第23話

(ブロロロ…)


時は、6月26日の午後12時10分頃であった。


大阪キタの扇町通おおぎまちとおりにたくさんの自動車が往来していた。


ところ変わって、通りの付近にあるすき家にて…


あらたは、きょうもまた牛丼の(みそ汁と冷ややっこの)健康セットでランチを摂っていた。


そしてまたきょうも、スピーカーから流れている『すき家レイディオ』の男性パーソナリティさんがマンスリーテーマである結婚の話をしていた。


またきょうも同じ話をしている…


あらたは、うんざりとした表情でつぶやいた。


この時、通りの付近にある会社の制服姿の女性従業員さんと背広姿の男性従業員さんがあらたが座っている席の近くにいた。


おふたりは、職場恋愛のカップルさんだったと思う。


職場恋愛のカップルさんは、希望に満ちあふれた表情で楽しく話をしていた。


あらたは、ものすごくうんざりとした表情でつぶやいた。


また職場恋愛のカップルさんが…


挙式披露宴がどーのこーのと言うてる…


なんでオレがいる前で、挙式披露宴の話をするのだ…


ものすごくフキゲンな表情を浮かべているあらたは、食べかけの牛丼をガツガツと食べた。


この時、ユーセンのスピーカーからリクエスト曲・りりあの歌で『貴方の側に』がまたかかった。


またこの曲…


うんざりだ…


ものすごくうんざりとした表情を浮かべているあらたは、ランチを全部食べたあと麦茶を一気にのみほした。


時は、夕方5時半頃であった。


またところ変わって、阪急梅田駅のプラットホームにて…


プラットホームにいるたくさんの通勤通学客ひとびとは、各方面行きの電車に乗っていた。


背広姿で黒の手提げカバンを持っているあらたは、神戸線の電車に乗り込んだあと空いている座席に座った。


座席に座ったあらたは、ぼんやりとした表情でつぶやいた。


オレは…


どこかで人生のセンタクを間違えたと思う。


あの時…


なんでオレは三重子みえこと結婚したのか…


イヤならイヤだと…


なんで断らなかったのか…


オレはどこのどこまで…


要領の悪い男か…


………


時は、夕方6時半頃であった。


またところ変わって、悠伍ゆうごの家族たちが暮らしている家にて…


テーブルに悠伍ゆうご菜摘なつみ亜弥子あやこ晃代てるよが座っていた。


菜摘なつみは、ものすごくつらい表情で晩ごはんの準備をしていた。


悠伍ゆうごは、ものすごく怒った声で菜摘なつみに言うた。


「オラ菜摘なつみ!!」

「なによあなた〜」

亜香里あかりはほんとうに家出したのか!?」

「言わなくても分かるでしょ!!」

「なんだその物の言い方は!!」

「アタシはきょう、亜香里あかりが通っているコーコーにキュウガク届けを出したのよ!!その時、先生方からぐちゃぐちゃと言われたのよ!!…『せっかく入ることができたコーコーだからどーのこーの…』…アタシはうんざりよ!!」


菜摘なつみは、ものすごく怒った声で言うたあと両手で髪の毛をグシャグシャにかきむしった。


悠伍ゆうごは、ものすごく怒った声で言うた。


亜香里あかりはなんにも分かっていない…自分の行くところは高校ガッコーしかないことが分からないのだよ!!…高校ガッコーへ行けば、お友だちがたくさんいるのに…亜香里あかりは、たのしい顔でガッコーへ行くことができないのか!?」


近くに座っていた晃代てるよが怒った声で悠伍ゆうごに言うた。


「うるさいわね!!ガーガーガーガーと文句言わないでよ!!」

「ねえさんにはカンケーない話だ!!」

「あんたが言うた言葉の意味が全く分からないわよ!!たのしい顔でガッコーへ行けとはどう言うことよ!?」

高校ガッコーはたのしい時間を過ごす場所だよ!!」

「それなら、高校ガッコーへ行くことができない子は哀れだと言うのね!!」

「そう意味じゃないのだよ!!」

「やかましいポンコツテイシュ!!」

「ふざけるなナマイキ女!!」

「言うたわね!!」


近くにいた亜弥子あやこが怒った声で言うた。


「ふたりともやめなさい!!」


そこへ、スーツ姿で黒の手提げを持っているあらたがつかれた表情で帰宅した。


「ただいま〜」

あらたお帰り。」

「かあさん。」

「もうすぐごはんができるわよ。」

「ああ。」


ものすごくつかれた表情を浮かべているあらたは、所定の席についた。


悠伍ゆうごは、ものすごく怒った声で菜摘なつみに言うた。


菜摘なつみ!!亜香里あかりはこの家に入れるな!!」

「あなた!!」

亜香里あかりは家出したあとわけのわからない男のもとへ入り浸りになったからだめだ!!」

「だけど、あのこが帰りたいと言うたら…」

「入れるなと言うたら入れるな!!…それともう一人、遥輝はるきもダラクしたみたいだ!!遥輝あのヤローは、(総合商社)から内々定をもらえたと言うたが信用できない!!」

