第12話 作戦決行
爆発音が鳴り響く。
「合図がきたな」
ボクはしずかさんと共に村までの道にある二つに分かれる所にいた。ここより村に近付くとバレるし、ここより離れると遠すぎる、と思ったからだ。
「ええ、行きましょう。夫の事も心配ですが、あの人なら投獄されても問題ないでしょう」
「それは本当に問題ないのか?」
しずかさんとボクは走り出すのだが、その差は離されるなんてものじゃなかった。
「ちょっとミキさん!?なんで歩いてるんですか」
「現代社会の引きこもり科学者をなめるんじゃないぞ。数分歩くだけでも疲れるんだから」
「時間も無いですしおんぶって行きますね」
百メートルほど離れていたが、しずかさんは七秒程で戻ってきた。
「すまないな」
「いえいえ。これくらいでしたら」
ボクをおぶったしずかさんはあまり変わらず、百メートル十秒で走った。是非とも筋肉構造を見てみたいものだ。
「そういえばですけど、屋敷の構造とか村長の顔とかわかるんですか?」
「暗記するのが怖いからしてないぞ?それに村長の顔は写真がないからわからないしな」
「写真?なんですか?それ」
「写真を知らないのか」
どうやら現人神は今作れる物しか教えていないのか、たまに村人が知らない言葉が出てきてしまう。どれ程の期間村で教えていたのか、どれくらいの事を教えていたのかわからないと、いますぐ作れる物や揃っている物がわからないのだが。
「写真については後々教えるが、とりあえず村長の特徴を教えてくれ」
「ええっとですね、兵士さんや屋敷から出てくる婦人さんからの話では、金の髪をしている若い男性で、いつも黒の和服を着ているらしいですよ」
「金髪の若い男で黒の和服」
イメージがつかない訳ではないが、そんな野郎みたいな人がこの世界にいるのか?もしかしたら私達みたいに別の世界から……
「村が見えてきましたよ、ミキさん」
「む、もうつくのか」
「屋敷の兵士達が慌てて走ってますね。夫の方がうまくいったということでしょうか?」
「慌ててるってことはそういうことだろうが……ここにいるって事は検問している可能性が高そうだな。振り切れるか?」
「任せてください!」
しずかさんはまたグンとスピードを早めた。
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