第49話 ホテル
飛行機に乗って数時間、俺たちはやっと北海道に着いた。
行ったことがない所の景色に困惑とワクワクが湧いてくる。
それに不思議といつもと匂いも違うように感じる。
そんなこんなで俺たちは事前に予約していた旅館へと向かうのだが……。
「……でかいなこりゃ」
「そりゃ有名な場所だからね。それに、ここからスキー場もあるらしいから、それも影響してるんじゃないかな?」
いやだとしてもこれは……一軒家なんて比べ物にならない大きさのホテルに思わず俺は口を閉じることが出来なかった。
「とりあえず中に入りましょ。早く荷物とか置いて休憩したいわ……もうみんな行ってるしね」
「……そうだな」
前を見ると、紗耶香ちゃんたちが気にせずホテルの中に入っていく姿があった。
俺も芦田兄妹と顔を見合わせてから、その中に入っていく。
ロビーを見てみると、やはり中はとんでもなく広くなっている。それに伴い、受付のエリアもさらに大きい……。
周りを見てみたらスノーボードなどを置いている人も多いし、スキーをする人たちのためにこんな広い構造になってるのだろう。
「そういえば祐介。部屋決めはどんな感じなんだい?僕たちは真中と結奈ちゃんで1、2で分けたけど」
「あー……それがな」
俺もそんな感じで女性3人、男1人で分けようと思ったのだが、何故か栞菜さんたちに2ー2で分けて欲しいと頼まれたのだ。
それを二人に説明したら……宗治は呆れたようにため息を吐いて、真中は何故か猛スピードで栞菜さんたちの所に向かった。
「……な、なんだ?」
「はぁ……相変わらず君は……これ、しばらく荒れるから待っておいた方がいいよ」
「えっ?どういうことだ?」
宗治は指で栞菜さんたちの方に指を指す。俺もそれに釣られてそっちに向くと……何故か彼女たちがじゃんけんしている姿が目に映った。
『じゃーんけーん、ポン!!』
それはホテル中に響き渡っており、他の人も彼女たちに注目している。
「……変装してるとはいえ、あれは大丈夫なのか?」
「君の心配はそこなのかい?もっとこう……彼女たちについて思うところはないのかい?」
「思うところ?そう言われても……なんか、必死な様子だな」
「……だめだこりゃ……」
頭を抑えて何かに呆れ果てた様子を見せてるが……一体なんなんだ?
そうしていると、誰か勝利の雄叫びが上がった。
「よしっ!!よし!!よしよしよしよし!!私の勝ちね!!」
……それは、さっきまでここにいたはずの真中。あいつ、何やってるんだ……?
「くっ……ま、まけちゃった……エイジさんの部屋で二人っきりの計画がぁ……」
「……無念、ここに極まり」
「………むぅ、本当ならエイジさんを誰かに渡したくないのですが……仕方ありませんね」
「皆さん、凄い必死でしたね……私も人のことは言えませんけど……」
負けた人たちは明らかに残念そうに様子をしている。
そんな光景を見てると、真中がとても嬉しそうな様子でこちらに近づいてきた。
「祐介!私、勝ったわ!!あの人たちにじゃんけんで勝ったわよ!!」
「あ、あぁ……そうか。そりゃ、よかったな……?」
大喜びしてる……いや、少し頬がほてってないかこいつ?
「さっ、さっ!早く一緒に入りましょ!」
「えっ……ど、どこにだ?」
「そんなの、私たちの部屋に決まってるじゃない♪」
「はぁ……?」
訳も分からず言葉が漏れ出てしまう。そして宗治、さっきからなんで俺のことをジト目で見てるんだ?
それに3人とも?そんなに睨まないでください……後ろに阿修羅が見えて仕方ないよ……。
「……真中さん、先輩……お元気で」
……何故か結奈ちゃんが意味の分からないこと言ってるし……。
そうして俺はそんな訳も分からない状況のまま真中と一緒に部屋に入っていったのであった。
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