第27話 リニアエッグと電子虫と光福スーパー
27-1.リニアエッグ
平和24年12月中旬、佐藤 洋介、佐竹 夏美、宮北 大輝、宮本 昇平の4名は、極楽技研の技術者10名とリニアエッグの実物大実験機でテストを行っていた。
地下数十mに、試験線が建設されていた。長さ10kmの直線のリニアーモーターの超電導路線であった。
超電導路線は、水平式レーザ式シールドマシンにより短期間で掘り抜かれ、自動ロボットで作り上げられた。
超電導磁石には極楽鉄鋼が新開発したハイパー高温超電導磁石が使用された。
この磁石はヘリウムを使用せず簡易な冷却装置で冷却していた。
商用化の暁には、試験線がそのまま実際の運用線になる。
実験室は、照明が溢れていた、そこからリニアーモーターの超電導路線の奥に向かって、青色の破線が奥に向かって延び、暗闇の中に溶け込んでいった。
この路線が、リニアーモーターカーの営業路線の完成時には、そのままその一部になるのだ。
佐藤たちは今、旅客用のリニアエッグの直線走行試験に全精力をつぎ込んでいた。
佐藤 洋介達の目の前にはリニアエッグの実験車両があった。
窓や座席の位置は、本番車両と同じであった。外部は、一切装飾は無かったが、強化プラスチックの車体がライトを受けて輝いていた。
佐藤 洋介がマイクに向かってしゃべった。
「今から、乗客用リニアエッグの速度試験を行います。今回の目標は、60kmの運用速度を超える650kmです。これをクリアできれば、いよいよ商用運転の試験に入れます。
モウル(もぐら)、速度を読み上げよ。実験開始」
「スタート60秒前、50秒前、40秒前、30秒前、20秒前、10秒前」
「9,8,7,6,5,4,3,2,1,0、スタート」
超電導で空中に浮かんでいたリニアエッグが、音も無く、スタートした。
急速に加速し、あっという間も無く車体が小さくなっていった。
「50キロ、100キロ、200キロ、300キロ、400キロ」
モウルが速度をアナウンスした。
空中には、同時に映像で速度が表示された。数字がどんどん大きくなっていく。
「500キロ、600キロ」
関係者全員が、固唾を飲んで、数字を見ていた。
「610,620,630,640」
もうすぐ目標のスピードになる。
「650キロ、目標スピード到達」
佐藤 洋介が冷静に達成スピードを読み上げた。
「モウル(もぐら)、停止しろ」
「了解。停止します」
リニアエッグに急制動がかかり、空中に表示された速度の数値が急激に小さくなっていった。そして、0の表示になった。
「停止しました」
モウルがアナウンスした。
同時に、全員が拍手し、互いに手を握り、実験の成功を喜んだ。
サンの天才的な基本設計があり、量子コンピュータの強力な能力と自動ロボットなどの自動建設機械がなければ、こんなに短期間ではここまで到達はできなかった。
しかし、佐藤 洋介、佐竹 夏美、宮北 大輝、宮本 昇平の4名と極楽技研の技術者達が、寝食を忘れてシミュレーションや実験を行わなかったら、この日までに完成する事はなかっただろう。
極楽学園の教育とその後の量子コンピュータによる自己研修が、4名の能力を高い水準に押し上げていた。そしてさらに、一期生として学園の兄弟たちの期待に答えるという使命感がそこにあった。
翌日、宮北 大輝と宮本 昇平が、ゲンから呼び出された。
「宮北君と宮本君、リニアエッグの開発ご苦労さんでした。後は商用化の試験のみです」
「ありがとうございました」
二人は、喜びの表情で答えた。
ゲンが続いて言った。
「君等はリニアエッグの開発チームから外れてもらう」
二人の表情が変わった。そして落胆の表情が浮かんだ。
「宮北君には、極楽技研のリニア・エレベータ開発部隊に、リニアエッグのノウハウを伝授してもらう。その後は、スペースエッグの建設関係に従事してもらう。
巨大なシステム開発と建設だ、極楽グループの総力を挙げて取り組む。お父様も大いに期待されている」
