第22話

亜香里あかりが家中を暴れまわった事件が原因で、直也なおやは家族を連れて家に帰った。


健介けんすけは、危険をさけるために健人けんと生海いくみを連れて家に帰った。


健介けんすけは、亜香里あかりに対する怒りをよりいっそう高めたと同時に、実家に帰らないと訣意けついかためた。


まなやはあの時、健人けんとが食べていたお肉の揚げ物がないことを菜摘なつみに言おうとしたがうまく言うことができなかった。


菜摘なつみは、まなやが食べる肉の揚げ物を(アラジンの)グラファイトトースターの中に入れっぱなしにしていたことに気がついていなかった。


菜摘なつみがそれに気がついたのは、直也なおやの家族たちが帰宅してから数分後であったがもう遅かった。


亜香里あかりが家の中で暴れまわった事件を機に、健介けんすけはなおみ方の実家ヘ移ることを考えた。


…………………


話は変わって…


時は、夜10時過ぎであった。


家の広間に亜香里あかりが暴れまわったことによって生じたガレキが入っている大きなゴミ袋ふたつがあった。


テーブルには、亜弥子あやこ晃代てるよがいた。


晃代てるよは、1時間ほど前まで尼崎市内しないにあるファミレスでひらかれたコーコーの同窓会に出席していた。


菜摘なつみは、部屋に閉じこもっていたのでここにはいなかった。


この時であった。


スーツ姿で黒の手提げカバンを持っているあらたがものすごくつかれた表情で帰宅した。


「ただいま〜」


晃代てるよは、ものすごく怒った声で言うた。


「ただいまじゃないわよ!!こんな遅くまでなにをしていたのよ!!」


あらたは、ものすごくつらそうな表情で言うた。


「ねえさん!!オレは会社で残業していたのだよ!!」

「ウソ言われん!!」

「若い従業員のひとりが大事なデーターをコイに消したトラブルの後始末に追われていたのだよ!!…ったく…最近の若いもんはどこのどこまで甘えているのだ!?…(データーを消したヤツ)の親御おやがいいかげんな名前をつけたから(データーを消したヤツ)がおっちょこちょいになったのだ!!」

「そんなにボロクソに言わんでもええやん…」

「ねえさん!!」

「なによ!!」

「そう言うねえさんこそ、キドウシュウセイをしろよ!!」

「やかましい!!」


亜弥子あやこは、怒った声で晃代てるよあらたに言うた。


「ふたりともやめなさい!!」


亜弥子あやこは、怒った声であらたに言うた。


あらた!!」

「なんだよかあさん〜」

「話があるから座りなさい!!」

「話ってなんだよ〜」

「座りなさい!!」


めんどくさい表情を浮かべているあらたは『わかった…』とつぶやきながらイスに座った。


亜弥子あやこは、ものすごく怒った声であらたに言うた。


あらた!!」

「なんだよ〜」

あらたはなにを考えているのよ!?」

「かあさん…」

あらたは、三重子まえのよめとリコンしてから何年になると思ってるのよ!?」

「おぼえてないよ〜」

あらた!!」


亜弥子あやこは、ものすごく怒った声であらたに言うた。


あらたは、なんで三重子まえのよめと結婚したのよ!?」

「あれは、立浪課長が『幸せになってもいいよ…』と言うたからお見合いしたのだよ…」

「立浪課長が『幸せになってもいいよ…』と言うたから三重子まえのよめと結婚した…なんでそんな軽はずみをしたのよ!?」

「だから、オレはだまされたのだよ!!」

「だまされたって言うけど…」

三重子まえのつまに連れ子が3人いたことは知らなかった…じゃなくて、立浪課長が言わなかったのだよ!!」

「なんでそんないいかげんな人のクチにのったのよ!?」

「だから!!立浪課長が『時間がないから早くしろ!!』と急かしたのだよ!!」


晃代てるよは、よりしれつなにくしみをこめながら言うた。


「立浪課長は、最初から三重子みえこを押し付ける気があったのよ!!うちもあらた三重子みえこが結婚することは猛反対だったのよ!!」


あらたは、心苦しい声で言うた。


「オレは最初から三重子まえのつまと結婚したくなかったのだよ…」

「それじゃあ、なんで断らなかったのよ!?」

「断ったら、お前は出向だとキョーハクされた!!」

「なさけないわねもう!!」


晃代てるよは、テーブルの真ん中に置かれている木の入れ物に入っているぼんち揚げをつまみながら怒った声であらたに言うた。


「あのね!!この際だからあらたに言うけど、ことはさんとお見合いすることをやめた方がいいわよ!!」


あらたは、ものすごく困った声で言うた。


「お見合いを断れと言うのかよ…」


亜弥子あやこは、困った声で言うた。


「なおみさんはなにを考えているのか分からないけど、1年のうち家に帰宅できるのはだった5日だけ…あとの300日以上はなにをしているのかと言いたくなるわよ〜」

「だから、その間は海外のあちらこちらを回ってお仕事をしているのだよ〜」

「だから、ことはさんはイワマツグループでどんなお仕事をしているのよ!?」

「おかーちゃん!!おちついてよ!!」

晃代てるよ!!」

「ことはさんはイワマツグループのメンバーたちと一緒に行動しているのよ!!」

「それは分かってるわよ!!だけど、あちらこちらを動いている間はどこで寝泊まりしているのよ!?」

「だから!!その間は移動中の専用機ヒコーキや長距離バスの中と滞在先のホテルで寝泊まりするのよ!!」

「だけど…」

「おかーちゃんは、ことはさんがイワマツグループでお仕事をすることがそんなにいかんの!?」

「いかんから言うてるのよ〜」

「それじゃあ、おかーちゃんはどんなお嫁さんを求めているのよ!?…専業主婦と言わないでよ!!」


亜弥子あやこは、つらそうな表情で晃代てるよに言うた。


「専業主婦じゃないとだめなのよ〜」


晃代てるよは、ものすごく怒った声で亜弥子あやこに言うた。


「おかーちゃん!!今は時代が違うのよ!!」

「時代が違うことぐらい分かってるわよ〜…だけど、あらたのお昼のお弁当を作ってくださる人がいなかったら…」

「やかましい!!もういいわよ!!あらたにお嫁さんが来なくなった原因を作っておいてなんなのよ一体!!」

晃代てるよ!!」

「それと、この最近だけど悠伍ゆうご菜摘なつみさんとうまく行ってないことを聞いたわよ!!」

「えっ?悠伍ゆうご菜摘なつみさんとうまく行ってないって…どう言うことよ!?」

「どう言うことって…この最近だけど、悠伍ゆうごが着ていた背広のズボンになんかシミのようなものがあったと聞いたわよ!!」

「シミのようなものがあったって!?」

「さあ、それはなにかは知らないけど…」

晃代てるよ!!」

「うちは背広のズボンにシミのようなものがあったと言うただけよ!!そんなに知りたいのであったら悠伍ゆうごに聞いてよ!!」


思い切りブチ切れた晃代てるよは、席から立ったあと自分の部屋に逃げ込んだ。


あらたは『もう寝る…』と言うたあと自分の部屋に逃げ込んだ。


ひとり残った亜弥子あやこは、おたついた表情であたりを見渡した。


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