第26話 紗耶香ちゃんとのホラゲー〜練習〜
凛明の歌が投稿されて数週間が経った。
彼女は俺の言った通りに今まで歌った曲を再度投稿その結果……彼女、スカーレットの知名度が瞬く間に上がっていった。
特に彼女の歌の中でも、ブルーマリンがネットの中で再び反響を及ぼし、その歌声が合わさったことで、今ではその再生数……MVが7800万と数週間で物凄い数字を出している。
そしてスカーレットは日本でもまた話題の配信者として名を広げ今は50万以上の登録者数を誇る配信者へとなっていった。
「……ねぇ紗耶香ちゃん。ほんとにやるの?大丈夫?」
そしてここに、凛明に負けてられないと張り切り……目の前の画面を見ながら汗をダラダラと流している人物がいる。
「だ、だだだだ大丈夫ですよ!!た、たかがゲームですよ??私がそんなものに?こ、ここここ怖くなるとでも!?」
「……その割には顔真っ青だし、物凄い力で俺の手を握ってるよ?」
少し跡が出来そうだ……。
そう。今俺は、紗耶香ちゃんとホラーゲームをするところだ。
凛明に負けないために、今まで避けてきたホラーゲームをついに配信で取り上げるとのこと。
でも、一人で……それも、暗い部屋で出来る勇気が出ないためと言い、今は少しでも慣れさせるために練習として、ホラーゲームをプレイしている。
……俺はそんな彼女の巻き添えを喰らってしまったのだ。
「うぅ……やっぱりこわいよぉ……えいじさぁん……」
「えっと……無理してやらなくてもいいんだよ?」
「ゔっ……ほ、ほんとなら今すぐにでも逃げ出したいのですが……ここで逃げたら何故か凛明に負ける気がする……そ、それはなんかいやです……」
そう言って彼女は震えた手でマウスのクリックをポチっと押していく。
「ひぃっ!?」
「……まだ始まってないよ?」
………てかこれ大丈夫なのか?前配信で栞菜さんとやってたけど……。
◇
「……あの、KANNA?ほんとにやるのこれ?確か物凄い怖いよねこれ」
「え、なになにYUSUNE?もしかして怖いのぉ?」
「い、いや別にそんなわけじゃ……」
「まぁまぁそんな強がらなくてもいいじゃない。ただこのマウスボタンをポチポチするだけでクリアできる簡単なホラーゲームだよぉ?」
「いやその割には演出とか物凄かったよね??えっ?ちょ、KANNA?何勝手に始めて……!」
……その後、あまりの怖さに絶叫したのを覚えてる。
◇
……あの時の栞菜さん、マジで動じなかったな。ホラーゲームを取り上げない理由が分かった気がしたよ。
今回やるのはシリーズの中でも栞菜さんがやってたの奴より幾分怖くないゲーム……なのだが。
「……え、エイジさん……ぼ、ボタン…‥ボタン押してください……ゆ、勇気が出ません……!」
……俺もホラーは苦手な方だけど……ここまで怖がりではない気がするな……。
「わ、分かった。最初は俺がボタン押すけど、その後は紗耶香ちゃんがやってね?じゃないとあんまり意味がないから」
「わ、わかりました………あぁやっぱり待ってください!!まだ心の準備が「ポチッ」…うわああああっ!!!」
……BGMだけでそんな叫びますか?
「ほら、ただクリックするだけでクリア出来るんだから、頑張って」
「う、うぅ……エイジさぁん……手握ってくださぁい……」
「…もう握ってるんだけどね」
……ここでトイレに行きたいとか行ったら、彼女に一生恨まれそうだ。
「………ふぅ……じ、じゃあ……進みますね」
そう言ってマウスを数回ほどクリックしていく。
どうやら舞台は電車の中がメインらしい。
日付が進むたびにどんどん日常がおかしくなって……ホラーではシンプルなびっくり要素が多いものだ。
「……ね、ねぇ今お爺さんの様子おかしかったですよね?なんか目が赤くなかったですか??」
「よくあることじゃない?」
「そ、そんなわけありませんよ!!普通の人は目が赤く……きゃああっ!!」
目が赤いおじさんがこちらを向いてきた。まるで主人公ではなく俺たちプレイヤーを見ているようで……。
「は、早く進んで!!見ないで!!こっち見ないで!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!悪いことしたこと謝りますからぁ!!」
……これ、大丈夫かな?