「本当ですか、喜んで全力で頑張ります」
宮北の顔がぱっと輝いた。
「宮本君には、スペースエッグ本体の開発に従事してもらう」
「全力で頑張ります」
宮本の顔も輝いていた。
「その意気だ、二人とも頑張ってくれ。困ったことがあれば、何でも相談してくれ」
27-2.岡田光
その頃、極楽学園の一室に、サンとまだ学園生の15歳の岡田光(おかだ ひかる)がいた。
この部屋には、サンとゲン、啓しか入れなかった。
サンは、岡田光の卓越したプログラミング能力に注目していた。
「光、これが世界ソフトの電力送受信ソフトの概要だ」
3Dディスプレイに人工衛星から自動車への電力供給の図が表示されていた。
「このシステムは、地上の電力送信局から電力を人工衛星へ送信し、さらに受信した電力を自動車へ送信するということですね。多数の人工衛星が必要になりますね」
「そうだ、いずれ人工衛星を打ち上げる。まだ非公開だ。このことを知っているのはごくわずかだ」
「そうですか、画期的なシステムですね」
「電力送受信ソフトは、ほぼ完成している。低高度の人工衛星から移動中の物体に電力供給しなくてはならない。低高度なので、位置制御が極めて難しい。
今の電力送受信ソフトは、地上の移動体の位置認識と電力供給の精度にかなりの問題がある。複数の人工衛星を使用し、受信装置はフェーズドアレイレーダー方式で、この性能を大幅に向上させたい。3次元座標での位置特定をミリ単位で位置制御したい。しかも数十億台の受信機と数十万台の送信機を同時に制御するシステムだ。これの中核のソフト開発を君にお願いしたい」
「お父様、私にできるでしょうか」
「君なら大丈夫だ。自信を持ってやってくれ。必要なサポートは十分に行う。困ったことがあれば、啓に相談してくれ。このプロジェクトのアウルは、コンドルだ。
コンドルはプログラムもデバッグも手伝ってくれる。
コンドルに何でも相談してくれ。勿論、私もサポートするよ」
「わかりました。全力で任務を務めます」
その日から、岡田光は、電力送受信ソフトの改良に没頭することになった。
岡田光は、G++で制御プログラム開発を開始し、驚異的なスピードで電力送受信ソフトを開発し作り上げ、わずか半年で第1次バージョンを完成させた。そして直ぐに第2次バージョンの開発に取り掛かった。
27-3.電子虫
同じころ、電子虫開発チームが、研究室に集まっていた。
テーブルの上には、1cmより小さい物が置いてあった。
半球形の胴体に小さな頭部があり、短い脚や触角と目らしきものが着いている。
形は、テントウムシに近い。
鞘翅(しょうし)に似た赤い保護膜が、薄い羽根を保護する役目をしている。
左右の鞘翅は確認の為、開かれている。
その下の外骨格にあたる胴体が一部切り取られ、内部が見えるようになっていた。
そこに、人工筋肉があった。人工筋肉は、もはや0.5cm程まで小さくなり、2つの薄い羽根がつながっていた。
蓄電池はさらに小さくなり、上からは見えなかった。
脳にあたる制御装置も頭部に格納され見ることは出来なかった。
もはや、ケーブルも接続されていなかった。
「起動します」
システム工学博士の鳥山が、3Dディスプレイ上の起動スイッチを押した。
電子虫は、羽根を動かし始めた。音は小さい。
「出力を、徐々に60%まで増加させます」
鳥山が、3Dディスプレイ上の仮想レバーを奥の方に動かし始めた。
鳥山は、制御用手袋に仮想的なレバーの抵抗を感じた。そのまま押していった。
「ブーーン」
電子虫の羽根の音が高くなっていく。
そして、
「飛んだ」
飯島が、思わず言った。
電子虫は、テーブルから飛び立ち、皆の肩の位置でホバリングし、空中に静止した。
「バンザイ」
生物学者の堺が思わず言った。
「バンザイ、バンザイ」
全員で、万歳した。
「うまく行った。よかった。よかった」
鳥山が、皆と握手して回った。
しばらくして、皆の興奮が納まった頃、飯島が切り出した。