「あの子は、ほんとうに内々定をもらうことができたのよ!!」

「ふざけるな!!おい!!今すぐに川西の義兄ニイさん方へ電話しろ!!」

「今から電話しろって…」

遥輝あのヤローは甘えているのだよ!!遥輝あのヤローの甘ったれた性格を一刻も早く直さないと大変な目に遭うぞ!!」

「分かったわよ!!」


思い切りブチ切れた菜摘なつみは、うぐいす色のプッシュホンの受話器をあげたあと遥輝はるきのもとに電話をかけた。


またところ変わって、東京都内とないちゅうしんぶにある居酒屋にて…


居酒屋では、都内の複数の大学に在籍している学生さんたちによるゴーコンが行われていた。


遥輝はるきは、学生さんたちと一緒にゴーコンを楽しんでいた。


そこへ、ライン通話アプリの着信音が鳴った。


電話は、菜摘なつみからであった。


またかよ…


遥輝はるきは、ものすごくうんざりとした表情でスマホを手にしたあとアプリをひらいた。


「もしもし…遥輝はるきです。」


うぐいす色のプッシュホンで電話をかけている菜摘なつみは、ものすごくあつかましい声で言うた。


遥輝はるき!!今どこにいるのよ!!…職場のオフィスにいるの!?…それとも、どこかの飲食店みせやにいるの!?…どこにいるのかと言えないのね!!…おかーさんはものすごく困っているのよ!!…この最近、おとーさんは気に入らないことがあったらガーガーと怒るようになったのよ!!…亜香里あかり高校ガッコーをツイホーされる危機にひんしたのよ!!…遥輝はるき!!もう一度聞くけど、(総合商社)のメンセツに行ったの!?…ほんとうに行ったの!?…内々定をもらえたのはほんとうなの!?…通知書ショメンはあるの!?…遥輝はるき!!…今度の週末は予定を作って武庫之荘へ帰りなさい!!…おかーさんに通知書ショメンを見せるために帰って来てよ!!…おかーさんは遥輝はるきが内々定をもらえたことをご近所のみなさまにお知らせをしないといかんのよ!!…お祝い金をいただくために知らせるのよ…お祝い金がなかったら、遥輝はるきのスーツセットを買うことができないのよ!!…お祝い金がなかったら困るのは遥輝はるきよ!!…遥輝はるき、もう一回言うけど今度の週末は武庫之荘へ帰りなさい!!…川西の伯父オジさまの家にごあいさつに行くために帰って来るのよ!!もしもし!!」


(ガチャーン!!)


この時、思い切りブチ切れた晃代てるよが電話をかけている菜摘のもとにやって来た。


晃代てるよが電話をガチャーンと切ったので、菜摘なつみは怒った声で言うた。


義姉おねえさま!!」

「うるさいわねあんたは!!」

「今、遥輝はるきとだいじ電話をしているのよ!!」

「やかましいわね!!遥輝クソガキはこの家が大キライと言うてるのにムリジイしないでよ!!」

「アタシは、遥輝はるきに内々定をもらえたごあいさつに行きなさいと言うたのよ!!」

「やかましい!!23の大のオトナにガーガーガーガー言うな!!」

「23でも子どもは子どもです!!」

「やかましい!!ハンロンすることはいっちょ前のボロ女!!」

義姉おねえさまこそなによ!!」

「ああああ!!いらつくわね!!」


思い切りブチ切れた晃代てるよは、赤茶色のバックを手に取ったあと家から出ようとした。


あらたは、困った声で言うた。


「ねえさん、どこへ行くの?」

「(西宮)北口へのみに行くのよ…ハンロン女とポンコツ野郎がいる家にいたらごはんがまずくなるわよ!!」


思い切りブチ切れた晃代てるよは、ドアをバーンとしめたあと家から出て行った。


「ふざけるな!!」


このあと、悠伍ゆうごがものすごく怒った表情で席を立ったあと家から出て行った。


家に残されたあらた亜弥子あやこは、ものすごく困った表情であたりを見渡した。

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