第10話

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)


時は、10月17日の正午であった。


またところ変わって、信包のぶかねが勤務しているリサイクル工場にて…


工場の構内に、正午ひるやすみを知らせるサイレンが鳴り響いた。


工場の従業員さんたちは、ランチを摂るために休憩室へ向かった。


信包のぶかねが足早に工場から出ようとした時であった。


大きなとうのかごを持った里英りえ信包のぶかねに会いに来た。


信包のぶかね〜♪」


里英りえは、ウキウキした表情で信包のぶかねを呼んだ。


信包のぶかねは、うんざりした表情で里英りえに言うた。


「なんで来たのだよ!!」

「なんでって、アタシは信包のぶかねと一緒にお弁当を食べるために来たのよ。」

「オレは頼んでないよ!!」

「アタシは、信包のぶかねが大好きだから一緒にランチを摂りたいのよ…きょうはいいことがあったからウキウキしているのよ〜」

「言うてる意味が分からないよ!!」

「そんなことよりも、一緒にランチを食べようよ〜」


このあと、里英りえ信包のぶかねを連れて構内にある藤だなへ行った。


ところ変わって、構内にある藤だなにて…


里英りえは、大きなバスケットの中からお弁当を取り出したあとテーブルの上にならべた。


信包のぶかねは、めんどくさい声で里英りえに言うた。


里英りえ!!」

「なあに♪」

「お前、いいかげんにしろよ!!」

「なんでそんなに怒るのよ?」

「お前、ダンナがいるのにこんなことしていいのかよ!?」

「アタシはダンナが大キライだからリコンしたのよ〜」


里英りえから話を聞いた信包のぶかねは、おどろいた声で『リコンした?』と言うた。


里英りえは、のんきな声で『うん♪』と言うたあとダンナとリコンしたわけを説明した。


「アタシは、ダンナがどうしてもと言うたから仕方なく結婚しただけよ~」

「なんでダンナとイヤイヤ結婚したのだ!?」

「だから、職場の上司ハゲが『君もいい年だから〜』と言うたから仕方なく結婚したのよ〜」

「なんでイヤと言わなかった!?」

「イヤと言うたわよ…だけど…そのあと、上司ハゲからいやがらせを受けたのよ~」

「それでダンナとイヤイヤ結婚したのか?」

「そうよ。」

「お前は、ダンナのどう言うところがキライなのだ!?」

「決まっているわよ…でかいのはズウタイだけで、自立心がまったくないドサイテー男よ。」

「ドサイテー男って?」

「そうね…結婚しても親きょうだいと同居しているイソン男よ。」

「イソン男?」

「そうよ…ダンナは親きょうだいたちと離れて暮らすのはイヤだと言うたのよ…それに…ダンナのお給料はお小遣い以下だから、もっとダメ男よ…ネンシュー800万円と言うたからお見合いして結婚したけど…手取りはたった800円よ。」

「おい!!それは本当か!?」

「ほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうに800円よ!!」

「だけどな…」

「手取りは15万6800円だけど、義母が食費で15万6000円取ってるのよ…それで残りは800円しかないのよ…たまったものじゃないわよ…義母は食費だと言うてるけど、ウソに決まっているわよ!!」

里英りえ!!」

「義父は義父で、アタシが着ている下着が入っているクローゼットを荒らしたのよ!!…義父は社会的地位のある人と言うたけど大ウソよ!!」

「だからそれはほんとうのことか!?」

「ほんとうの話よ!!義父はダンナの前の嫁をレイプしたのよ!!アタシも義父からレイプされたのよ!!」

「もうやめろよ!!…だからお前はダンナとリコンしたと言うのだろ!!」

「そうよ…」


このあと、里英りえはリコンしたダンナの悪口をズタズタに言いまくった。


「アタシは、ダンナに対して一方的にリコン届けを突きつけたのよ…だけど…ダンナは『イヤだ!!』と言うてダダをこねた…だからアタシは、平手打ちでダンナの顔を叩いた…」

「お前は、力でダンナを押さえつけたのか!?」

「ダンナは押さえつけないと言うことを聞かないのよ!!」

「お前、いくらなんでもやりすぎだぞ!!」

「アタシは、ダンナが大キライだからダンナをたたいたのよ…」

「おいやめろ!!」

「アタシは、大好きな信包のぶかねとサイコンしたいからダンナとリコンしたのよ…信包のぶかね、小さい時を思い出してよ…」

「小さい時って…」

「一緒におままごとしたじゃない…」

「ふざけるななよ!!」

信包のぶかね信包のぶかねは今でも里英りえが好きなのでしょ…」

「それは…お友だちとしてだよ。」

「それだけ?」

「他になにがあると言うのだよ!?」

「だから…本気で好きと言う気持ちはないの!?」

「だから、なにが言いたいのだ!?」

「小4の時を思い出してよ!!」

「小4の時って?」

「アタシが他の男の子たちと遊んでいた時に信包のぶかねが男の子たちに殴りかかったじゃないのよ!!あれはどう言うことよ!?」

「どう言うことよって?」

信包のぶかねは、アタシのことが好きなのでしょ!!」

「だから、お友だちとして好きだよ…」

「そんなのイヤ!!」

里英りえ…」

「ひとりの女として好きと言うてよ!!」


全くもう(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)