「創立者からの伝言があります。パグ、『第311号作戦』を開け」
皆の喜んでいた顔が、真剣な顔になった。
「画面を見てわかりますように、この電子虫は、量産生産チームに引き渡されます。制御機能や監視機能、飛行性能を強化された後、世界ソフトとの接続機能を追加され、量産化の段階に入ります」
「俺たちの仕事は終わったのか? 次は何があるんだ」
鳥山が少し気色ばって言った。
「パグ、『第312号作戦』を開け」
3Dディスプレイ上に文書が開き、ネットワークみたいなものが表示された。
「まず、多数の種類の電子虫を設計・開発します。
高速のトンボ型、遠距離飛行が可能なミツバチ型、待ち受け専門のクモ型、水中潜航可能なゲンゴロウ型などです。さらに大型の電子虫も開発します。
電子虫の飛行中の姿勢制御は、まだまだ課題がありますよね。鳥山さん」
「そうだね、今の電子虫は飛んでるだけだからな」
鳥山の声は、喜びと意欲で弾んでいた。
「さらに、電子虫に宇宙エッグからの電力受信を可能とします。そうすると電力を供給する為に停止する必要がなく、ずっと飛び続けることが出来ます。さらに他の電子虫に電力を供給するカブトムシ型も開発します。
当然、データの送受信機能もつけます。その後に、電力と情報の相互交換システムを構築します。ある電子虫が、自分が入力した映像を近くの電子虫に伝え、遠くに転送してもらったり、自分が宇宙エッグから電力を受信できない場合、他の電子虫から供給してもらうシステムです。電子虫相互の連携等も行います。
電力を各電子虫に供給するカブトムシ型の電子虫も開発します」
「こりゃいい」
堺が目を輝かせた。
「技術者が足りんぞ」
鳥山が嬉しそうに言った。
27-4.光福スーパー
12月20日、経営が行き詰まった中堅スーパーの光福(こうふく)スーパーを買収した。
光福スーパーは、中堅ではあるが、関東を中心として数十店舗を展開していた。
売り上げは1,000億円を大幅に下回っていた。従業員は、リストラを繰り返し1,000名にまで減少していた。
大手のスーパーに押され、ここ数年大幅な赤字を計上し、累積赤字が、100億円を超えていた。
一時は、店舗を拡大し、急成長を遂げ、株式上場していたが、急激な店舗展開が裏目に出て、各店舗が軒並み赤字に陥った。必死の経営立て直しも効果がなかった。
もはや倒産が目の前に迫っていた。
3か月前の9月11日、大澤が衆議院議員に当選した翌日、啓が呼び出された。
「大澤先生、このたびは、ご当選おめでとうございます」
啓が深々と頭を下げた。
「ああ、有難う」
大澤は、一瞬口ごもりそして一気に言った。
「ケイちゃん。今日はお願いがありまーす」
大澤は、最近啓のことを『ケイちゃん』と呼ぶようになっていた。
ちなみに、サンのことは、『サンちゃん』、ゲンは、『ゲンちゃん』である。
啓は、大澤の大げさな言い回しに、少し警戒した。
「お願いとはなんでしょうか」
「ちょっと、これを見て」
大澤は、資料を啓の前に出した。
啓は、パラパラとページをめくり、内容を拾い読みした。
「そこに書いてあるように、光福スーパーというのがある、去年から売上減少でにっちもさっちもいかない。もう倒産は時間の問題だ。
ところが光福スーパーは、大泉総理の選挙区内だ。大泉総理から絶対に潰すな、何とかしろと仰せつかった。
しかしどこも怖気づいて助けるところはいない。
どうですか、極楽さんで買いませんか」
大澤は、ずばりと言った。
大澤は、困り果てて、極楽グループに頼む事にしたのだ。
普通ならこんな事実上倒産したスーパーなんか買えるはずはなかった。
「大澤先生、これは先生の為にもなり、大泉首相の為にもなるんですね」
「そうです。大泉総理にお応えでき、私の功績にもなります。啓ちゃん、どうかよろしく頼みます」
大澤は、テーブルに両手をつきお辞儀をした。少し芝居がかっていた。
「大澤先生、即答はできませんが、持ち帰って相談してみます。なんとか先生にお応えしたいと思います」
