となりあわせアヤカシ・ごきげんよう

釣ール

トイレの不安におまけあり

 朝はストレスが溜まる。

 何年、何十年とこんなストレスを抱えたまま生きていくことを考えると家族がどうとかそんなギャンブルまで頭が回らない。


 せいぜい卒業後のことを想像するくらいが建設的でそれ以上の良さそうな未来が待っているような状況はこの国にもない。


 そんなことより俺は『トイレがしたい!』


 できるだけ汚くない場所なんて選べる余裕はない。

 だがあそこなら!


 清潔なボランティアでもいるのか狙った場所には安心に全てを出し切ることができる。


 治安強化もあいまって夜や連休じゃなければ人も少ないし安心してすますことができる。


 でも俺はいざと言う時のためにサバイバルを趣味にした。

 たとえきたなくとも恥をさらさないように生きていくためにはこれしかない。


 ったく!いつまでこんなチキンレースを繰り返せば気がすむのだ!

 フリーランスや自営業がうらやましく思うのも今日で最後にしたい。

 あまりその手の人間の自慢話は聞かないように生きているんだから。


 それはさておきちゃちゃっと用を足すことが出来た。

 葛藤をいだきながらのサバイバルなんて楽しくもなんともないからなあ!


 よぉ…


 ん?

 何か聞こえる?

 まさか。

 今日は誰もいないは…


『ごきげんよう』


 間違いなく見てはいけない顔だった。

 そもそも皮膚まで透けている人間なんて透明感がある美肌の持ち主でも存在しないからあきらかに人間じゃない。

 人間や肉食動物でなければたいしたことなんて…

 なのに怖いのは顔の持ち主が後ろに鋭い武器を持っていたから。


 ただ振り返ったあとは何事もなく帰ることが出来た。

 あれは一体なんだったのだろう。

 あの公園でどうどうと霊なんて現れたらYouTuberが黙ってなさそうなのに。


 俺は後に自分には第六感があることを知った。

 つまりあれは本物だった。


 別にいい。見えてれば怖くない。

 俺がストレスで困ったらまた会いに来てやる。

 いやいいか。

 もう外でトイレなんてしたくないから。

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