第34話 人気になる方法
「ただいま戻りました〜」
芦戸家から帰ってきた後、俺は夕飯の準備だけ買ってきて帰宅した。
今日は珍しく誰も迎えにこない。いつもなら凛明だったり紗耶香だったり来てくれる気がするんだけど....。
「....まぁ、そんな時もあるか」
そう解釈をしてから靴を脱いで、玄関に上がり、リビングへと入っていく。
「....ここにもいないのか?」
思わず疑問に思ってしまう...うーん誰かはいると思ってんだけどな。
「今ご飯を作るのは早いし....お風呂でも沸かすか?」
.....そうするか。俺は夕飯の材料を置くや否やリビングから洗面所へと向かう。
今日は新しい入浴剤も買ったし、それを試そうかな....なんて思いながら、洗面所のドアを開けた。
『えっ?』
「.....え?」
そう、これに関しては俺が悪い。悪いかもしれないが言い訳させてほしい。
.....まさかこんな時間に栞菜さん達がお風呂に入るとは思わんやん。
『きゃぁあああああああああああああ!!!!!!!!』
....その後に記憶は、あまり覚えていない。でも一つだけ言えることがある。
女性の身体って....男性と比べて凄い細いんだね。
◇
「....ほんとに申し訳ありません」
現在俺は、三人の目の前で土下座をしています。
ちらっと上を見ると栞菜さんは冷静になろうとしてるが耳が物凄く赤くしてるし、紗耶香ちゃんは今でも目がグルグルとして肌全体が真っ赤だ。
凛明はマシ....あ、いやそんなことない。俺から目を逸らした。これは重症らしい。
「えっと....その、こういう事故は一緒に住んでる時によくあることです。だから....気にする必要は.....ありません」
「あ、ありがとうございます....」
「....そういうことはもっとこう....手順を踏んでから....」
....聞かなかったことにしよう。栞菜さんの危ない発言をさらっと受け流す。
「....え、エイジさんも、男なんですね?」
「さ、紗耶香?」
「い、いえ!えっと....エイジさんって興味ないかと思ってました...でも、そうなんだ....エイジさんも....そういう...」
「....紗耶香、落ち着いて。頭ピンクになってる」
ビクッとあからさまな反応をしている。
....どうしよう、紗耶香ちゃんに変な誤解を生んでしまった。あ、いや....別にいいのか?俺も男ということで距離感が適切になる....い、いいのだろうかこれで。
「....エイジ」
「な、なんだ?」
「.....大丈夫.....私は、どんなエイジでも受け入れるから」
....やっぱだめだ。完全に誤解されてるよこれ。
「...とにかく、この話はまた後日話し合うことにしましょう」
栞菜さんが締めくくるように言って、二人は頷いてるが....俺が良くないよ?
「....えっとそれで、エイジさんは何か私達に用だったんですか?」
「あ、いや別に.....」
.....いや、ちょうど三人揃ってるし、ここで話すにはちょうどいいだろう。
「....少し、三人にお話したいことが」
『??』
三人が一緒に首を傾げている中、俺は株式会社エーブルについて一通り話した。
◇
「....なるほど、そのようなことを」
「はい。それで三人の力を貸してほしいのです...どうか力を貸してくれませんか?」
そういうと、栞菜さんは二人を見渡す。
「...二人とも。勿論返事は決まってるよね?」
「はい....そんなの聞くまでもないですよ」
「...ん。当たり前」
意思疎通をするようにその会話だけで頷き....微笑みながらこちらの方を再び向いてきた。
「勿論、協力させていただきます」
「い、いいのですか?」
即答するとは思わず、唖然としてしまう。だってこの前なんてあんなに拒否されたのに....。
「私達のためでもあるんですよね?それでしたら、拒否する理由はありません」
「私も賛成です。勿論、エイジさんの頼みは基本受けますけど...なんだか面白そうなので」
「....ん。私も....もっと多くの人に歌を聞いてもらいたい....」
「皆さん....ほんとにありがとうございます」
ここまで無茶を言ってるのに、しっかりと受け入れてくれる...この人たちには頭が上がらないな。
「...でも、そのためにはもっと人気を伸ばすことが大事ですね」
「うーん....そんなこと言ったって分かりませんよ。どうやって人気なんて伸ばしたら....」
「....毎日更新する....とにかく継続力が大事」
「そ、それはそうなんだけど....もっとこう、簡単に人気になる方法があればいいんだけど.....」
さらに人気になる....本来なら難しいだろうな。けど...。
「ありますよ。簡単に人に知られる方法」
「えっ....エイジさん。それは一体.....?」
幸いにも、ここにはネットでも多くない人気者が集まってるんだ。それぞれジャンルは違ってくるが....それでも、バズっていくはずだ。
「.....コラボ配信ですよ」
『コラボ?』
三人はまたまた首を傾げてるが....断言できる。
どんな形であれ....この三人のコラボは絶対にバズると。
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