第2話 人間とは思えない彼女
カタカタと揺れる卵のようなもの。そして、しばらく経ってからピキッとヒビが入った。本当に卵のように。
そのヒビからさらに激しい瘴気が漏れ出していることが分かった。
「なんだ?なんだ?ひよこでも出てくるのか?」
本当にそんな風な仕草だ。
カタカタ ピキピキ
結果、どうなるか気になるから待ってみる事にした。普段の俺であれば、絶対にしない行為である。
そして、ヒビが入った。まんま卵だ。
そのヒビはみるみるうちに全体を覆っていき……。
そして、卵はぱっくりと二つに割れた。
瞬間、ものすごい悪気、そして激しい光がそこから放出された。
目が眩むような眩しさだ。とても直視などできず、目を腕で覆った。
それでも足りず、目を強く瞑った。完全に視界はゼロになり、真っ黒な視界が映るはずが、広がった視界は白かった。
そして、そこからは自分の血管が確認できた。
着々とその光は落ち着きを取り戻していき、俺もようやく周りの状況が確認できるくらいになっていた。
「くっそ……」
俺はゆっくりまぶたを開けた。
そこには……。いた……。
幼く小さな体。
くりくりとした大きな眼。
そして、頭からちょこんと生えた角。
「なんだ………………?」
そう思っているとソレの眼が突如光りだした。
キランと一瞬光り輝いた後、ソレは足を一歩前にやった。
怖い。
そこ小さいが、禍々しいその存在感に俺は情けなく腰を引いた。
後に俺は尻餅をついた。
来るんじゃなかった。
死ぬかもしれない。
死というものを感じ、自分の浅はかな行動に後悔していた。
そして、ソレは俺に飛びついた。
しかし、俺は死ななかった。
怪我一つしなかった。
では、どうなったか?
「うう〜!!」
ソレはそう言いながら、俺に頭をスリスリ押し立ててきた。
まるで、俺が「親」のような甘え方だ、
「お、おい……。離れろよ……」
俺はそうやってソレ……。いや、彼女を離そうにも離れない。なんなんだコイツは。
しかし、俺は不思議と嫌な気分ではなかったのだ。
*****
ひとまず、こういう場合はどうすれば良いのだろうか?
困った時の市民の味方といったら、警察だろう!
俺はそう思い、最寄りの交番へと向かった。
「こんちわー」
「お、どうした」
そこにいたのはいい年した警官であった。
「この子供が路上にいて……」
「へぇ……。迷子かね?」
「さあ?」
正直、彼女が人間がどうかも怪しいのだ。
何やら、卵のようなところから凄まじい瘴気を持って出てきたし、
生まれたてなのか不明なのだが、もう既に自立して歩行しているし。
なんか、いつの間にか服着てるし。(卵から出た時は全裸だった)
何故か、俺に懐いてるし。
しかし、そんな不可思議なことをほざいてしまったら、クスリでもやっているのではないかと疑われたり、そうでなくても、しばらくの間、精神病院のお世話になりなさいとでも言われるかもしれないから、わざわざ言わないのだが。
「それにしても、この角?のようなものはいったいなんなんだ?アクセサリーかね?」
「まぁ、そこ突っ込みますよね……」
そうだ、コイツが人間とは思えないというのが目で確認できる一つの箇所があった。それが、「角」だ。
いかんせん、俺もコイツの詳細を知らん。したがって、無責任に自分の浅はかな感想をここで言ってしまえば、どうも上手く事は運びそうにない。
とりあえず、俺がここで訊ねたいのは、コイツをどうすれば良いか。ただそれだけだ。
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