4.
穴は『魔女の宿り木』ラボの天井に空いていたようで、魔法少女たちが次々と天井に突如空いた穴から落ちてくるという事態になった。
「また敵襲かと思ったよ!」
「やあ、ただいま。お姉ちゃん。」
白百合姉妹の再会。
これで後は湊先生とクロさんだけ。
とその時。
「ドーン!!」
やたらテンションの高そうなクロさんの叫び声がしたかと思うと、湊先生が落ちてきた。
着地態勢がうまく取れなかったのか湊先生は浮遊魔法で何とか受け身を取っていたけれどなんだか不格好な姿勢だった。
それに続いて、満面の笑顔でクロさんが降りてくる。
クロさんが出てくると天井の穴はすっと閉まっていった。
もしかしてクロさん、湊先生を突き落とした?
「クロっち。湊先生や魔法少女じゃなかったら怪我するかもだからやめてよ?」
「てへ。」
「まあともかく。当初の想定とは大幅に違う、というか誰も想像できないだろう結末になったわけだけれど……全員生還! ミッションクリア! おめでとう!」
シロさんが叫ぶ。
「いえええええええい!!!!」
魔法少女たちの歓声もラボ中に響き渡る。
「祝賀ムードにもうなっているが、今後の話だけをしておこう。」
荒神先生の落ち着き払った低い声に、魔法少女たちは神妙さを取り戻す。
「湊先生の身元は私が引き受ける。保健室の先生として戻れるかはわからんが。月影への面会も早いうちに実施しよう。月影のいる病魔法少女専用病院へのやり取りは頼むぞ。一宮さんに黒川さん。」
「了解ですー。」「任された。」
「以上だ。美玖さん。後は頼んでいいか? 仕事が予想外に増えたもんでね。歓迎会は任せたぞ。」
「はーい! でも今日は皆さんお疲れでしょう? 今日は一旦お開きにして、ミッションクリアパーティーと湊先生歓迎会はまた今度! 荒神先生は今夜飲みましょうね。この分だと当分忙しそうですし! 今のうちですよ!」
「マジかよ。……でもまあ、美玖の言うとおりだな! 大人だけで先にプレお疲れ様会だ! お前たちはまず帰って休め!」
「ふぁーい……」
戦っては結局いないけれど。疲れたのは事実だ。というか、心と頭がしんどい。
魔法少女たちは一旦それぞれの家へ帰っていった。
◆◆◆
あれから少し後。
私達はシロさんクロさんの引率で病魔法少女専用病院へ面会に行った。
杜坂は元気そうだった。
これなら再起も近いだろう。
やっぱり、私の隣にはあんたがいないとね。
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