―☽☆―

 月と星の輝く夜。病魔法少女専用病院、その一室にて。

「……せんせ? ユズ……せんせい?」

「そうよ。……私の可愛いスバルちゃん。」

「どうして……!? うそでしょ……!?」

「いろいろとあったのよ。本当に。いろいろと。話してるとあんまりにも長くて時間かかっちゃうから、まずは……。ただいま。私のスバルちゃん。……その甘い声と唇、私にちょうだい?」

 荒神先生に頼んで入手したチョコレート。

 何の変哲もないありふれたチョコレート。

 私の魔力なんてこれっぽっちも入ってない。

 いつかのように、この子の口にチョコレートを差し入れる。

 そして、私の唇と舌も。魔力なんてもう含んでない。

 私とスバルちゃんはチョコレートのように甘く蕩け合い絡み合う。

 もう離すものですか。

 もうペットも契約した魔法少女もどうだっていい。

 もう貴女の先生ですらないのかもしれないわね。もうそれもどうでもいい。

 貴女は私のもの。それだけよ。

 今まで離れ離れだったぶん、めいっぱい、貴女から溢れちゃうくらい愛してあげる。

 好きよ。スバルちゃん。愛してるわ。誰よりも。

 スバルちゃんは私にぎゅっとしがみついてきて、その舌は私の舌に縋るように絡みついてくる。

 スバルちゃんの唾液も吐息も、まるで溶けたチョコレートのように甘く蕩けてる。

 ……いい子ね。

  

 月光に照らされる貴女の溶けたような瞳は、もう私だけのものね。

 愛しいスバルちゃん。今はもう、私の愛だけ受け容れて。

 甘く優しく、重ねた唇を食み合いましょう。 


 いろんな女の子をこうして相手にしたけれど。

 ……貴女は一層特別、可愛いわ。


 契約も魔力も無い、ただスバルちゃんが愛しいだけの口づけを貴女に。


 甘くとろけるような、ひとときを貴女と……。

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