第3話 喧嘩?いやじゃれあいです

「すっ、すまん、笑うような事ではないことはわかってるんだがな、どうしても。アハハ」

 ボクは春斗の方に向き合おうと椅子の上で動くのだが、やはりツボってしまい、あまり自由に体が動かない。ここまで笑ったのはいつ以来なのだろうか。

「こっちこそすみません。そういう感情をバカにするような怒り方をしてしまって」

「はーっ、はーっ、いやいいんだが。とりあえずこれである意味君がまだ子供だと確認出来たのだが……」

「子供扱いされてるのは置いておきますが、まだ何か問題があるんですか?」

 ボクは静かにゆっくりと立ち上がると、そっと白衣の右ポケット掴まんで外側に上げる。

「今夜、布団が見つからなかったらこれくらいしか変わりになるものはないだろう?」

「いやまあ確かに先輩のちっちゃい背には勿体ない程大きい白衣ですが、それが?」

 禁句を言う春斗にボクは怒り、勢いよく椅子に座って容赦なくその問題を突きつける。

 ボクの身長は平均に比べ二回り程小さいのだ。そのせいで子供と間違えられることが頻繁に……ボクは高校生だ!

「む、喧嘩を売ったな?なら隠さず話させてもらうが、こんな危機的な状況で動けないなんて状況にさせたらいけないんだ。そいつの分まで身の安全を守れる訳じゃないし、致命傷など受けてしまったら治すすべも無い。が、今日は外に出る気がない。つまり家でそういうことが起きる可能性があるもの……そう、ストレスや過労や病気で倒れること。つまり、少しでもいい睡眠をとるらないとこちらとしても困るのだ。だがここに布団などなかった場合、この白衣に二人でくるまって暖をとりながら寝るしかないんだ」

「な、なんでまだなにも言っていないのに二人で寝ることになってるんですか!僕はこのまま離れて寝ますよ!それに喧嘩を売ってきたのは確実に先輩からでしょうよ」

「もう一度言うがそれで君が動けなくなったらどうするんだ?ボクは頭脳派の女だ。力に関しては全くの最低値。つまり君が動けないイコールどちらも死に直面するだろう」

「いや先輩のレベルが高すぎるせいで忘れてるかもしれませんが、僕もどちらかといえば頭脳派なんですけど。力なんて平均より下ですし」

「……ふむ、筋肉強化する服か装置でも作るとしておこう」

 ボクはすぐさま鉛筆をとってさっきの紙に追加しておく。

「ってかなら早くこの建物を捜索しましょうよ。このままだと大問題です」

 春斗は勢いよく立ち上がると、勢いよく足をテーブルにぶつけながらも焦って奥の扉に向かって行った。

「楽しいな。異世界活動も」

 ボクはボソッと言って立ち上がり、ゆっくりと春斗を追いかけた。

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