第12話

(ブロロロロロロロロ…)


時は、夜10時過ぎであった。


ところ変わって、南知多道路の武豊インターの付近を走っている県道にて…


道路にヘッドライトをともしている自動車がたくさん往来していた。


清の妻・里英りえは、清の両親おやきょうだいたちや親類たちからボロクソに言われたので心がズタズタに傷ついた。


『清のお弁当を作らない非情な嫁…』

『清が大キライだからリコンした…幼なじみの男の子が好きだからサイコンする…なんてふざけているわよ!!』

里英りえのおにいやおねえが悪いから里英りえも悪いのよ!!』


………


…とボロクソに言われた里英りえは、生きる気力をなくした。


その上に、里英りえは本家の筆頭主あるじからカンドーだと言われたので帰るふるさとをなくした。


信包のぶかねも、今江の家の人たちから痛烈なヒナンを浴びたのでヤケクソになった。


もうだめだ…


アタシは…


この先…


どうやって生きて行けばいいのよ…


うつろな表情をうかべている里英りえは、ふらついた足取りで東へ歩きつづけた。


ところ変わって、武豊インターから西へ300メートル先にあるラブホにて…


ふらついた足取りで歩いていた里英りえは、部屋から出てきた信包のぶかねを目撃した。


信包のぶかねは、人妻風の女と一緒に部屋から出た。


思い切りブチ切れた里英りえは、ワーッと叫びながらふたりに向かって行った。


「おい里英りえ!!やめろ!!」

「ワーッ!!」


思い切りブチ切れた里英りえは、信包のぶかねと一緒にいた女に対して殴るけるの暴力を加えた。


里英りえに暴力をふるわれた女は、両手で顔を隠した状態で泣きながら逃げた。


信包のぶかねは、ものすごく怒った声で『ふざけるな!!』と怒鳴り声をあげたあと里英りえを車にのせた。


(ブロロロロロロロロロロロロロロ…)


車は、ラブホから出発したあと常滑方面ヘ向かって走行した。


またところ変わって、常滑市の海岸沿いにあるマリーナの岸壁にて…


岸壁に、信包のぶかねが運転していた黒のスズキワゴンR(軽四車)が停まっていた。


信包のぶかね里英りえは、車から降りたあと話し合いをした。


ふたりはよりしれつな怒りを抱えていたので、おだやかに話し合いができなかった。


思い切りブチ切れた里英りえは、信包のぶかねに対して怒った声で言うた。


信包のぶかね!!なんでアタシ以外の女の人とホテルに行ったのよ!?」

「オレがどんな女と付き合おうとオレの勝手だ!!」

「なによなによ!!信包のぶかねはアタシと指切りげんまんのヤクソクをしたことを忘れたの!?」

「お前の指切りげんまんなんか信用できない!!」

「キーッ!!もう許さないわよ!!」

「許さないのはお前の方だ!!ダンナがいるのに、なんでオレにお昼のお弁当を作った!?」

「ダンナはアタシが大キライと言うたのよ!!」

里英りえ!!」

「アタシは、ダンナが大キライだからリコンしたのよ!!」

「お前にとって結婚とはなんだと言いたいのだ!?大好きな人じゃないとイヤなのか!?」

「アタシは、イヤイヤダンナと結婚したのよ!!…アタシのまわりのコたちは、小さい時から大好きな人と結婚したのよ!!アタシのまわりのコたちはみーんなしあわせになったのよ!!」

