第四章
第47話 旅行の計画
株式会社エーブルが設立して数週間が経った。
始めはあまり世間にも知られてはいなかったが、栞菜さん達大物配信者達が属する会社ということで今では注目を浴びている。
基本配信者のみんなのやることとしては変わらないが、ちょっとしたコラボをしてみたり、メンバーシップ限定の配信を投稿、それに配信者の講座などを提供している。
もう少し知名度が上がったらエーブルの大規模企画みたいのをやろうと思っている。
これは、結奈ちゃんが張り切ってたので基本は彼女に任せてある。
それで、今は何をやろうかとしていると……。
「……旅行?」
「はい。記念として皆さんでどうかなと思いまして……」
そう提案してきたのは紗耶香であった。
「そうだな……金はまだあるから、いいんじゃないか?みんなが良かったらだけど」
「本当ですか!よしっ!エイジさんに許可貰い〜♪」
そうしてルンルン気味になる紗耶香を見て微笑ましくなる。
「そういえば栞菜さん。三人で旅行ってしたことあるんですか?」
「うーん……私達は元々生きるのに精一杯でしたのでそこまでの余裕は…」
「……でも、いつかしたいと思っていた…私、行ってみたい」
「そうですよ栞菜さん!これを機にみんなで旅行にいきましょうよ!」
「そ、そうね…」
すると、俺の方を見てくる栞菜さん。迷ってるのだろうか…?
「紗耶香にも言いましたけどいいんじゃないですか?最近だとお金もあるし、みんなで旅行に行くのも楽しいですよ」
「そ、そういうものですか……?エイジさんがそう言うなら」
「やったァ!ありがとう栞菜さん!!」
「……旅行……楽しみ」
初めての旅行にとても楽しそうにしている二人に少し慣れない事にオドオドしている栞菜さん。
しかし、三人とも嬉しそうにしている様子が見て分かった。
「それじゃあ楽しんできてくださいね。土産話待ってますから」
その間俺はどうしようかなぁ…とか考えてると腕をぐいっと力強く引っ張られる。
「え、エイジさんも行くんですよ!?」
「えっ、俺も?」
「……そもそもどうして行かない発想になる?」
「い、いや……こういうのって男の俺が入ったらどうなのかなって思って」
「エイジさんがいないと意味ないんですよ!?ねぇエイジさん!一緒に行きましょうよ〜!」
「……ん。エイジももうここの家族……行かないのはおかしい」
そう言って俺の腕をぐいぐい引っ張ってくる二人。ちょっ、軽く脳震盪起こすからやめて……。
「その、私も……エイジさんと一緒に行きたいです……」
何故かそこに子犬みたいに期待の眼差しでこちらを見てくる栞菜さんの追い打ちがきた。
「わ、分かった。分かったから。俺も一緒に行くからとりあえず揺らすのやめて……」
「ほんと!?ありがとうエイジさぁん!!」
すると、紗耶香は身体を揺らすのをやめて今度は俺にぎゅう……と肩に抱きついてきた。
「……ん。賢明な判断。さすがエイジ」
そして椅子の上に立って、何故か俺の頭をよしよしする凛明。
「……旅行…どんな所なんだろう……ちょっと楽しみかも」
ふふっ、と栞菜さんは楽しそうに笑っている。
うーん……なら、色々スケジュール管理とかしておかないとな。
そう考えながら、俺達は旅行の計画を立てるのであった。
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