第8話

時は、夜7時半頃であった。


またところ変わって、あらたの実家の食卓にて…


テーブルには、亜弥子あやこ晃代てるよが作った晩ごはんがならんでいた。


テーブルには、いさおと亜弥子あやこ晃代てるよの3人がいた。


この時、亜弥子あやこはいさおの食事介護の支度をしていた。


そこへ、スーツ姿で黒の手提げを持っているあらたがつかれた表情で帰宅した。


晃代てるよは、怒った表情であらたに言うた。


あらた!!」

「なんだよぉ〜」

「遅いわよ!!」

「オレは今、めいてつと地下鉄を乗り継いで帰って来たばかりだよ~」

「ごはんが冷めるから早く帰りなさいと言うたでしょ!!」

「ねえさん…」

「もういいから座ってよ!!」


ものすごくつかれた表情を浮かべているあらたは、ゆっくりとこしかけた。


ブアイソウな表情を浮かべている晃代てるよは、瀬戸焼のお茶わんに白いごはんを…輪島塗の漆器にみそ汁をついだ。


亜弥子あやこは、いさおに白がゆを食べさせていた。


白いごはんが盛られている瀬戸焼のお茶わんを受け取ったあらたは、みそ汁をついでいる晃代てるよに言うた。


「ねえさん。」

「なによ~」

「じいじの具合はどうなの?」

「今のところは平時をたもっているわよ…だけど…長くは持たないと思う。」

「長くは持たない?」


晃代てるよは、みそ汁が入っている輪島塗の漆器をあらたに手渡したあとあらたに言うた。


「おじいちゃんは、十二指腸の一部に腫れ物があったのよ…」

「腫れ物…」

「おじいちゃんが長時間の手術に耐えることができないので、バイパスをつける手術を受けたのよ…バイパスをつけたのは応急措置だから長くもたないのよ…」


晃代てるよは、白いかっぽうぎをたたみながらあらたに言うた。


「このままでは、十二指腸にたまっているタンジュウが原因でからだのあちらこちらに異常を起こすおそれがあるのよ…お願いだから手術を受けてよと言うても、おじいちゃんは言うことを聞かないのよ…自分の身体を大事にできないなんて…」


この時、いさおの食事介護をしている亜弥子あやこが困った声で言うた。


晃代てるよ…もうやめて…おじいちゃんは…自分の身体にメスをいれるのはイヤだと言うてるのよ~」


晃代てるよは、あつかましい声であらたに対して『ごはん食べなさい!!』と言うた。


あらたは、輪島塗の漆器を手にしたあと白いごはんの上にみそ汁をかけたあとだまって夕食を摂った。


またところ変わって、半兵衛はんべえの家族たちが暮らしている家にて…


テーブルには、半兵衛はんべえ君枝きみえとまりよと信包のぶかね真央まおがいた。


テーブルの上に、真央まおが作った晩ごはんがならんでいた。


半兵衛はんべえは、君枝きみえまりよ母娘おやこが帰って来た日からつまらない表情を浮かべるようになった。


あらたの家族たちと晩ごはんを食べたかった…


半兵衛はんべえは、そうつぶやいていたと思う。


(バーン!!)


