第19話

さて、その頃であった。


またところ変わって、武庫之荘むこのそうにある悠伍ゆうごの家族たちが暮らしている家にて…


家の広間に健介けんすけ健人けんと(長男・6歳)と生海いくみ(長女・4歳)と菜摘なつみ亜弥子あやこ晃代てるよの6人がいた。


テーブルの上には、菜摘なつみ亜弥子あやこ晃代てるよの3人で作った料理が並んでいた。


きょうの昼食は、ライスカレーとマッシュポテトサラダと福神漬けである。


この時、なおみが家に到着した。


なおみは、やさしい声で健介けんすけたち家族3人に声をかけた。


「あなた〜健人けんと生海いくみ〜」

「なおみ。」

「ママ。」

「ママ。」


菜摘なつみは、やさしい声でみんなに言うた。


「ああ、なおみさんが帰宅したのでお昼にしましょうね。」


健介けんすけたち家族4人がイスに座ったあと、ランチに入った。


なおみは、健人けんと生海いくみが食べる白いごはんにカレーかけたあとゆっくりと差し出した。


「は〜い、ゆっくりと食べるのよ。」

「うん。」


このあと、健人けんと生海いくみはカレーを食べ始めた。


その後、なおみと健介けんすけ菜摘なつみ亜弥子あやこ晃代てるよの5人がランチを摂り始めた。


時は、12時半頃であった。


健介けんすけは、キッチンで洗い物をしていた。


テレビの前にいる健人けんと生海いくみは、アニメのDVDを鑑賞していた。


ダイニングテーブルにいるなおみと菜摘なつみ亜弥子あやこ晃代てるよの4人は、お茶をのみながら話し合いをしていた。


「なおみさん。」

義母おかあさま。」

「つぎ、日本ここに帰る日はいつ?」

「今のところは、まだ未定だけど…」


なおみは、ややつらい声で言うたあとお茶をひとくちのんだ。


亜弥子あやこは、心配げな声でなおみに言うた。


「なおみさん。」

義祖母おばあさま。」

「なおみさんが海外のあちらこちらを転々としている間、健介けんすけが家庭のことを全部しているのよ。」

健介けんすけさんは、よろこんで家庭と育児を引き受けたのよ。」

「それならいいけど…」


晃代てるよは、ぼんち揚げをつまみながらのんきな声で言うた。


「おか~ちゃん、今は男がお勤めに出て女が家庭という時代じゃないのよ!!」

「それは分かってるわよ〜」

健介けんすけは、家のことと育児を楽しんでいるのよ!!…なんで理解しないのよ!?」

「分かってるわよ〜」


このあと、なおみは黒の手提げカバンの中から大きめのふうとうを取り出したあと亜弥子あやこに言うた。


義祖母おばあさま。」

「なおみさん。」

「お見合い写真を持ってまいりました。」

「お見合い写真。」

あらたさんにいかがですかって…」

あらたにお見合いって…」

「ごめんなさい…なんの相談もなくエンダンを入れてごめんなさい…」


晃代てるよは、困った声で『それはいいけど…』と言うたあとこう言うた。


「今のあらたの気持ちは、結婚に向いているかどうかよ…あらたが気乗りしない状態でエンダンを入れたら…コンワクするわよ。」

「お写真はこちらで預かります…この件については、アタシに任せていいでしょうか?」

「いいわよ…あとはあらたの気持ち次第だからなにも言わないわよ。」

「分かりました。」


なおみは、お見合い写真が入っている大きめのふうとうを黒の手提げカバンの中に入れた。


時は、12時50分頃であった。


またところ変わって、あらたが勤務しているオフィスにて…


ランチ休憩を終えたあらたは、休憩時間終わりのタイムカードを押したあと所定のデスクに戻った。


ひとりでひねくれている男性従業員さんをちらっとみたあらたは、となりのデスクにいる女性従業員さんに言うた。


「あの〜」

「なあに?」

祖父江そぶえさん…なんで怒っているの?」

「近本さんにお弁当を食べさせてくれと言うたけど、断られたのでひねているのよ。」

「アホみたい。」

「そうよ…どうしようもないドアホよ。」


あらたは、困った声で言うた。


祖父江そぶえさんは、近本さんの奥さまが作ったお弁当を食べたかったのかな?」

「言わなくても分かるでしょ!!」

祖父江そぶえさんは一人暮らし?」

「前は一人暮らしをしていたけど、数年前におにいが嫁はんをもらったので実家ヘ帰ったのよ!!」

「ほんならおにいの嫁に作ってもらえばいいのに…」

「おにいの夫婦はともかせぎだからむりよ…両親は遅おきしているからまたむりよ…そないにイコジにならなくても給与引きでお弁当を注文したらいいのに…」

「なんでお弁当を注文しないの?」

祖父江そぶえさんは(お弁当工場)のお弁当はゲロまずいと言うてるのよ…ごちそうだと思って食べればいいのに…きょうのお弁当には串かつが入っていたのよ…きのうのお弁当には小さいけどポテトグラタンが入っていたのよ…祖父江そぶえさんは、お弁当を作ってくださる人の気持ちが分からないからアカンねん!!」


(ガーン!!)


ひねていた男性従業員さんは、右足でデスクをけとばしたあと『むしゃくしゃするからパチンコに行ってくらぁ!!』と言いながらオフィスから出た。


女性従業員さんは、怒った声で言うた。


祖父江そぶえさんはドサイテーね!!気に入らなかったらショクムホウキしてギャンブルしに行ったわね…あれじゃあ、嫁はんは来てくれんワ!!」


なんとも言えない…


(キンコンカン…)


この時、午後の始業を知らせるチャイムが鳴った。


あらたは、従業員さんたちと一緒にお仕事を始めた。

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