第48話 空港、飛行機にて


旅行の計画を3人とともに立てて数日が経ち、準備が出来たところで空港に来たんだが……。


「……なんでお前らがいるんだ?」


「あ、あはは……真中と結奈ちゃんが行きたいって駄々をこねてね」


爽やかなイメージのあるイケメン……宗治がバツが悪そうにして後ろにいる二人を見やる。


「栞菜さんたちを誘って私たちを誘わないなんて、いい度胸してるじゃない貴方」


「そうですよ先輩。こういうのは全員で行くようなものです。なんで四人だけで行こうとしてるんですか……寂しいですよ……」


真中は今までないくらい笑顔になり、結奈ちゃんはそっぽ向いている。

……物凄い怒っているのと拗ねているだなこれ。


「……しまった…言わなければよかった……」


「もうっ!なんで3人に言っちゃうのよ凛明!折角4人で行けると思ったのにぃ……」


「まぁいいじゃない。初めての旅行なんだから、みんなで楽しみましょう」


どうやら凛明が彼女たちに言及したらしいね。


紗耶香は4人で行きたかったのだろうか、ちょっと怒ってるがそれを栞菜さんが宥めてる。


ふむ……今回の栞菜さん、旅行に行くのが楽しみか分からんがいつもより機嫌がいい気がする。


「でも大丈夫か?みんなに相談せずに決めちまったけど」


「えぇ。予め凛明に聞いてあったから心配しないで頂戴」


「確か行くところって北海道でしたっけ?一度も行った事がないので楽しみです!」


「その近くにあるホテルもいいらしいよ。それに温泉もあるらしいからね」


「……温泉、入りたい」


「私も楽しみで仕方ありません。あとお土産も買いに行きましょうよ!なんか面白いストラップがあるらしいので見に行きたいです!」


そんなこんなでみんなの会話がどんどん広がっていく。

その光景を栞菜さんと一緒に見ながら、時間を確認した。


「そろそろ時間ですね……行きましょうか栞菜さん」


「はい。ふふっ、私もなんだか胸が踊っています……一緒に楽しみましょうねエイジさん?」


いつもの大人っぽい笑みではなく、純粋な女の子のように微笑んだ栞菜さん。


俺はそれに頷いてから、みんなと一緒に飛行機の中に入っていくのであった。





「わぁ……!先輩見てください!雲!下に雲がありますよ!」


「そりゃあ空を飛んでるからね。当たり前だよ」


現在、俺たちは飛行機の中にいる。窓を見ている結奈ちゃんは飛行機に乗るのが初めてなのか、少しはしゃいでいた。


他のみんなはそれぞれ別の席に座っていて、俺は結奈ちゃんの隣に座っていた。


「それにしても先輩。このお弁当中々に美味しいですね」


いろとりどりの弁当を見ながら彼女は頬に手を当てて、美味しそうに口に頬張っている。


「うん。俺もあんまり食べたことはなかったけど中々にいけるね」


「ですよね……その割には食べるスピード遅くないですか?私なんてもう無くなっちゃいますよ」


「人それぞれにペースがあるの。結奈ちゃんが早いだけだよ」


「……先輩ってデリカシーとかないんですか?だから一回も彼女とか出来ないんですよ」


「なんでいきなりディスられなきゃいけないんだ?」


急にきつい言葉を吐いてきた。いやまぁ真中や宗治からもデリカシーないとか言われてたけど……。


「あっ……無くなっちゃいました……」


空になったお弁当を見てしょんぼりそうにしている結奈ちゃん。


「……あげようか?」


「えっ、いいんですか?」


「全部はダメだけど、少しならね」


そう言いながら、おかずの一つを箸でつまんで彼女の口元に運んでいく。


「えっ!?あ、あの先輩……?」


「ん?どうしたの?やっぱり食べない?」


「そ、そう言うわけじゃ……も、もうっ!」


意を決して彼女はそのおかずを口に入れた。だが、その割には妙に塩っぽくなって……。



「………エイジ先輩って、ほんとに鈍感なんですね」


「あの、なんで急にその名前を……?」


「知りませんよ!!先輩のバカ!バカ!!バカ!!!」


「え、えぇ……」


なんでこんな罵倒されなきゃいけないんだろう……?


ぷいっと顔を背けて外の景色を見ている後輩を見て俺はそう思ってしまった。




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