第11話 出陣
「作戦決行日になってしまったが、ゆうきは準備出来たか?」
夜が明け始めた時間帯。ゆうきを外に呼び出して、作戦の確認をしていた。
「いいんだが……必ず成功させてくださいよ?」
「ああ分かっている。君も失敗するなよ」
そう言ってボクはゆうきに一つの鉄を手渡した。
「これを落としたりするなよ?」
「わかってますよ。握っていればいいんですよね?」
それは昨日追加で夫婦に作らせた物だ。細長い鉄の筒にボクの知識を入れた爆弾。試行錯誤をしている時間はないが、過去に作った強化型水鉄砲をしている時に起こった小爆発大音量を模している。
「実害は無いが、昨日のような兵士はそっちに向かうだろう。指定の位置に置いたらすぐ逃げるんだ」
「わかりました」
これ以上言うこともないだろう、と思ったボクは、ゆうきを置いて物置に向かった。
「どうですか?しずかさん」
「ええまあ問題は無いですが、あまりやりすぎると動けなくなるんですけど……」
しずかさんはボクが作った装置に熱を与えて貰っていた。ボクが作ったのは木箱の中身に水が貯めてあり、それを熱して水蒸気を作り、それをしすかさんの電気で分解をする。後はそれに酸素を送れば小さい水素爆破を起こせる。
「もうすぐ貯まると思うと思うから止めていいぞ」
「やっとですか」
「三本も作るとなったらな……どうしてもこれくらいかかる」
ボクは設置してあった爆弾を取ると、熱された蒸気が出てきた。
「おっと、危ない危ない。後はこれを冷ましておくだけだが……」
「……ミキさん。私達はこれを起こしてもよかったのでしょうか?」
「……ボクと春斗にはメリットしかない。だが君達はメリットばかりではないだろう。だが勝ってしまえばメリットでしかない。つまり君達は今ギャンブラーってことだ。ギャンブラーは自分を信じる力と勝利を引き寄せる運で戦う。それなら起こしてもよかったんじゃないか?いまの自分を越えるためにも。まあこれが歴史的にどうなのか、ってのは知らないがな」
「そう、ですか」
しずかさんは浮かない顔をしていた。
「……やっている事に自信が無くなることはいくらである。だが優柔不断に動いたら何もかもか終わる。だから昔の自分を信じて前に進むしかないんだ」
「……よし。覚悟は決まりました!勝ちにいきましょう!」
「ああ、勝ちにいくぞ」
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