「それじゃあ、お前は不幸になったと言いたいのか!?」

「そうよ!!不幸になったのよ!!アタシは、今江の家に暴力をふるわれたのよ!!義父クソジジイにレイプされたのよ!!…義父クソジジイの友人たちにまわされたのよ!!」

「ちょっと待て!!それは本当か!?」

「本当よ!!今江の家の男たちは、アタシをレイプしたのよ!!本当よ!!」

「おい!!いいかげんにしろ!!お前は自分のダンナを粗まつにしていることに気がつけよ!!」

「アタシはダンナとリコンしたのよ!!アタシは、大好きな信包のぶかねとサイコンしたいのよ!!」


この時であった。


近くにいた清が信包のぶかねに殴りかかった。


「ふざけるな!!ぶっ殺してやる!!」

「なにするんだよ!!」

「よくもぼくの嫁さんに手を出したな!!」

「やめろ!!離せよ!!」

「ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!」


(ドボーン!!ブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブク…)


思い切りブチ切れたきよしは、信包のぶかねを海に突き落とした。


信包のぶかねは、そのまま海の底に沈んだ。


その間に、里英りえは泣き叫びながら走って逃げた。


信包のぶかねを海に突き落としたきよしは、大パニックにおちいった。


「どうしよう…どうしよう…逃げよう…」


この時であった。


(カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ…)


近くでシャッター音が聞こえた。


この時、現場の死角の部分に竹宮が隠れていた。


竹宮は、清が信包のぶかねを殺した現場をコニカミノルタの一眼レフカメラで撮影した。


竹宮は『ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…』とわらいながら事件現場を撮影した。


翌日の正午過ぎであった。


ところ変わって、有松の旧の染め物問屋だった古い建物の中にあるレストランにて…


あらたは、1620円の湯づけ定食でランチを摂っていた。


話は、それから30分後であった。


ランチ休憩を終えたあらたは、歩いて職場ヘ向かっていた。


この時であった。


近くにある公園からなさけない男の声が聞こえた。


声を聞いたあらたは、公園ヘ向かった。


ところ変わって、公園にて…


あらたは、公園の生け垣の向こう側にある現場をのぞいた。


生け垣の向こう側に清と竹宮がいた。


竹宮は、おどし口調の声で清に言うた。


「あんたはなんで、立浪課長かつてのじょうし次男せがれを殺したのだ?…だまってないでなんとか言えよ…」

「ぼくは、妻を守るために信包クソガキを殺した!!」

「なにが妻を守るために信包クソガキを殺しただ…クソたわけたいいわけを言うてもアカンぞ!!」

「こらえてください!!お願いですからこらえてください!!」

「あきまへんな〜」

「なんでアカンねん!?」

「あんたは信包クソガキを殺した他にも、ぎょーさん悪いことしてまんねん…なんらかのオトシマエをきっちりとつけてもらうまで、なんべんでも来るぞ!!」

「やめてくれ〜…このとおりだ!!」

「アカンな〜」

「おい!!クソヤロー!!」


この時、きよしは背広の内ポケットから大垣共立銀行のロゴ入りのふうとうを取り出した。


ふうとうの中には札束がぎっしりと詰まっていた。


竹宮は、怒った声で清に言うた。


「それはなんや?」

「てめえがほしいのはカネだろ!!」

「オレはカネくれとは言うてないぞ!!」

「カネがほしいのであればカネくれと言えよ!!」

「おい、オレはつかれているのだよ…家にけえってねてーんだよ〜…それよりも、職場のカネを勝手に持ち出すんじゃねえよ…最後にひとこと言わせてもらうさかいに…あんたが信包クソガキを殺した現場の写真があと数時間後に夕刊タブロイドにケイサイされますので…あんたの人生は、これで終わりだな…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」


思い切りブチ切れた清は、近くにあった鋼鉄パイプで竹宮の頭を殴りつけた。


(ドカッ!!)


「ぐわああああああああ!!」


その後、清は竹宮の背中をナイフでズタズタに刺して殺した。


おりわるく、そこへ数人のチンピラが通りかかった。


「アニキ!!」

「オドレ今江!!」


清は、事件現場から走って逃げた。


数人のチンピラたちは、清を追いかけ始めた。


竹宮を殺した清は、一生やくざたちに追われるハメになったと同時に職場・家に居づらくなったようだ。


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