第14話

時は流れて…


2025年6月7日の午後12時半頃であった。


ところ変わって、JRと阪急電車の宝塚駅付近にあるワシントンホテルプラザにて…


館内のエントランスホールに結婚披露宴ひろうえんに出席する人たちがたくさん集まっていた。


この時、礼服姿のあらた亜弥子あやこ晃代てるよの3人が来館した。


3人は、館内にあるカフェテリアヘ向かった。


この時であった。


義母おかあさま〜、こちらです〜」


カフェテリアにいた女性が3人に向かって大きく手を振った。


3人は、女性の家族たちが座っている席に座った。


家族たちは、あらたの兄・京田悠伍きょうだゆうご(51歳)と妻・菜摘なつみ(58歳)と長女・亜香里あかり(高2)…の3人であった。


このあと、6人はお茶をのみながら楽しくお話をした。


あらた亜弥子あやこ晃代てるよの3人は、名古屋大須の家をバイキャクしたあと犬山で暮らしている伯父夫婦の家に一時滞在した。


それから一ヶ月後に伯父おじがノウイッケツを起こして倒れたあと寝たきりになった。


その直後に、伯父夫婦の長女夫婦の家族たち6人が東京ぐらしをたたんで実家ヘ戻った。


これにより、あらたたち3人は伯父夫婦の家を出た。


その後、武庫之荘むこのそうで暮らしている悠伍夫婦ゆうごふうふの家族たちが暮らしている家に身を寄せた。


一方、いさおは犬山のトクロー(特別養護老人ホーム)に移ったが2ヶ月にセンガンによる心不全で亡くなった。


真央まおは、犬山のトクローに再就職したがいさおが亡くなったことを機にまた専業主婦に戻った。


真央まおの夫で信孝のぶたかのイトコにあたる男性は、単身赴任先の南米アルゼンチンから帰国したあと総合商社を退職した。


真央まおと夫は、名古屋での暮らしをたたんだあと夫の実家がある塩尻ヘ移った。


これを機に、真央まおの夫は実家の信州みその製造問屋を継ぐことを決意した。


一方、信孝のぶたかは仕事の関係で関西に移り住んだが多忙な日々を送っていた。


……………


話は戻って…


エントランスのカフェテリアにいるあらたたち6人は、お茶をのみながら楽しくお話をしていた。


この日は、何ごともなくおだやかに1日が終わった。


時は、6月9日の朝7時頃であった。


ところ変わって、尼崎市武庫之荘にある特大和風建築の家にて…


家のテーブルに悠伍ゆうご菜摘なつみ亜香里あかりあらた亜弥子あやこ晃代てるよの6人が座っていた。


テーブルの上には、菜摘なつみが作った朝ごはんがならんでいた。


この時、菜摘なつみは5人に対してお知らせがあると言うた。


「ちょっと、お知らせがあるけどいい?」


亜香里あかりは、ひねた声で言うた。


「お知らせってなによ!?」


菜摘なつみは、困った声で言うた。


「なんで怒った声で言うのよ~…」

「また弘樹ひろきが家に遊びに来るのでしょ!!」


亜香里あかりは、いとこの度会弘樹わたらいひろきが大キライなのでよりしれつな怒りを抱えていた。


弘樹ひろきは、菜摘なつみの妹(51歳)の一人息子むすこ菜摘なつみのオイである。


弘樹ひろきは、幼い時に両親がリコンした。


リコンした理由は、母親の一方的なわがままであった。


母親の一方的なわがままが原因でリコンしたあと、母子はより過酷な暮らしを送った。


菜摘なつみは、弘樹ひろきを助けるために亜香里あかりの学資保険を解約した。


その上に、家の貯蓄すべてを弘樹ひろきのために使った。


亜香里あかりは、弘樹ひろきのためになにもかもガマンした。


亜香里あかりは、どうにか高校に進学して1年生を終えることができた…


しかし、2年生に進級した直後から高校に行かなくなった。


それに加えて、もっといらつく話があった。


この最近、菜摘なつみ弘樹ひろきに対して過度にデキアイするようになった。


弘樹ひろきは、1年ほど前にお嫁さんをもらった…


それから3ヶ月後に一女が生まれた。


菜摘なつみは、生まれてきた赤ちゃんが幸せになるようにと思ってあれこれと心尽くしをした。


亜香里あかりは、両親にないがしろにされたと言うて怒っていた。


だから、亜香里あかり弘樹ひろきを非常に激しくうらんでいた…


同時に、弘樹ひろきの母親と度会家わたらいのいえの人たちをもうれつにうらんでいた。


なので、亜香里あかり度会家わたらいのいえに行くことができなかった。


話は戻って…


亜香里あかりは怒った声で菜摘なつみに言うた。


「おかーさん!!アタシは弘樹ひろきのせいで高校に行けなくなったのよ!!」

「なんで弘樹ひろきを攻撃するのよ〜」

「おかーさんがアタシの学資保険を解約して弘樹ひろきの学費に回したことを怒っているのよ!!」

「だから、そのことについては弘樹ひろきにきちんと伝えたわよ…『大学の卒業式を終えたあとすぐにお礼を言いにきなさい…』…『度会わたらい筆頭主おじいさまのお墓参りにお礼を伝えに行きなさい…』と言うたのよ…」