「あ、有難う。さすがケイちゃんだな。俺が見込んだだけのことはある。このお返しはきっとするからな」
啓は、椎葉に帰ると、サンとゲンに相談した。
「光福スーパーの時価総額は、下がりに下がって資本金とほぼ同額の40億円になっています。
TOBで全株を購入するとして約40億円、当面の運転資金として200億円ほどかかります。それより問題は、株式公開されていて上場廃止するのに時間がかかるという事です」
啓は、概略を説明した。
いままで、極楽グループは頑なに自己資金だけでやって来た。こんなケースは初めてだった。
サンが話出した。
「一つくらい、外部の資本が入っていてもいいだろう。やはり世間にアピールするような企業があってもいいよ。株の80%を極楽グループで買おう」
「俺も、そう思う。今後、農業工場の農産物などを大々的に販売しないといけないから、好都合じゃないか。後は資金繰りだな」
ゲンも賛同した。
「株は、私が30%出す、ゲン、啓は、15%ずつ出してくれ。残りの20%は、極楽企画からだそう。運転資金は極楽企画から出させよう」
「そりゃいいな。張り切ってスーパーをでかくしようぜ」
ゲンが張り切って言った。
「啓、国内だけでなく海外展開まで検討して、作戦文書を作成してくれ」
サンは、先の先まで読んでいた。
「わかりました。作戦文書を作成します。ゲンさん、ご協力をお願いしますよ」
「おう、わかった。しかし、販売現場はいやだよ」
それから直ぐに、啓は、資金面、人材、店舗展開、海外進出を検討し、作戦文書を作成し、了承された。
彼らの動きは速かった。啓を介して、直ぐに大澤議員に受諾を連絡した。
大澤は、大泉首相に恩を売り、名を挙げた。
こうして光福スーパーは救済され、12月10日に、『極楽マート』と名前を変え再スタートした。
ゲンは会長に就任して、資金面を担当した。
社長には、流通業界の大物の川戸 亨をスカウトした。
そして、極楽学園出身の山本 裕太を取締役にした。
山本には、店舗展開や海外展開の任務が任された。
さらに、既に何度も使っている経理部隊と、川戸が集めた流通のエキスパートを極楽マートに送り込んだ。
こうして極楽マートは爆発的な国内の店舗展開を行い、さらに海外進出していくことになる。
大量の農産物や魚介類が極楽農園の自動工場から極楽マートに送られ、全国に販売されるルートが出来あがった。
極楽マートは幾何級数的に売上が増加していき、利益が向上していった。
それと共に、額面すれすれだった株価は急騰していった。
27-5.リニア・エレベータ
平和25年が明けた。
極楽グループの平和24年の売上は、8,560億円になった。
実に前年比1,000%弱になった。
西部日本電力への売電、年間1,000億。中日本電力にも年間1,000億。近畿電力に年間1,000億円、東日本電力に年間1,000億円、電力の直販が500億円、株取引が500億円。極楽発電が1,000億円、極楽マートが1,000億円だが平成24年度には計上されなかった。
売上合計、8,560億円、営業利益は7,000億であった。
平和25年の売上目標は、平和24年の約3倍の2兆4000億円に決まった。
極楽グループの大きな利益は、砂に浸み込む水のように再投資に消えて行った。
資金繰りは依然として窮屈だった。
1月3日、宮本 昇平がリニアエッグの開発チームからはずされた。
一人で、指定された別の研究棟の指定の部屋のドアの前にいた。
ドアが開いた。ドアが開くということは、宮本 昇平が認識され、この部屋に入る権限を有していることを示していた。
宮本は、部屋に入っていった。
部屋は、30m四方もある部屋だった。中には、テーブルとイス、いくつかの装置それとPCタブレットしかなく、がらんどうだった。
そこには、啓ともう一人が立っていた。
「宮本君、待っていたよ」
啓が、にっこりとほほ笑んだ。
「宮本です。リニアエッグの開発チームからこちらに配属になりました」