思い切りブチ切れた半兵衛はんべえは、平手打ちでバーンとテーブルをたたいたあと『おいしくない!!』と言うてひねた。


近くにいた君枝きみえがあつかましい声で半兵衛はんべえに言うた。


「おとーさん!!わがままばかりを言わないでください!!」

「なんだと!!ワシがいつわがままを言うたのだ!?」

「おとーさんは、アタシとまりよが実家ここに帰って来たことがそんなに不満なの!?」

「ああそうだよ!!」

「おとーさんは、うちら家族よりも京田ポンコツの方がかわいいとうちらに言うたよね!!…と言うことは、うちらのことがうざいのね!!」

「そんなことは言うてないよ〜」

「やかましいわねクソジジイ!!」

「ちょっとやめてください!!」


たまりかねた真央まお君枝きみえを止めた。


「ごはん時にケンカしないでください!!」

真央まおさん!!うちはおとーさんに素直になりなさいと言うただけよ!!」

「分かりましたからごはんを食べてください!!」

「うるさいわね!!…おとーさん!!」

「なんだよぉ〜」

「おとーさんと京田ポンコツはどんな関係があるのよ!?」

「職場の上司と部下だよ~」

「なんで京田ポンコツをカジョウにデキアイしたのよ!?」

「京田くんは、中学を卒業したあと名古屋ここにやって来たのだよ…実家がビンボーだったからコーコーへ行くことができなかった…京田くんが夜学テイジのコーコーへ入学する時の手続きをワシがしたのだよ…名古屋じもとの大学に入学する手続きもワシがしたのだよ…」

「おとーさんは困っている人を見たらほっとけない…助けるためにはうちら家族を見捨てることもいとわないと言うことね!!」

「そんなことは言うてないよ〜…君枝きみえたち家族も大事だよ~」

「家族も大事とはどう言うことよ!?もう怒ったわよ!!」

「やめてくれ〜」


(ジリリリリン!!)


この時であった。


うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴り響いた。


「アタシが出ます。」


真央まおは、受話器を手にしたあと話をした。


「はい、立浪でございます。」


電話は、三重子みえこの実家からであった。


三重子みえこの実家にて…


真由美まゆみは、受話器ごしにいる真央まおに言うた。


「立浪さん、千種区月見坂町ちぐさつきみざかちょうの岡林でございます…あの…すみませんけど、お宅に知永子ちえこは来ていますか?」


真央まおは、ものすごく困った声で答えた。


知永子ちえこさん…うちには来ていませんけど…どうかなさいましたか?」


真由美まゆみは、困った声で言うた。


「ちょっと言いにくい話しだけど…1週間ぐらい前から…知永子あのこ…ハヤビケするようになったのです…それ以前からハヤビケとケッキンを繰り返すようになったのです。」


真央まおは、ものすごく困った声で言うた。


「もしもし、おくさまはなにを心配なされているのですか?」

「心配してますよ…知永子あのこは他にも深刻な悩み事を抱えていたのです…7月1日に結婚披露宴場ひろうえんじょうで発生した事件によるショックもありましたよ…私たち親類も、知永子あのこが幸せになるようにと思ってあちらこちらにたのみに行ったのよ…」

「奥さま!!」

「ちょっとごめんなさい…」


(カチャ…プルルルルルルルルルルルルルルルルル…)


この時、キャッチが入った。


受話器から着信音が聞こえた。


それから3分後であった。


(カチャ…)


キャッチが解除されたあと、真由美まゆみの声が聞こえた。


「立浪さん、おまたせしました。」

「もしもし、どちらからお電話があったのですか?」

「すみません…さっき…知永子あのこが勤務していたスタバから電話があったのです。」

「スタバがどうかしたのですか?」

「実は…きょうの午後、知永子あのこ男性客きゃくのおとこにタンブラーで頭を殴られたのです…」

「暴力をふるわれた?…なんで?」


真央まおは、知永子ちえこが勤務中に男性客きゃくのおとこに暴力をふるわれたことを真由美まゆみから聞いたのでおどろいた。


話は、7時間前のことであった。


場所は、港東通りにあるスタバにて…


知永子ちえこは、お客の応対をしていた。


この時、都市まちのお見合い事業の事務局の人とお見合いに来た男女ふたりがいた。


男女ふたりは、コーヒーと一緒にいただくケーキをどれにしようか迷っていた。


おりわるくこの時、後ろに問題の男性客おとこがいた…


男女ふたりが食べるケーキをどれにしようかと迷い続けたことが原因で、男性客おとこの怒りがチクセキされた。


やっとばんが回ったときだった。


男性客おとこは、ものすごく怒った声で知永子ちえこに言うた。


「おい!!」

「なんでしょうか?」

「あれはなんや!?」

男女おふたりは食べるケーキをどれにしようかと迷っていたのですよ。」

「ふざけるな!!」


(ガーン!!)