「ふざけるな!!弘樹ひろきとおばのわがままのせいでアタシの人生はズタズタに壊れたのよ!!」

「おばさまは、亜香里あかりにあやまりたいと言うてるのよ…おばさまは亜香里あかりが高校に行くことができるようにと思ってあれこれと動いてくださったのよ!!」

「おばさまの推薦コネで入った高校なんか楽しくないわよ!!なんのために高校に行くのよ!?おばさまのために行くガッコーなんか楽しくないわよ!!」

「おばさまは、亜香里あかりがガッコーでお友だちと楽しく過ごしているところがみたいと言うてるのよ!!」

「やかましい!!ガッコーなんかいかないわよ!!」


思い切りブチ切れた亜香里あかりは、制服のブレザーを脱いだあと壁に叩きつけた。


その後、四角のカバンの中に入っていた教科書類を投げつけた。


そして、ブラウスに着けていたリボンをほどいた。


思い切りブチ切れた亜香里あかりは、ドスドスと足音を立てながら家から出た。


(バーン!!)


亜香里あかりは、玄関のドアをバーンとしめたあとどこかへ行った。


それから10秒後であった。


晃代てるよがものすごく怒った声で菜摘なつみに言うた。


「ちょっとあんた!!」

義姉ねえさん…」

「あんたはどこのどこまでお人好しよ!?」

義姉ねえさん…」

「なんで亜香里あかりが怒り狂っているのかが分からないの!?」

「分かってるわよ…」

「それなら答えを言いなさいよ!!」


晃代てるよのとなりに座っているあらたが困った声で『姉さんやめろよ〜』と言うた。


晃代てるよは、あらたに対してものすごく怒った声で『横から口を出すな!!』と言うた。


その後、晃代てるよ菜摘なつみに対してよりしれつな怒りをこめながら言うた。


「あんたの妹は、なんでガマンできない人よ!?」

義姉ねえさん…」

「あんたの妹は、ダンナが大キライだからリコンしたと言うたけど、ダンナのどう言う部分がキライなのよ!?」

「だから、妹は苦しかったのよ…」

「ふざけるな!!」

義姉ねえさん!!なんでそんなにガーガー怒るのですか!?」

「やかましい!!あんたの妹はどこのどこまで甘えているのよ!?」

義姉ねえさん!!妹はダンナから暴力をふるわれたのよ!!妹のダンナは酒ぐせが悪かったのよ!!」

「ウソつくな!!」


たまりかねた亜弥子あやこがふたりを止めた。


「ちょっとふたりともやめなさい!!」

「おかーさん!!なんとか言うてよ!!」

「なんでそんなにガーガー怒るのよ!?」

菜摘あのおんな弘樹クソガキを過度に甘やかしたので怒っているのよ!!」


この時であった。


思い切りブチ切れた悠伍ゆうごが黒の手提げカバンとジャケットを手にしたあと席を立ちながら『もう食べん!!』と言うた。


菜摘なつみは、困った声で悠伍ゆうごに言うた。


「あなた!!ごはんがたくさん残っているわよ!!」

「やかましい!!こんなギスギスした中でメシが食えるか!?」

「あなた!!」

菜摘なつみ!!」

「なによあんた!!」

「オレ、今夜は上司のオトモで遅くなるから…朝から弘樹クソガキの話をするな!!分かったら返事しろ!!」


思い切りブチ切れた悠伍ゆうごは、ジャケットと手提げカバンを持って家から出た。


それから10秒後であった。


あらたはジャケットと手提げカバンを持って家から出た。


(ピヨピヨ…カッコーカッコー…)


時は、午前11時55分頃であった。


場所は、JR大阪駅の南口と阪神電車の梅田駅付近の大通りにて…


大通りのスクランブル交差点の歩行者用信号が青になったと同時におおぜいの歩行者が交差点を渡りだした。


また場所は変わって、その付近にあるフコク生命ビルのオフィスにて…


オフィスにいるあらたは、デスクワークに取り組んでいた。


あらたは、ミテジマ商事と大垣共立銀行をやめたあと犬山市内にある別の事業所に転職したが2ヶ月後にやめた。


フコク生命は、亜弥子あやこの知人のつてで再就職した。


あらたは、ここ(フコク生命)で1年契約の契約社員で働いていた。


(キンコンカン…)


この時、正午ひるやすみを知らせるチャイムが鳴った。


オフィスにいた従業員さんたちは、ランチを摂りに外へ出た。


またところ変わって、扇町通おおぎまちとおりにあるすき家(牛丼屋)にて…


あらたは、牛丼の健康セット(みそ汁と冷ややっこつき)でランチを摂っていた。


店内のユーセンのスピーカーから『すき家レイディオ』(CSラジオ)が流れていた。


パーソナリティの男性が6月のマンスリーテーマである『結婚』についてあれこれと話していた。


放送を聴きながらランチを摂っていたあらたは、曇った表情でつぶやいた。


立浪課長が『じっと待て…』と言うたからその通りにした…


少ないお給料の中から毎月1万円ずつ貯めながらじっと待ていたのに…


良縁に恵まれなかった…


なんでオレは…


三重子ボロオンナと結婚したのか…


立浪課長は『お嫁さんと子どもが両方もらえたのになんでよろこばないのだ…』と言うたけど、あれはどう言うことだ…


立浪課長は…


ふざけている…


思い切りブチ切れたあらたは、食べかけの牛丼をパクパクパクパクパクパクパクパクパクパク…と食べた。


この時、ユーセンのスピーカーからリスナーさんからのリクエスト曲・りりあの歌で『貴方の側に』が流れてきた。



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