お題:かかし せんべい 公式が病気

 私は天を連れて、夜の校舎を駆け抜ける。

「ここが部室!」

 月光差し込む2階の廊下は、いつもよりもずっと綺麗で、輝いて見える。

「……案山子?」

 そう、ここ、文芸部室には、案山子が居座っている。麦穂を中心に作られた案山子が、美少女の抱き枕のような絵を付けられている。

「私が描いた作品を読んで、部長が美術部に依頼して作っちゃってね…。」

 あの時は酷かった。案山子が美少女に転生するという現代ファンタジー小説なのだが、部長が痛く気に入り、宣伝のためにこれを作ったのだ。

「公式が病気っちゅう奴じゃの…。」

「そんな言葉まで知ってるんだ。」

「まぁの。」

 SNSとかも見るのかな?興味は尽きないけれど、今はそれはどうでもいい。

「はい、これおせんべい。食べながら話してよ!あなたのこと!」

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