「エイジさぁん……」
「……とりあえずまだ序盤だから、ここから進んでいこうか」
「そ、そんなぁ……まだ序盤なんですかこれぇ……」
——そして、色々な不思議な……怖い演出が俺たちに……特に紗耶香ちゃんに襲い掛かってきた。
「ひゃあああっ!はぁはぁはぁっ!!!い、今!女の子が消えたらま、窓に、窓に顔が!!」
ある時は窓に映っていた女の子の顔にビビり散らかし……。
「ね、ねぇこれおかしくないですか?なんでこっちを見て……あああああ!!く、口が!口が裂けてる!!!隠して!!その口隠して!!「オォオオオオ!!!」ひゃああああっ!!!」
ある時は口裂け女みたいな女性にびびり、窓に突撃してきたおじさんに叫び出し……。
「こ、ここでおじさんびびらせてくるんでしょ??私分かりますからね?絶対に来るんでしょ??来るなら早く!!「グチャリ……」……ほ、ほら見たことか!く、首が曲がっただけじゃないですか!!わ、私にそんなの無駄なんだよ!!」
「……その割にはものすごい力で俺の手を握ってるけどね」
「よ、余計なことはいいんですよ!!そんなこと!!「アァアアア……!!」きゃあああああああ!!!不意打ちは卑怯だよぉおお!!」
——まだ1時間も経ってないのに紗耶香ちゃんは限界に達しており、そんなこんなでゲームは終盤を迎えている。
「お、お姉さん幽霊になっちゃったの?なんで透明になってるの?わ、分かるよここで私をびっくりさせて「アァアアア!!!」ひゃああっ!?だから!不意打ち卑怯だよぉおお!!さっきも出たじゃんこのおじさん!!はぁ……はぁ……」
「あ、あと少しでクリア出来るから頑張って」
「は、はいぃ……もう空気おかしいんじゃないですか?見てくださいよあの空もう赤く染まってるじゃないですか?電車もボロボロ「バリンッ!」ひゃあああ!!はぁっはぁっはぁっはぁっ!……が、ガラス割れた……ひぇぇえ!こっちなんか全員見てきます!!なんですか?私ついにモテ期来ちゃいましたか?嬉しいけど私にそんなのいらないよおおお!!」
「あ、多分次、凄いのくるよ」
「えっ、えっ!?エイジさんどういうことですか?なんでそんな不吉な事言うんですか!!冗談ですよね?そんな冗談言うのやめてください!!ほらそんなこと言ってたらなんか来てるじゃないですか!!な、なんですか来るなら来てください!!こちとら散々びびってきたんだからそんなことでびっくり「アァアアアアアアアアア!!!!!」きゃあああああああああ!!!!!」
画面越しで見ている俺たちの方にて叫びながら近づいてきた結果、紗耶香ちゃんの過去最大級の絶叫を聞いて……とりあえず無事?にホラーゲームは終了した。
◇
「うぅ……ひっく……う、うぇえええん……」
「あ、あの紗耶香ちゃん?大丈夫?凄い怖かったよね??」
「うぅ……私、明日これよりも怖いものやるんですよねぇ?」
「……うん。多分これよりも何十倍は怖いやつ」
「うええええん!怖いよぉおおお!!」
……ついには号泣してしまい、抱きつかれた俺も……遠目で見守っていた栞菜さんと凛明も手に負えない様子である。
「……エイジさん……今日、一緒に寝て……」
「え、いやでも流石にそれは……」
二人の方を見ると…………う、うーん流石になんとも言えないですよね。
「……だめですか?」
ぐすんっと涙目でこちらを見てお願いされてしまい、何故か罪悪感が湧いてしまった。
「え、えっと……流石に男1人で寝るのはよくないと思うから、4人で寝よっか?」
「……うん……ひっく……そうする」
「栞菜さんと凛明もそれでいいですよね?」
「……えぇ……流石に私もこれは何も言えません」
「……紗耶香、可哀想……明日、もっと怖いのやるから……」
「う、うわぁああああんん!!」
——こうして、紗耶香ちゃん……天晴あおいのホラーゲームの生配信は明日へと迎えた。
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