第8話 やはり異世界でも母は強い

「本当に貴方は何をしてるのよ!」

「……ごめんなさい」

「ごめんなさいなんて意味ないわよもー」

「これが妻に尻をひかれてる父ってやつか」

「普通に違うと思いますよ?先輩」

 ボク達は今、ボクと春斗が一日過ごした家に戻っているのだが、ゆうきの母、しずかさんはずっと怒っている。いやそれが普通なのだろうけど、頭で火が出る程怒っている。しずかさんの他には二人の子供で、五歳にもならないらっかんちゃんが居るのだが、さっきから強ばった表情しか見せていない。いやそれも当たり前か。

 作戦通り素材とか沢山持ってきてもらっている訳だが、こんなに騒がれては計画が失敗しそうで困るのたが……練り直しておくか。

「もういいです。どっちに転んでも最悪の未来しか見えなそうなので。成功すれば良いだけですし。で、その作戦ってのはあるんですか?」

「それはこっちのミキさんが……」

「あんたは知らないのかい?あんたも参加するのに聞いてないの?信じられないんだけど。ちゃんと聞いて動いてくれません?ろくでもない作戦だったらどうするんですか」

「……すみません」

 相変わらず負けてるなー。

「いや、その場その場の行動しか教えてないボクの性でもあるから許してやってくれ」

「貴方はいいんですよ。ちゃんと考えてくれてるんでしょうから。私が怒ってるのは何故作戦も聞かずに動いてるのかと……」

「あ、目的地に付きますよ。皆さん。時間ないんですから先輩の話を聞いて進めましょう?」

「ありがとう、春斗。ここからは時間の問題だ。どうにか信じて付いてきて欲しい。じゃないとどう考えてもここがバレて襲われる」

「……はあ、わかりました。超特急で仕事を終わらせますよ。いいですね?」

「……はい」

 もっとちゃんとしてくれ、ゆうきよ。

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