男性客おとこは、アルミのタンブラーで知永子ちえこの頭を激しく殴りつけた。


(パチーン!!パチーン!!パチーン!!)


その後、知永子ちえこ男性客おとこから平手打ちで顔を3回叩かれた。


暴力をふるわれた知永子ちえこは、泣きながら店から飛び出した。


…………


…と言うことがあったようだ。


ところ変わって、三重子みえこの実家にて…


真由美まゆみは、困った声で受話器ごしにいる真央まおに言うた。


「…と言うことがあったのです。」


半兵衛はんべえの家族が暮らしている家にて…


電話の応対をしている真央まおは、困った声で言うた。


「お話は分かりました…おくさま…話はかわりますけど…知永子ちえこさんはスマホを持っていますか?…えっ、持たずに出て行ったって…もしもし、もしもし…」


この時、受話器の向こう側でまさるの怒鳴り声が聞こえた。


三重子みえこ!!こんな時間までどこにいたのだ!?」


真央まおは、困った声で言うた。


「もしもし、三重子みえこさんがお帰りになられたのですね…すみませんけど、三重子みえこさんと代わってください!!」


一体、なにがあったのだ…


真央まおは、ものすごく不安な表情でつぶやいた。


受話器ごしにまさるの怒鳴り声が響いた。


三重子みえこ!!今すぐに電話に出ろ!!」

「あとにして…」

「今すぐに出ろ!!」


ちょっと…


いつまで人をまたすつもりよ…


真央まおは、いらついた表情でつぶやいたあと怒った声で言うた。


「もしもし!!三重子みえこさんに代わってください!!いつまで人をまたすのですか!?もしもし!!」


(ガチャーン!!)


この時、思い切りブチ切れた君枝きみえが電話をガチャーンと切った。


真央まおは、君枝きみえを問い詰めた。


「なんで電話を切るのですか!?」

「やかましいわね!!どこへ電話していたのよ!?」

三重子みえこさんの実家から電話があったのです!!」

「なんで京田ポンコツの嫁の実家がうちに電話をかけてきたのよ!?」


(ジリリリリン!!ジリリリリン!!)


またうぐいす色のプッシュホンのベルが鳴り響いた。


君枝きみえは、いらついた声で『また電話!!』と言うた。


真央まおは、電話に出ようとした。


君枝きみえは、電話に出るなと言うた。


「出ないで!!」

君枝きみえさん!!」

京田ポンコツの嫁の実家だったら切りなさいよ!!」

「分かりました!!」


真央まおは、受話器をあげたあと話をした。


「もしもし立浪でございます…もしもし…義竜よしたつくんとほのかちゃんがお風呂の中で大やけどを負ったあと…心肺停止におちいったって…もしもし!!」


この時、義竜よしたつとほのかが浴室の浴槽の横に設置されていた機械にふれたことが原因で大やけどを負った事故が発生した。


義竜よしたつとほのかは、救急車で千種区内くないにある救急病院に搬送された。


時は、深夜11時55分頃であった。


またところ変わって、岐阜県恵那市にある森林にて…


スタバから飛び出したあと行方不明になった知永子ちえこが栄の中心地でナンパしてきた男二人に無理やり車にのせられたあと、ここに連れてこられた。


知永子ちえこは、男二人によって腐葉土じめんに倒された。


知永子ちえこは、必死になって叫んだ。


「やめて!!やめてやめてやめてやめてやめて!!」


(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)


男は、持っていた刃渡りのするどいナイフで着ていた制服のブラウスをり裂いた。


もうひとりの男は、下に着ていたうすいブルーのパンツを無理やり脱がした。


「やめて!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


それから300分後であった。


知永子ちえこは、男二人に犯されたあと死亡した。


死亡した知永子ちえこは、男二人によって土に埋められた。


同じ頃、救急搬送された義竜よしたつとほのかが死亡した。


三重子みえこは、まさる真由美まゆみからズタズタになじられたことを苦に家出をしたあと行方不明になった。


これにより、あらたは大事な家族をくした。

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