閑話 クソザコチクビ一刀流
一方その頃パイモン達はサクサクと敵を狩っていた。
元刺客であるルクナは胸の支えが下りたようで以前よりも俊敏に、また軽やかに剣を振るっている。
「これで残りは一人だけです、聖剣様」
「素晴らしい。さあ、次へ向かいましょう」
ルクナの活躍はパイモンの予想以上だった。
もし彼女が殺されればまた先ほどのように刺客を唆し、同じことを続けようと考えていた。
が、結果はこの通りである。
あまりの強さにパイモンはルクナに興味が湧いてきた。
聖剣の柄を伝い、パイモンがティンにやったようにルクナの中を覗き込む。
ルクナ・ルクレール【ハイエルフ】
状態異常『発情』
体力:123
魔力:7
筋力:71
技量:223
知力:163
敏捷:241
神聖:59
どのステータスも200を超えれば人類としては優秀である。
それが二つもあり、平均値も決して低くないため基礎的な能力はかなり高い。
しかしそれはパイモンにとってどうでも良いこと。
何より気になったのは状態異常である。
「そなた、戦いは好きか?」
「えっ! いえ、そんな……」
ルクナは初々しい反応を見せる。
とても嘘をついているような様子ではない。
しかし剣を振うたびに火照る体。
暫く沈黙が続くと、ルクナはおもむろに口を割りはじめた。
「こそばゆいのです……その、胸の先が……」
ぶかぶかの胸元を無理やり引っ張り合わせたその服は肌との間に絶妙な隙間が生じている。
腕を振るたび擦れる繊維がルクナの敏感な部分をしきりに刺激していた。
「なるほど、余計な話をさせてしまいました」
「いえ、でも意識してしまうと余計に……」
ルクナはしゃがみ込み、全身を小刻みに震わせる。
息遣いは荒く、胸元を掻きむしりたそうに左手は宙を彷徨う。
これ以上堪えるのは限界であった。
予定より幾分巻きで進んでいる計画。
少し悩んだ後、パイモンはある決断をした。
「疲れましたね。私はしばし眠りに着きます。あなたもゆっくり身を休めなさい」
あまりに都合の良い指示にルクナは目を輝かせて頷いた。
パイモンが黙ると共に訪れる沈黙。
暫く経つと路地裏の薄暗がりにカサカサと布の擦れる音が響きだす。
「んっ……んっ…………」
喉の奥から鳴るような甘い声は次第に早く、大きくなっていく。
足をピンと伸ばし、ルクナは背筋に走る電流のような感覚に身を任せる。
「あっ! んんッ!!」
二度、三度と腰を震わせてルクナはぐったりと眠り込む。
ありありと見せつけられたパイモンは己が悶々を必死に噛み殺した。
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