたのに、やめるだなんて寂しいわ……ね、カレンちゃん?」
「
カレンが全員をまとめるように声を荒げる。そんな様子を見てると、咲凜さんがこちらをじっと見つめ、意味深に笑みを浮かべてくる。
(……ミステリアスなvチューバー、咲凜。基本は視聴者とのんびりとした会話やASMRをしているが、たまに出る彼女の過去というなの闇……それが人気の秘訣にもなったんだっけか?)
「女性の過去に余計な詮索はだめですよ〜」
「……これは失礼しました咲凜さん」
「分かればいいんですよ〜うふふ」
……どうやら
「……エイジさん。詳しく聞かせてくれないかい?あおいについて」
「……わかりました」
やっと全員が落ち着いたところで、俺はこれまでのあおいの……紗耶香のことを彼らに語った。
◇
「……なるほどね。そんなことが」
ふむ……と考え出すカレン。その間、バンッ!と机を叩き出すリゲル。
「情けねぇ……情けねぇぞあおい!俺は、お前をそんな奴に育てた覚えがねぇぞ!」
「何バカなことを言ってるんだ。君があおいを育てたわけでもあるまいし」
「バカ言っちゃいけねぇよ蓮!昔、あれだけ人気になろうって俺たちは決めたのに……やっと波に乗り始めた頃に引退?ふざけんじゃねぇぞ!」
……昔?リゲルさんの言葉に違和感を持ち始める。
すると、そんな俺の様子を見ていたのか、咲凜さんが助言してくる。
「知らなかったんですか?あおいちゃん……紗耶香ちゃんは一時期、ここに住んでいたんですよ?」
「……えっ?」
住んでいた……?じゃあ栞菜さんたちと一緒に住む前、紗耶香は彼らと一緒に過ごしていたということなのか……?
「僕らは家族同然だ。まぁ、色々と事情があってここに住み始めて……十年くらい前だったかな、少しの間あおいが来たんだ……すぐに出て行っちゃったんだけどね」
「時間なんて関係ねぇ!俺たちはずっと仲間だ!それなのにあおいは……うおおおおおおん!!!」
豪快に泣き始めるリゲルさんに対して、よしよしと頭を撫で始める咲凜さんにまるで何事もないように紅茶を飲んでいる蓮さん。
……いつもこんな感じなのか?
「……エイジさん。今日、君が来たのはそれを私たちに伝えるためかい?」
カレンが確認も込めて言ってくるが……そうではないと意思を示すように首を振る。
「皆さんの知っている紗耶香について教えて欲しいんです……過去も含めて全て」
「……それをエイジさんに伝えるメリットは?」
「……彼女とのコラボ配信を約束します。それと……貴方が言った編集も一時的にやらせていただきます」
その言葉にカレンは少しだけ目を見開く。
「……本気なのかい?とても大変だと思うけど……」
「それであの子が後悔しない選択をしてくれれば、俺はそれで十分です」
「………そっか………へぇ、やっぱり面白いねエイジさん。あの子が好きになるわけだ」
意味深に笑みを深め、こちらを見つめるカレンさん。それに対して俺も彼女の目を見つめ……しばらく経って、彼女の口が動く。
「いいよ。話してあげる……彼女のことを」
「……いいのカレンちゃん?この事はあまり話さない方がいい気がするけど」
「心配しなくても大丈夫だと思うよ咲凜。多分この人なら……」
二人もそれでいいよね?とカレンがリゲルさんと蓮さんに聞くと、渋々頷く。
「……あいつの為に動いてくれる奴なら……」
「僕は反対しないよ。リーダーにお任せするよ」
「ははっ、言ってくれるじゃないか。ありがとう」
そして彼女が再び俺の方に向ける。だが、その顔は……いつもと違い、少し真剣さが増していた。
「じゃあ話そうか……私たちが知っている彼女の過去について」
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《全てを失う悲劇の悪役による未来改変》
https://kakuyomu.jp/works/16818093076995994125
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