第6話

時は、10月13日の午後1時過ぎであった。


またところ変わって、名古屋市千種区月見坂町にある大型和風建築の家にて…


和風建築の家は、三重子みえこの実家であった。


あらたとリコンすると訣意けついした三重子みえこは、知永子ちえこ義竜よしたつとほのかを連れて実家へ出戻った。


家の大広間に三重子みえこ知永子ちえこ義竜よしたつとほのかと三重子みえこの両親・まさる真由美まゆみがいた。


三重子みえこは、まさる真由美まゆみに対してあらたとリコンすることを伝えた。


ことの次第を聞いた真由美まゆみは、ものすごく困った声で言うた。


「困ったわね…うちは、勝利かつとし(53歳・医師)が嫁さんカタの家の義妹いもうとたちからきついイビリを受けたことを苦にうちに出戻ったのよ…その上に、三重子みえこ京田きょうだの家と深刻な対立を起した末に出戻った…ので、おかーさんは困っているのよ…もう一度、京田の家のご家族たちと話し合いをすることはできないの?」


三重子みえこは、怒った声で言うた。


「京田の家のご家族たちは、全員聞く耳をもたない人たちばかりよ!!」

「そんなことはないと思うけど…京田のおかあさまは、話せば分かる人よ。」

「うちは仲直りしないわよ!!ダンナの一方的な思いだけで新築の家を建てたことが原因で子どもたちがギセイになったのよ!!」

「子ども部屋にブラインドとクーラーを取り付ける費用だったら出すわよ。」

「できたらそうしたいわよ!!だけど、うちはこれ以上いえにメイワクをかけたくないのよ!!」

「それじゃあどうするのよ?」

「新築の家は売り払うわよ!!」

「それじゃあもったいないわよ〜…やっぱり京田の家のおかあさまと話し合いをした方が…」

「イヤ!!キョヒするわよ!!」

「このままではよくないわよ…義竜よしたつとほのかは新しいおうちで暮らしたいと言うてるのよ…」


真由美まゆみは、義竜よしたつとほのかに対して新しいおうちで暮らしたいかどうかをたずねた。


義竜よしたつとほのかは『新しいおうちで暮らしたい…』と答えた。


しかし、三重子みえこはあつかましい声で『あの家は売るのよ!!』と言うた。


真由美まゆみは、困った声で三重子みえこに言うた。


三重子みえこ!!」


この時、真由美まゆみのとなりにいたまさるが怒った声で『やめろ!!』と言うたあとラクタンした声で言うた。


「もうやめろ…今の三重子みえこはなにを言うてもだめだ…と言うよりも、今の時代はジブンの家を持ちたいと思っている人は多くいないのだよ…新築の家がたっても、テンキンでよそに移ることが決まったらどうなるのだ…それに、シザイ不足にヤチンがコートーしている…他にも、世界経済が上向きにならない…日本このくには不景気の状態がつづいていることを考えたら…ジブンの家を持つなんてどだい無理なことだ!!」


真由美まゆみは、ラクタンした声で『そうよね』と答えたあとこう言うた。


「結婚についてもそうよ…今の時代は結婚したくないと言う人たちが多いから無理よ…」

「そうだな…」

「むかしとは違って、高学歴高収入の男性が極力少なくなったのよ…と言うよりも、三重子みえこを心底から思うことができる男性おあいてなんかひとりもいないのよ。」

「そうだな…今回のリコンはワシらのセンタクミスが原因だと言うことにしておこう…それでいいだろ。」

「そうね…あの時、コーシンジョへ行ってボケせがれ素行調査チョウサを頼んでいたらよかったわ。」

「ああ、そうだったな。」


真由美まゆみは、三重子みえこに対してやさしい声で言うた。


三重子みえこごめんね…今回はおとーさんとおかーさんのセンタクミスなどが原因でリコンしたで終わりにしましょう…それでいい?」

「うん。」

「じゃあ、それで終わりにしましょう。」

「ああ…京田の家の人間は聞く耳をもたない人間ばかりだから話し合いはしないことにしよう。」

「そうね…そうしましょう。」


話し合いは、そこで終了した。


このあと、三重子みえこと3人の子どもたちは空いている部屋へ移った。


またところ変わって、名古屋大須のときわ通りにある大型和風建築の家にて…


和風建築の家は、あらたの実家であった。


家の広間に、あらたと祖父・いさおと母・亜弥子あやこと姉・晃代てるよ(55歳)の4人がいた。


いさおは、祖母に先立たれた…


亜弥子あやこの夫は、出張先のイスラエルで発生したテロ事件で亡くなった…


晃代てるよは、夫に対して一方的にリコンを突きつけたあとあちらこちらを逃げ回った…


その後、実家ここに出戻った…


…の深刻な事情を抱えていた。


あらたは、亜弥子あやこ晃代てるよに対して三重子みえこのせいで新築の家をバイキャクすることを決めたことと三重子みえことリコンすることを伝えた。


ことの次第を聞いた晃代てるよは、怒った声で言うた。


「なさけないわねもう!!あんたはこれからどうするのよ!?」

「どうするって…」

「家をバイキャクしたあとすぐにリコンすると言うたけど、あとの問題はどうするのよ!?」

「あとの問題って?」

「3人の子どもたちのうち、義竜よしたつとほのかをだれがやしなうのよ!?」

「だから、まだ決めてないのだよ…」

「それじゃあ、今すぐに話し合いをしたら!?」

「話し合いをしたけど…三重子みえこが一方的に拒否したからこじれた…」

「それはほんとうなの!?」

「ほんとうだよ〜」

あらた!!」


晃代てるよのとなりにいた亜弥子あやこは『やめて』と言うて晃代てるよを止めたあとこう言うた。


「もういいわよ…岡林の家の人たちは聞く耳をもたない人たちばかりだから話し合いをしてもムダよ…義竜よしたつとほのかをやしなう気がないとあらたが言うたので、知人に頼んで義竜よしたつとほのかを子どものいないご夫婦の家にヨウシに出すわよ…それでいいよね。」


あらたは、めんどくさい声で『ああ…』と答えた。


話し合いは、そこで終了した。


またところ変わって、半兵衛はんべえの家族たちが暮らしている家にて…


この日、東京で暮らしていた半兵衛はんべえの長女・堂林君枝どうばやしきみえ(56歳)と孫娘まごのまりよ(20歳)が帰って来た。


家の中に、君枝きみえとまりよが使っていた家財道具が引越屋さんたちの手によって次々と入った。


君枝きみえはダンナとリコンすることを決意した…


まりよは、大好きな絹代きぬよのカンビョウがしたいと言うた…


…ので、ここに帰って来た。


君枝きみえとまりよは、満足した表情を浮かべていた。


真央まおもニコニコした表情を浮かべていた。


君枝きみえは、かちほこった表情で『老いては子に従えよ~』と半兵衛はんべえに言うたあと部屋に入った家財道具の整理を始めた。


半兵衛はんべえは、いじけた表情でつぶやいた。


わしは…


京田くんの家族たちとごはんを食べることを楽しみにしていたのに…


なんでぇ…


子どもたちは、よってたかってわしをいじめるのか…

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