信包のぶかねは、ものすごくめんどくさい声で里英りえに言うた。


「好きだよ…ひとりの女として好きだよ…好きだと言えばいいんだろ!!」


里英りえは、ニコニコ顔で信包のぶかねに言うた。


「じゃあ、指切りげんまんしよ♪」

里英りえ〜」


里英りえは、右の小指で信包のぶかねの左の小指をからめたあと指切りげんまんのヤクソクをした。


信包のぶかねと指切りげんまんのヤクソクをした里英りえは、信包のぶかねとサイコンできると言うてよろこんだ。


しかし、里英りえ信包のぶかねとサイコンするという話を通りかかった人の耳に入ったので大ゴトになったようだ。


時は、午後3時頃であった。


またところ変わって、JRとめいてつと地下鉄の金山駅の南東よりにあるイオンモールにて…


里英りえは、モール内にあるイオンスタイルの食品売り場で買い出しをしていた。


里英りえは、鼻歌を歌いながら明日のお弁当を作る食材をカートに入れていた。


買い出しを終えた里英りえは、セルフレジで順番待ちをしていた。


この時、里英りえがいた場所から2メートル先の場所で奥さま同士が立ち話をしていた。


ふたりの奥さまは、声をひそめながら話をしていた。


「ちょいと奥さま〜」

「なによ~」

「あれ、今江のおくさまよ。」

「今江のおくさまがどうかしたの?」

「おくさま、今江の奥さまがダンナとリコンしたみたいよ。」

「リコン?」

「あんた知らんかったん…今江の奥さまは、ダンナが大キライだからリコンしたのよ~」

「ダンナが大キライだからリコンしたって?」

「だから、今江の奥さまは大好きな人と結婚したいからダンナとリコンしたのよ…」

「今江の奥さまは、ダンナのどう言う部分がキライなのよ?」

「だから、結婚しても親きょうだいと同居しているイソン魔だから大キライと言うたのよ〜」

「ますますわけが分からなくなったわ〜」

「あっ、ここだけの話だけど…今江の奥さまが天白区テンハクのリサイクル工場で働いている大好きな人のもとへお弁当を持って行ってるみたいよ。」

「ほんとうなの?」

「ほんとうにほんとうよ…それでね…今江の奥さまが大好きな人と指切りげんまんしたのよ…指切りげんまんしてサイコンするヤクソクを取りつけたみたいよ。」

「ウソでしょ…」

「ほんとうよ…今江のおくさまは、どこのどこまでイヤな人かしらねぇ…」

「それで、今江の奥さまが大好きな人って、だれ?」

「そうね…松城町の立浪たつなみの家の次男坊よ。」

「ええ!!ミテジマ商事の営業の課長さんの次男坊って…」

「今江の奥さまはふざけてるわよ!!」

「そうよね〜」

「近くに今江の奥さまがいるわよ。」

「なんなのよ…イヤな女ね~」

「ほんとほんと…」

「立浪のご主人もご主人よ…ご主人がなさけないジジイだから息子さんたちにお嫁さんが来ないのよ~」

「そうよね〜」


この時であった。


近くにいた里英りえが両手で顔をふさいだあと走って逃げ出した。


食材が入っているカートは、その場に放置された。


奥さまふたりは、このあとも里英りえの悪口をズタズタに言いまくった。


時は、夕方6時半頃であった。


またところ変わって、半兵衛はんべえの家族たちが暮らしている家にて…


家の食卓に半兵衛はんべえ信包のぶかね君枝きみえ真央まおの4人がいた。


テーブルの上には、ものが置かれていなかった。


この日、真央まおが料理をする気がないので晩ごはんを作らなかった。


真央まおは、熱田区にあるイオンモールへ買い物に行ってた奥さまから信包のぶかね里英りえがミッカイしていたことを聞いたのでショックを受けていたと思う。


信包のぶかねは『おぼえてない!!』と言うたあと里英りえが一方的に思いをつのらせているだけど言うた。


信包のぶかねから話を聞いた君枝きみえは、困った声で言うた。


「よく分かったわよ…あんたは、里英りえさんと結婚する気はないのね。」

「ねえよ!!里英りえは…たのんでもいないのに、勝手に来ただけだ!!」

「分かったわ…」


ものすごくつらい表情を浮かべている信包のぶかねは、席を立ったあと怒った声で言うた。


「外へのみに行く!!うちにいたらむしゃくしゃするのだよ!!」


このあと、信包のぶかねは家から出たあと外へのみに行った。


それから1分後であった。