「こちらが、大森博士、衛星機器の専門家だ」
「大森です。よろしく」
大森は、35歳だった。あごの周りの髭が延びていたので、宮本には、それ以上の年齢に見えた。宮本は、19歳だった。
「宮本です。よろしくお願いします」
「大森さんと一緒に、スペースエッグ本体である衛星機器を開発してください。筐体はほぼリニアエッグに似ている。春には3名程後輩が配属になるからよろしく」
それから、宮本は大森と一緒に衛星機器の開発を開始した。
全ての装置を三重化し、冗長システムにする必要があった。
同じ頃、宮北は、極楽ロボットのリニア・エレベータ開発部隊に来ていた。
リニア・エレベータ開発部隊は、40名程の優秀な技術者と製造担当の工員で構成されていた。
開発責任者の神林が、宮北を待っていた。
「神林勇一です、よろしく」
「宮北大輝です。よろしくお願いします」
「宮北君が来るのを首を長くして待っていました。まずリニア・エレベータを見てください」
神林は、宮北をリニア・エレベータの実物大の試作機の前に連れて来た。
「これが、リニア・エレベータですか」
「そうです」
リニア・エレベータは、一辺が3m程の立方体の角をカットして球形に近づけたような形をしていた。
リニアエッグよりはるかに小さい。
「これが、超伝導リニアで上下左右に動くわけですね」
宮北が訪ねた。
「そうです。最高時速は180km、毎分3,000mで、上下前後左右どこへでも行けます。ビルとビルの間も行けます。椎葉なら自宅から直接勤務先に行くことも可能です。
創立者が、自宅から研究所へ行くリニア・エレベータを望まれています」
「そうですか。早く完成させたいですね」
「宮北君のリニアエッグ開発のノウハウを伝授してもらい、早急に開発しましょう」
「私も頑張ります」
「リニア・エレベータには、そのほかに特徴があります」
「なんですか」
「リニア・エレベータは、個人認証IDを認識します。そして行先を言葉でも、操作盤でも受け付けます。事前に通信で受け付けることも可能です。しかも個人の権限の無い場所にはいけません。現在、極楽ソフトがそのソフトウェアを開発しています」
「それは凄いですね」
「さらに、通常のエレベータのように、待ち時間が長いということがありません。
呼び出しボタンを押すと直ぐに到着します。
リニアエッグと同じように、1つの超伝導トンネルに複数のリニア・エレベータが走行し、超伝導トンネルのネッワークや迂回路を経由しますので、最も到着時間が短いリニア・エレベータが直ぐに到着します。渋滞も発生しません。
リニア・エレベータは、椎葉村の全ての施設、ビルに張り巡らされます。
椎葉村全域どこでも、5分以内で到着できるようにします」
「本当に便利になりますね」
「これがうまく行けば、物流専用のリニア・エレベータも開発予定です。これは、物流用リニアエッグの小型版です。宅急便や荷物を人が運ぶ必要が無くなります」
「本当にすごいシステムですね。私もリニア・エレベータの開発に全力で頑張ります」
「よろしくお願いしますね」
宮北は、3カ月ほどリニア・エレベータの開発に寝食を忘れて取り組んだ。
そしてリニア・エレベータの本体と超伝導トンネルの基本的な部分を完成させた。
勿論、全体システムには、膨大な作業が残されていたが、極楽ロボットと極楽ソフトが全力を挙げて開発を続けていた。
宮北は、その後、スペースエッグの開発部隊に合流していくことになる。
リニア・エレベータは、2029年8月に第1号路線が完成した。
荷物用リニアエッグとほぼ同時に完成した。旅客用リニアエッグの完成より早かった。
最も喜んだのは、サンだった。
何しろ自宅のエレベータから、1分ほどで研究所に行けるようになったのだ。
その後は、極楽建設がリニア・エレベータのネットワークを計画に従って、急激に拡張していった。
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