第20話 告白
昼食を食べ終わり、トレイの無くなったテーブルは少し寂しくなった。
食べ終わったもののどこかへ移動しようとはせず、まだフードコートで話を続けていた。
特に生産性の無い話が続き、いい感じに陽が落ちて来た頃、私たちはフードコートを後にした。
帰っている間にも雑談をして、そこそこ退屈はしなかった。それでも、
分かれ道。
「また明日。次は、私と霧江の邪魔しないでよね」
「あのさ、俺__」
妙に改まった感じで話す共哉はどこか緊張した様子が伺える。
「明日、告白しようと思ってるんだ」
「!」
誰にか何て、
「そっか__」
「…うん」
ーーすごいな。勇気があって羨ましい。
「
「今は、しない」
「気になったんだけど、今までに
「…無いよ」
「どうして、しないんだ?」
「それは__、」
共哉の言いたいことは分かる。例え、振られてもやり直せるのにどうしてってきっとそんな意味が含まれている。悪気があって聞いた訳じゃないのはわかっているけど、そう感じてしまう。
「告白して振られたらもう立ち直れないと思うから」
今まで、誰にも話さなかった胸の内を少し口にする。「話せなかった」は少し違うかもしれない。話す勇気も相手もいなかったのだ。
「私さ、一回目で霧江が付き合ったって知って不登校になったんだ。だから多分、告白して真っ向から振られたら自殺すると思う。まぁ、死んだら戻っちゃうけど__」
自分の暗い話をしながら冗談を言えるくらいには、心に余裕があるのかもしれない。
「それでも何回も死んで、死んで苦しんで、振られた辛さを紛らわすの…………。ごめんね、暗い話して。明日の告白頑張って。応援してるよ」
話し終えた私は、共哉が口を開くよりも先に一方的に分かれを切り出した。
共哉がどう思ったのか、どう感じたのか、そんなのはどうでも良い。それよりも、霧江の他にこんなにも自分をことを曝け出してしまった私自身に動揺していた。
◇
共哉の告白は失敗に終わったらしい。
放課後、スマホ越しに報告を受けた。実際に顔を見ていないからどんな顔をしていたか分からないが、きっと泣いていただろう。話し方はいつもと同じだったが少し声が震えていた気がする。
ふと、自分が振られたらと考えてしまう。
きっと振られたらショックで声が出ないだろう。去り行く霧江の姿をただ見つめることしかできず、一人になってから泣き出すのだ。そして…いや、これ以上はやめておこう。
振られないために、確実に付き合うために繰り返しているんだ。こんな妄想が現実にならないように。
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