君枝きみえは、1枚の書面をテーブルにのせたあと右手に作った握りこぶしでテーブルをドスーンとたたいた。


半兵衛はんべえは、ひどくおびえまくった。


君枝きみえは、ものすごく怒った声で半兵衛はんべえを怒鳴りつけた。


「おとーさん!!」

「なんだよぉ〜」

「今回の問題は、おとーさんにも原因があるのよ!!」

「ワシになんの落ち度があると言うのだ〜」

「落ち度があるから殴ったのよ!!」

君枝きみえ〜」

「甘えた声で言うな!!」

君枝きみえ…わしはおだやかに話がしたいのだよ〜」

「おだやかに話せるジョウキョウじゃないわよ!!…おとなりの奥さまからことの次第を聞いたとき…アタシは、ものすごくはずかしい思いをしたのよ!!」

君枝きみえ〜」

「ああ!!イライラするわね!!なさけない声を出すなクソジジイ!!」


(ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!)


思い切りブチ切れた君枝きみえは、右手に作った握りこぶしでテーブルを激しく殴りつけた。


その後、君枝きみえはよりするどい目つきで半兵衛はんべえをにらみつけながら言うた。


「おとーさん…この際だから言わせてもらうけど…信孝のぶたか信包のぶかねはお嫁さんはいるの!?いらないの!?」


半兵衛はんべえは、おびえながら答えた。


「いる…いる…だけど…身の丈に合う相手おあいてが近くに…」

「そのセリフは聞きあきたわよ!!…『身の丈に合う相手おあいてがいない…』と言うて悩んでばかりいるから前に進むことができないのよ!!」

「それじゃあ、どうしたらいいのだよ?」

「おとーさんとおかーさんが神任せにしていたからゴエンが逃げたのよ!!」

「神さまにお任せするしかないのに…」

「もういいわよ!!」


思い切りブチ切れた君枝きみえは、テーブルに置かれていた書面を手にしたあと半兵衛はんべえを怒鳴りつけた。


「今度の週末に、栄の東急ホテルで親同士によるダイリコンカツのイベントがあるのよ…それをもうしこもうと思ったけど、やめるわよ!!」

「やめるってどう言うことだ!?」

「おとーさんとおかーさんが神さまに任せると言うて悩んでばかりいたからよ!!」

「やめないでくれ〜…申し込む…申し込む…」

「もう遅いわよ!!」


思い切りブチ切れた君枝きみえは、ダイリコンカツのイベントの申し込み用紙にチャッカマンでつけた火であぶった。


火がついた申し込み用紙は、テーブルに置かれているアルミの容器ボールの中で燃えて灰になった。


その後、君枝きみえはものすごく怒った声で半兵衛はんべえに言うた。


「おとーさん!!」

「なんだよぉ〜」

「いまからおとーさんにお知らせがあります!!」

「お知らせって、なんだよぉ〜」

「うち…3日前にダンナとリコンしました。」

「リコン!!」

「そうよ…理由はひとつよ…ダンナが大キライだからリコンしました~」

「ダンナが大キライだからリコンしたとはどう言うことだ!?」

「大キライだからリコンしたのよ!!それのどこがいかんのよ!?」


君枝きみえは、するどい目つきで半兵衛はんべえをにらみつけながら言うた。


「さらにお知らせがもう一つあります…まりよは…1年前によその大学の男子学生から集団レイプの被害を受けました…それが原因で…短大をやめました…それともうひとり…うちは、ダンナとリコンしたあと大好きな人とサイコンすることを決めました…相手は…神戸にある海運会社のオンゾウシです…きのう…オンゾウシからプロポーズされました。」

「それ以上は言わないでくれ〜」

「もう遅いわよ!!…そういうことで、明日の朝…ここを出ます…まりよも連れていきます…明日の朝、引越屋さんが来るので…早く寝ます…まりよ…おいで…」


このあと、君枝きみえはまりよを連れて部屋に入った。


君枝きみえからズタズタに言われた半兵衛はんべえは、おたつきまくった。


その翌朝であった。


君枝きみえとまりよは、ほんとうに家から出て行った。


同時に、君枝きみえとまりよが使っていた家財道具が家から運び出された。


君枝きみえとまりよは、神戸へ行くと言うて家から出たあとそれっきりになった。


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